第57話
すみません。ちょっと遅れてしまいました。これからもよろしくお願いします。
重ね重ねすみません。57話の後半部分が抜けておりました。貼り付けミスです。申し訳ないです。
「よう、早かったな。準備はできてるぜ。ちなみに今日はどこまで進めたんだ?」
ナカジは俺の姿を見つけると、両隣の2人を無視して話しかける。正直右腕にフィーネがしがみつき、左手でメイサと手をつないでいる姿は、ある意味異様だと思うのだが、ナカジは気にしないようにしてくれているようだ。ありがたいけど、突っ込まれないのは寂しい。
「20階層までかな?それはそうとナカジ、早速だけど準備してくれていたのはなんなんだ?気になってるんだが。。。」
「あぁ、先生にはいいもんだと思うぜ。ちょっと待ってな、今持ってくる。」
店の奥にナカジが消えて、俺たちは期待に胸を膨らませながら、帰りを待つ。
「ねえ、ねえ、ダーリン♡私には何か買ってくれないの?メイサはもらったけど、私は買ってもらってないなぁと思って。」
「えっ?だって戦ってるのはほとんどゴーレムじゃん。フィーネはせいぜい魔法使うくらい・・・。」
言ってて思ったが、魔法を使うなら、より効率の良い武器があった方が良い。魔法の力を増幅させるものが、あればもっと効率よく出来るのではないだろうか?
「あー、じゃあ魔法を使いやすいように杖とか?なんかナカジに見繕ってもらうか?」
「むうっ、ナカジじゃなくてダーリンが選んでよ!」
うーん、そう言われてもなぁ。俺も詳しいわけじゃないし。
そうこうしているうちに、ナカジが戻って来た。
「痴話喧嘩なら他でやってくれ。」
いや、違うから、痴話喧嘩違うから!
「まあ、先生だからな。仕方ないか。」
ナカジ諦めないで!
「先生、これ使ってみてくれないか?金に困った冒険者が売ってくれたミスリル製の剣を溶かして、先生用に加工してみたんだ。」
ナカジが持って来たのは、ムラトと同じような形をした「刀」。
ただ、それはムラトのものとは見るからに質が違う。重厚でありながらか鈍いながらも光を放っている。間違いなく逸品とわかる。
「ナカジ、これ、いいのか?俺が使っても?」
「何言ってんだよ、先生!あんたのために作ったんだ。あんたが使ってくれなきゃ意味がないんだぜ?」
ナカジは俺の魔力が強すぎるために、武器が壊れてしまうことをずっと気にかけていたそうだ。今回、魔力を流しやすいミスリルが手に入ったことで、俺用の武器を作ろうと思ってくれていたらしい。女の子以外には優しくしていたつもりがないが、魔力量を底上げした俺に対して、ナカジなりに感謝していたとのことだ。本当にありがたい。
「ナカジ、ありがとう。でも、ひょっとしたら、ひょっとしたらだけど、魔力を流しすぎて壊れてしまうってことはないか?」
「先生、ミスリルで壊れてしまったら、もうあとはオリハルコンかアダマンタイトを素材にするしかねぇよ。今回のミスリルで壊れてしまうようなら、俺の腕が未熟なせいだと思ってくれたらいい。先生の力を見誤った俺が悪い。だから気にせず使ってくれよ。」
ナカジ、カッコいい!大切に使わせてもらうよ。
実際、ミスリルならそう簡単に壊れないと思う。俺の魔力をうまくコントロールすれば多分大丈夫だ。
「先生、そいつに魔力を流してみてくれるか?」
俺はうなづき、慎重に魔力を流す。
刀にうっすら魔力が宿る。少しづつ魔力を加えていくが、壊れるそぶりはない。徐々に魔力を込めていく。刀は光を増し、周囲の注目を浴びている。でも俺はそれを気にせずに魔力を込めていく。ナカジの刀がいかに素晴らしいかを周囲のみんなに知らしめるためだ。
「ナカジ、これすごいよ!これだけ魔力を込めても壊れないし、すごい力を感じる。何か試し切りに使えるものないかな?俺はすぐにでも、こいつの力を見てみたい!」
「先生、そう言ってもらえると、作った甲斐があったってもんだ。こいつを切ってみてくれ。」
ナカジが用意したのは鉄製の鎧。バラす予定だからとナカジが持ってきた。俺は刀を近づける。
スパッ!
