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転生魔法使いの愛のある生活  作者: チムチム
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第53話

いつもお読みいただきありがとうございます。お気に召しましたら、評価やブックマークよろしくお願いします。

「ところでハーちゃん。そちらの方々は?ナナ様とムラトさんは存じているけど。」


母さんは今気づいたとばかりに、俺のパーティメンバーについて聞いてきた。さて、なんて紹介しようか。マユたち元クラスメイトのことは、家に連れてきたことがなかったので、母さんは知らないと思っていたが、ナナとムラトについては知っていたようだ。そういえば、俺が逃げ出した後、謝罪に来たと言っていたっけ。


「は、は、はじめまして!マ、マユリと申します。ハルキくん、いや、ハートランドさんとおつきあいさせていただいてます!」


「あらあらまあまあ、ハーちゃんの彼女?どこのお生まれかしら?」


「あ、あの、私、平民です。平民でごめんなさい。」


誰から紹介すべきかと俺が悩んでいるうちに、マユが自ら名乗り出た。マユが申し訳なさそうに母さんの質問に答えるが、そんなこと気にしなくていいのに。一応、俺も貴族だけど、男爵家だし、家出息子だし。


「あぁ、ごめんなさい。そうではなくてどちらの国の方なのかな?って思っただけだから気にしなくていいのよ。」


「あ、そうでしたか。ごめんなさい。生まれはアストラム、だと思います。」


だと思います?あぁ、元孤児だからその辺のこと気にしてるのか。ナナにフォローでもしてもらうか。そう思い、俺はナナをチラッと見る。ナナも意図を察してくれたようだ。


「バーナー夫人、お久しぶりです。お元気そうで何よりです。ご心配をおかけしましたが、ご子息と和解することができました。今は冒険者として一緒に活動させていただいております。それと、そちらのマユリについては幼い頃に私が保護した元孤児ではありますが、今では私の家族同然の者です。」


「ナナ様、丁寧なご説明ありがとうございます。私の気遣いが足りず、皆様の気分を害させてしまい申し訳ございません。」


ナナと母さんのやりとりをなんとなしに見ていたが、服の袖を引っ張るフィーネが自分もとアピールしてくる。


「あぁ、そうだな。母さん、この子は同じパーティメンバーのフィーネだ。」


「フィーネです。ダーリンの2番目の彼女です!」


このやろう、母さんの前でなんてこと言いやがる!彼女でもないし、2番目でもないだろうに!


「あらー?ハーちゃん、いきなり2人も彼女連れてきちゃったの?ママはそう言うの良くないと思うな。貴族だからお嫁さんを何人かもらってもいいんだけど、きちんと手順を踏んで欲しいのよ。あとで2人で話しましょうね!」


「ちがーーーーうっ!」


母さんにフィーネの言ってることは信じないように説得するが、なかなか折れてくれない。フィーネからの好意は感じるが、俺はあくまでマユ一筋だ。・・・今のところ。これから先どうなるかは分からないが、少なくとも今はまだ恋人ではない。まあ、こう言うところがフィーネに付け込まれる原因になるんだが。


ゲートが使えるかどうかの実験だったのにえらい目にあった。とりあえずせっかく繋がったゲートなので、屋敷に顔を出すことにする。


父さんは仕事で、アイリスは学園に行ってて屋敷にはいないとのことだったので、ほかの使用人達には挨拶だけしておこう。



「みんなただいま!」


セバスを始め我が家の使用人が一同に介している広間で声をかけた。たった5年、されど5年の月日は短くも長い。セバスやメアリーはさらにシワを深くしたし、我が家の美人メイド3姉妹はその美しさをさらに増していた。


「坊っちゃま、その女達は誰、です?」


およそメイドとは思えないほどに、失礼な物言いでジト目を向けるのは次女メイサ。相変わらず敬語が苦手なようだ。彼女もすでに25歳だと言うのに。これはもう一生治らないのではないだろうか?


