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転生魔法使いの愛のある生活  作者: チムチム
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第54話

いつもお読みいただきありがとうございます。面白いと思っていただけましたら、ブックマークやポイント評価よろしくお願いします。

「坊っちゃまにはお世話係が必要。だから私が一緒について行く、です!」


ゲートで帰ろうとした俺たちに向けて、荷物を背負い、ツインテールを振り乱しながら現れたメイサが叫ぶ。一体いつの間に準備したんだろう?


「メイサ、俺たちは遊びに行くわけじゃないから、危険なこともあるからメイサじゃ一緒には無理だよ。」


「スキルあるから大丈夫、です!付いて行って3番になる、です!」


フィーネの昨日の発言が、悪い影響を与えてしまったようだ。鼻息荒く3番宣言してる。


「いや、スキルって言われても。俺たち魔物と戦うんだよ?ダメだよね?セバス。」


またも頭を抱えているセバスに助けを求めてみるもそれは裏切られることになる。


「あーいやー、坊っちゃま、そのなんと言いますか。こと戦闘に関しては、問題ないかと。それに彼女のスキルは坊っちゃまのお役に立てるものとなるかもしれません。」


まさかのセバスのお墨付きが出た。戦闘が問題ない?そもそもメイサのスキルってなんだ?


「坊っちゃま。メイサのスキルは優秀です。坊っちゃまがいなくなっていた間もメイサは鍛錬していましたから。」


メアリーまでメイサのスキルに太鼓判を押した。2人の発言に気を良くしたメイサが懐から一枚のカードを出し、ハルキに差し出して来た。


「ハーちゃん、見てあげて。メイサがあまりに突飛な行動、じゃなくて優れた動きを見せるものだから、私とアウグストもそれを見せてもらったのよ。」


差し出されたのは、メイサのステータスカードだった。



メイサ

年齢 25歳

職業 バトルメイド

HP 3000/3000

MP 0/0

属性 なし


スキル

隠密 レベル6

バーナー流剣術 レベル5

馬術 レベル5

投擲術 レベル7

体術 レベル5

聴き耳 レベル5



・・・ナニコレ?一番最初に目につく『バトルメイド』の文字。そもそもこんな職業があるんだろうか?しかもこれが本当にメイサの力なのだろうか?普段の天然っぷりや敬語が使えないとか言うダメっぷりがこのステータスからは全く見えない。魔法が使えないのは残念だが、非常に優秀な能力と言える。努力によるものなのか、才能か、いや、努力だろうな。これだけのスキルを持ち、そのレベルも中級者並み。並大抵の努力じゃできない。


「坊っちゃま、どう?私、戦えるよ。坊っちゃまが小さい時から訓練してるの、こっそり私も見て練習してた。坊っちゃまが学園行ってからは旦那様とセバスに頼んで教えてもらった。私は坊っちゃまの力になりたかった。だから今こそ、それを実行する時、です。」


思い出したかのように「です」を付けたが、ずっと俺を見て、ずっと努力して来てくれたらしい。正直、嬉しい。マユを始めとしたパーティメンバーに同意を求めるように視線を向けると、皆がうなづいてくれた。母さんを始めとした家の者に視線を向けても同様の反応だった。


「メイサ、ありがとう。一緒に来てくれるか?ただし、一つ条件がある。」


「坊っちゃま、私、一緒に行く!条件って何?なんでも聞く!私のこと好きにしてくれていい。旦那様が奥様にしてるようなことしてくれても構わない!むしろご褒美。」


ものすごい興奮した様子で、なんかとんでもないことをぶちまけやがった。そこ!母さんも照れない!

しかし、さすが隠密スキル持ち。色々隠し事ができないようである。連れて行くからには、マユとそういうことするような時は魔法で対策打っておかなくちゃ。父さんと母さんの犠牲は無駄にしない。


「いや、そうじゃない。坊っちゃまと言う呼び方をやめてくれ。冒険者の俺はハルキだ。ハルキと呼んでくれ。」


「い、いいの?ハ、ハルキ」


な、なんだこの破壊力は!?

上目遣いで照れた表情、しかも体をくねらせて。見た目は誰もが振り向くような美女なのに、そんな可愛い仕草なんて、ちょっとヤバイかも。


「あ、あぁ、それでいい。」


呼び捨てされるとちょっとドキッとする。これは気を引き締めないと。


しかし、この世界は美女が多すぎる。いいことなんだけど、そのレベルが高すぎて、童貞の俺にはあまりに厳しい。接し方がまだイマイチわからない。好意を持ってくれてる相手にどうすればいいのか?俺にはそれがわからない。もっと勉強しておくんだった。俺は心の中で、人知れず後悔する。