振り下ろしてもいないのに、鎧が真っ二つになった。
「「「「「「えっ?」」」」」
周りのお客さんも、俺もびっくりした。鉄製だったにもかかわらず、触れる前に切断した。とんでもない威力の刀だ。
「ナカジ、これヤバくない?ちなみにこいつの銘はつけてるの?」
「あるぜ。俺なりに考えたのが。ただ、決めるのは先生だ。気に入らなかったら先生が付け直してくれ。」
もったいぶった言い方をするナカジから告げられたこの刀の銘は俺も納得のものだった。
『白州』
それはこの白い輝きを放つ刀の銘としてふさわしいものだった。
「ねえ、ダーリン、私のは?」
おっと、白州のことで、フィーネの武器の件を忘れてしまっていた。やっぱり魔法使うんだから、今持っているような杖がいいだろうか?それとも別の物の方が良いか?
フィーネが今使っているのはいわゆる短杖だ。魔法を使うには適しているが、近接攻撃には向かない。近接用の武器を一応持たせておいたほうがいいだろうか?
「ナカジ、この子が使う武器のことなんだが、どう言ったものがいいだろう?」
「うーん、そうだな?その嬢ちゃんがどういう戦闘スタイルかにもよるんだが。」
そう言ってフィーネに色々質問を始めた。基本戦闘は魔法メインで、近接は出来ないわけではないが、あまりやりたくないらしい。理由は可愛くないからだとか。なんだかふざけた理由だが、近接も出来ることが判明した。まあ、魔人だし、魔法に優れているが、身体能力も普通の人よりはあるのだろう。実際にどのくらいの力や素早さがあるとかゲームのように分かればいいんだけど、ステータスカードにはそう言った表記はされない。
俺は一つ一つ武器を手にしながら、フィーネ用の武器を探す。ん?これはどうだろう?ちょっと重めだが、フィーネにどうだろうか?
そう言って俺は目に付いた武器をフィーネに渡す。
「フィーネ、ちょっとこれ持ってみてくれ。」
「はーい♡よいしょっと。」
「それ振れるか?」
「うん、大丈夫。ちょっと重いけど振れなくはないよ。」
素振りをするフィーネ。結構な勢いで振れている。これなら大丈夫か?正直、結構重いんだが、苦にしていないところを見るとやっぱり力は結構ありそうだ。
フィーネに渡したのはメイス。魔法媒体として使えて、近接でも打撃武器としても使える。若干重さに難はあるが、フィーネなら使いこなせるだろう。
「フィーネ、じゃあそれ使ってみるか?」
「うん♡ダーリンが選んでくれたんだから、これにする。ありがとう♡」
喜んでくれて何よりだ。さて、とりあえずこちらが欲しいものは手に入ったので、ナカジにはさっき取れた素材を渡しておくか。ある程度、ギルドにも売らないとうるさそうだから、ほどほどにだが。
「ナカジ、これ良かったら何かに使ってくれ。」
「おいおい、先生、これどっから出しやがった?マジックバッグか?」
俺が取り出したのはファイヤーラットの火袋、スライムの魔石、アシッドフロッグの皮、ファイヤーバットの翼をそれぞれ20個をカウンターに置いてやった。
いきなりこんな大量に素材を出してしまったものだから、ナカジが驚いてしまっている。俺が収納のことを説明したら、妙に納得していた。
「先生、ありがたくいただいておくぜ。」
「あぁ、自由に使ってくれ。それと俺はもう先生じゃないから。今は冒険者のハルキだ。これからはハルキって呼んでくれ。」
「まあ、先生がそう言うんなら。・・・ハルキ、これからもよろしくな!」
ナカジと別れて俺たちは、ナナたちと合流する。フィーネの武器を買ったことを話すと、マユの機嫌が悪くなったが、一応そのことは予測済みだ。あとでこっそりマユを呼び出そう。




