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転生魔法使いの愛のある生活  作者: チムチム
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第68話

いつもお読みいただきありがとうございます。

(「あーあー、マユさん、マユさん、聴こえますか?」)


俺は魔法創生で作り出した『念話』でマユの頭の中に話しかけている。


(「あれ?なんだかハルキくんの声が聞こえる気がする。幻聴かな?私そんなにハルキくんのこと好きなのか。ふふふっ。」)


マユが幻聴だと思って心の声が聞こえてしまっている。


(「えっと、マユ。ごめん、嬉しいんだけど、全部聴こえてる。」)


「ええええっ!!」


奥の部屋からマユの叫び声が聞こえた。そして扉を開け誰かが廊下を走ってこの部屋に向かって走ってくる音がする。


ガチャッ!


いつもより大きな音を立てて扉が開かれると、そこには真っ赤な顔をしたマユが立っていた。


「ハ、ハルキくん、さっきのってまさか・・・・・・。」


「ごめん。『念話』って魔法を創った。ちゃんと聴こえるかマユに試してみたんだけど、成功だったみたいだね。」


真っ赤な顔で両手の拳を握りしめているのは、照れなのか怒りなのか。


「そういうことは先に言ってよねっ!」


・・・お怒りだったようです。


通信手段を作ろうと思い一番最初に思いついたのが念話だ。異世界チックだし、声に出さなくていいから、昨晩のメイサの様に隠密活動中でも使えて便利かなって思って創ってみた。


この魔法を創る上で制限をどこに設けるかで悩んだ。常に頭で考えたことが伝わってしまうのはまずいし、誰にでも使えるというのも問題だ。だから、この魔法を行使出来るのは俺が指定した人だけにした。もちろん、増やすことも可能だし、減らすことも可能。つまりは俺次第という代物だ。まあ、俺が創ったわけだから当然だ。


現状、俺が指定したのはマユ、ナナ、ムラト、フィーネ、メイサ、そしてミハエル。ハイドとミツキはまだ指定していない。というのも念話を発信するには魔力を使う。まだ、魔力量の少ない彼らには負担になりかねない。二人は俺が魔力量を増やしてからだ。ちなみに受信者は魔力を使わない仕様にしている。


と、なるとこのメンバーだと魔力のないメイサが発信できない事態になってしまうが、そこは空の魔石に俺の魔力を念話用にアレンジしたものを用意したので、この後試してみるつもりだ。


「マユ、悪いんだけど、みんなを呼んできてくれないか?全員にこの魔法のことを知らせておきたいんだが。」


「それはいいけど、みんなにはちゃんと知らせてから使うんだね。私には勝手に使ったくせに。」


「えっ?だって俺の一番はマユだし、最初に念話したかったから。それとビックリさせたかったし。」


「ふ、ふぅーん、そう。そうなんだ。私が一番なんだ。ふふふっ。」


あからさまに嬉しそうにしているから、機嫌が直ったらしい。さっきまで怒っていたのに、今は笑ってる。女心は難しい。



マユにみんなを集めてもらった後、この魔法の使用上の注意を行った。俺が指定した人しか使えないこと、使うには『念話』と唱えること、念話の相手先を指定すること。この相手先を指定しない時は、俺が指定した人全員に念話が届くことになる。そのほか、魔法が遮断されている空間では使えないこと、つまり俺のサイレントドームの様なところでは使えないので、注意だ。


最後にメイサには俺の魔力を入れた魔石付きのネックレスを渡してそれを使って念話ができるかを試してもらう。


「ハルキ、これわたしがもらっていいの?」


「当たり前だろ。それはメイサのために用意したんだから。」


俺は魔法が使えないメイサのために用意したのだが、他のみんなはなにやら不穏な空気になっている。


「ハルキ!わたし嬉しい!早速試したいから、着けてくれる?」


そう言ってメイサは髪をかきあげ、うなじをこちらに見せてくる。


(うっ、ちょっと色っぽいかも?)


俺がメイサの首にネックレスをかけようとすると不意に念話が届く。


(「ハルキくん、あとで話があるの。このあと時間作ってね。」)


身も凍る様なマユの声が頭に響いてきた。


(「ダーリン、どういうことかな?メイサだけとか。」)


この声はフィーネか。メイサだけなのが問題だったのか?でも他のみんなは魔力あるし。


(「ハルキ。マユちゃんには別のものを用意してるんでしょうね?」)


氷の女王様からも凍える様な声が響く。


(「はぁー、お前バカだな。」)


ムラトのため息と侮辱の言葉が最後に響いた。


念話も考えものだな。みんな引きつった笑顔を貼り付けながら、各々が俺に話しかけてきている。こんなに一辺に話しかけられても答えられないし。


メイサの首にかけてやるとキラキラした目でメイサがこちらを見つめている。そして念話で俺に話しかける。


(「ハルキ、ありがと。大好き!」)


念話の実験は成功だが、色々何かを間違えたらしい。その後、俺はそれぞれからお説教を食らい、女性への対応の仕方を改めて考えさせられることとなった。



部屋に戻った俺は、ミハエルへと念話をつなげる。


(「おい、ミハエル、聴こえるか?俺だ?」)


(「な、なんだ?いや、その声は・・・。ちょっと待て!お前が念話を使えるなんて聞いていないんですが?」)


どうやら念話自体はあるらしい。さすが魔人だな。


(「念話が分かるのか。結構結構。じゃあ端的に聞くが今はどこにいてどこに向かっている?」)


(「くっ!ピスケスを抜けたところだ。今は南西に向かっている。」)


(「ということは、行き先は元フォレスト王国ってことでいいんだな?」)


(「貴様!何故それを?!」)


正解だったらしい。ご主人様に対しての口の利き方じゃないのは頂けないが、まあ、許してやるか。


ミハエルはこのピスケスを抜け南西の港町クルエスタへと向かっている様で、そこから船で元フォレスト王国がある大陸へ渡ろうとしているらしい。俺はそこに何人くらいの魔人がいて、現在の状況がどうなっているのか、奴に報告させることにした。

ナナもアストラム国の力を使い偵察するということなので、摺り合せればそれなりに精度の高い情報となるだろう。


明日からは二手に分かれての移動となる。俺は転移を使って学園に行くつもりだ。みんなは元気にしているだろうか?そんなことを考えながら俺は眠りについた。


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