「じゃあ、母さん、行ってきます。みんなも。それと父さんとアイリスにもそのうち会いに行くからよろしく言っておいて!」


ゲートでピスケスのあの大樹につなぐ。1度限界まで魔力を使って回復させたおかげが、今度は倒れこむことはなかった。帰り際に母さんに言われたことを思い出す。


「ハーちゃん、がんばってね!早くSランクになって私たちを追い越してね!」


早く親を超えて強くなれと言うことだろうか?まあ、いいか。俺はもっともっと強くなってSランクに到達できるように努力していこう。




宿屋のおかみさんに事情を話し、フィーネの時と同じように部屋が空いてないか確認する。


「私はお世話係だから、ぼっ、じゃなくてハ、ハルキと一緒の部屋でいい。」


耳を赤くしながらフィーネと同じようなことを言ってマユに怒られるメイサを見て少し笑ってしまった。


部屋はまだ空いてないとのことだったので、フィーネの部屋にメイサも泊まることになった。ある意味似た者同士だし、うまくやれるだろう。

・・・悪い影響が出て来なければいいのだが。



部屋に戻った俺は今日あったアレコレを思い出し、明日のための仕込みを少々しておく。うまくいってくれると良いんだが。

ベッドに横になると、あっという間に睡魔に襲われた。色々あって疲れていたのかも知れない。



翌朝、ギルドにメイサの登録に行き、またミレーユと一悶着あったが、ある意味いつも通りなので、気にしないでおく。ナカジの紹介状を武器屋に出して、対スライム用装備を手に入れた。予定より1枚増えたが、在庫があったので助かった。


その後ゲートでダンジョンに向かい、ナカジの店へ。メイサの武器を見繕ってもらわなければ。


「投擲武器か刺突に向いた武器が欲しいんだが。」


「なんだ、また女が増えたのか?今度はメイドかよ。まあ、いいか。で、対スライム用でいいんだよな?」


「あぁ、ナカジに任せるからこいつに合いそうなやつを選んでやってくれ。」


「あっ!ハルキ、私はこれがイイ。これを買って欲しい。体で払うから。」


こいつはなんでこう人前でそんなこと言うんだろうか?いや、人前じゃなくてもまずいけど。


「払わなくていい。必要経費だから俺が買ってやる。」


ナカジが責めるような目でこちらを見ている。ジッと見ている。俺は耐えきれずに目をそらしてしまった。誤解なんだが、そんなにジッと見られると目も晒したくなる。


こいつに付き合ってたら、本当に体がいくつあっても足りない。いや、本当に物理的に。マユさんからの折檻が激しいという点において。


「ハルキ、私嬉しい。ハルキからの初めてのプレゼント。私大切にする。」


こういうことをサラッと言ってくるからタチが悪い。許しちゃうじゃないか。えっ?誰だ?チョロいって言うのは!?


ちなみにメイサが選んだのは、投げナイフのセット。太ももに装着できるように革のベルトもサービスでつけてくれた。メイド服のスカートは膝丈くらいだが、取り出すときに捲れてしまわないか心配だ。俺やムラトが戦闘中によそ見してしまうかも知れないと言う意味でだ。誤解のないようにいっておくが、ムラトは変わらずナナ一筋だ。でもヒラヒラする物に目がいってしまうのは本能によるものなんだ。だからそういう人が周りにいても責めないでやって欲しい。


「あぁ、そうだ先生。良いもの手に入ったから帰りに寄って行ってくれよ。」


「ん?今じゃダメなのか?」


「あぁ、まだ準備中だ。」


何かナカジが用意してくれたみたいだから、帰りに寄ろう。そのときに俺も何かナカジへおみやげとして素材を持って行ってやろう。


さあ、今日はリベンジだ。さっさとスライムエリアを突破して20階層までの踏破を目指す。メイサが新たにパーティに加わったが、彼女はまだダンジョン未経験。転移魔法陣で移動できるか心配だったが、パーティメンバーなら問題ないそうだ。


誰か1人でもクリアしてれば問題ないそうなので、コスモやタケルをパーティメンバーに加えれば、最高到達階層に到達出来るようだ。まあ、それじゃあ面白くないからやらないけどね。そうそう、メイサの能力を確認しておかなくちゃね。


まずは、11、12階層のファイヤーラットを相手にしてもらう。とりあえず1匹のやつから始めるか。


「メイサ、これからお前の強さを見せてもらう。俺に、俺たちに戦えることを示してくれ。」


「わかった。がんばる。」


言葉は少なめだが、気合いは十分のようである。そして、ファイヤーラットが目の前に現れると不意に彼女は消えた。


魔力の気配で探そうとするが、彼女にはそもそも魔力がない。なので、魔力感知もできない。気配で探してみるが、それすらうまく消してあるらしく、俺にはどこにいるかわからない。


襲いかかってくるファイヤーラット、しかし身構えようとしたその時に、何もないところからナイフが飛び出し、ファイヤーラットの首に突き刺さる。そのまま地面に落下し息絶えた。


「ハルキ、どう?私うまくできた?」


不安そうな顔をしながら、俺を見上げてくるメイサ。俺は頭に手を乗せ、ガシガシ髪を撫でてやった


「凄いじゃないか!よくやった。これなら問題ない。これからも頼むぞ!」


惚けた顔で俺を見上げるメイサ。ガシガシされた髪を整えながら微笑む。年上なんだけど、年上に見えないのもあって、子供にするようなことをしてしまった。


「ハルキに褒められた。ふふっ嬉しい。」


メイサは普段から無表情なことが多かったから、笑顔なんて記憶にない。うっすら口角が上がった程度ではあったが、確かに微笑んでいた。こうやって笑うんだなぁとしみじみ見惚れてしまった。


装備も整え、戦力もアップした。これならスライムも問題ないだろう。後方はフィーネに任せて、俺とメイサで無双出来そうだ。問題は投げナイフの数だと思っていたのだが、仕留めた先からすぐに回収しているようで、メイサ曰く問題ないとのことだった。俺たちはリベンジに燃え、13階層へと足を踏み出す。


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