「メイサ、その言い方はみんなに失礼だろう?」


長女アイサがキレる前に俺から注意しておこう。彼女がキレると色々と面倒だからね。


「坊っちゃま、申し訳ございません。あとで言って聞かせますので!」


「お姉ちゃんは黙ってて!私が今、坊っちゃまと喋ってる。邪魔しないで!」


メイサがこんな大声を発したことがあっただろうか?俺だけでなくその場のみんながビックリしてるし、邪魔するなと言われたアイサが目を見開いて1番驚いているように見える。


「坊っちゃま、答えて。その女達は誰?」


ついに「です」もなくなったメイサはなんとも言えない迫力があった。俺がメイサの迫力に圧倒されているとサイドテールのロリ巨乳、3女リーサが助けに入った。


「メイサ姉ちゃん、そんな言い方したら坊っちゃまも答えてくれないよ〜。だから私が〜、聞いてあげるからね〜。」


そう言ってリーサは俺に近づき、俺の腕をそのたわわな果実で挟み込み、上目遣いで訴えてくる。


「坊っちゃま〜、私たちというものがありながら〜、知らない女性を連れてくるって〜、寂しいなぁ〜。メイサ姉ちゃんは〜、坊っちゃまが居なくなってから〜ほとんど喋らなくなってたんだけど〜、今日は珍しく喋ってるから〜、質問に答えてあげて欲しいなぁ〜。私も知りたいし〜たぶんアイサお姉ちゃんも気になってると思うし〜。」


挟みながら左右に体を揺らすもんだから、その感触がヤバイ。そしてウルウルした目で見つめてくるのをやめてほしい。どこでそんな技を覚えたのか?そして何よりもマユの目がヤバイ。あ、ナナはもっとヤバイ、目を見なくても溢れ出る魔力でわかる。フィーネは、、、うん、まあ、君には無理だよね。俺じゃなくて、リーサの胸を射殺さんばかりに見ている。


「わ、わかったからとりあえず離れて!」


暴走しているメイサとリーサの行動にセバスとメアリーは頭を抱え、母さんは何故だかニコニコしている。


アイサに言って、2人を抑えてもらうと、俺はきちんと説明することにする。まずはやっぱり


「え、えっと、マユ、こっち来てくれる?」


マユはすごい目でリーサをにらんでいたが、俺が名前を呼ぶと、はっと我に返ったようで、俺の隣にピトッとくっ付いててきた。


「え、えっと、マユさん。なんでくっ付いてきたのかな?」


「えっ?だっていつもくっ付いてるでしょ?それともそちらのメイドさんにくっ付いてもらったから、私はくっ付かなくていいってことかしら?」


お怒りです。マユ様がお怒りです。フィーネの時も思ったが、マユは結構、いやかなり独占欲が強いのかもしれない。・・・嬉しいかも。


「わかった。マユ、くっ付いていていいよ。」


俺が慌てると思ったのだろう。マユはびっくりした顔をしている。俺だって少しは強くなったんだ。


「彼女はマユリさん。俺の好きな人で、恋人だ。みんなよろしく頼むよ。」


ガーンって効果音が聞こえて来そうなほど、驚いた表情をしているのは、リーサ。


しょぼ〜んとして明らかに落ち込んだ様子なのはメイサ。


そんな2人の肩を優しく包むようにしているアイサ。彼女は色々察してたのだろう。


三者三様だが、この3姉妹はそれだけ俺のことを大切に思ってくれてたんだろう。ありがたい話だ。


その後、ナナやムラト、フィーネを紹介していったが、フィーネの時にまた2番目の彼女ですとか言い出した時に、メイサの目が光っていたように見えたのが怖い。


「坊っちゃま、ご立派になられましたな。もう、お屋敷に戻られると思ってよろしいのでしょうか?」


そう、俺は挨拶をしただけで、まだ冒険者を辞めるつもりがない。むしろ、まだ始めたばかりのことをやめたくない。


「母さん、セバスも聞いてくれ。俺は冒険者を続ける。だからまたすぐに戻るよ。父さんとアイリスにはよろしく伝えてくれ。必ず戻るから、やりたいことが、やらなくちゃいけないことがあるんだ。」


母さんには引き止められるかと思ったが、意外なことにそれはなかった。


「ハーちゃん、がんばってね!」


それを言うと涙を流しながら俺を抱きしめてくれた。こんなわがままな息子を優しく送り出してくれる母さんの子供に生まれてよかった。転生したのがこの家でよかった。俺も涙が溢れて母さんを抱きしめた。


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