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転生魔法使いの愛のある生活  作者: チムチム
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第47話

パーティ名が決まったお祝いにということで、少々深酒してしまった一行は、完全に出来上がってしまった。


せっかくナナがハルキの左側をキープしてくれていたのに、ちょっと席を離した瞬間にフィーネに取られ、そしてまた両腕にしがみつかれている。


いつもならそれを妨害するナナも、ちょっと面倒になったのか、ムラトの隣、いやムラトの腕にしがみついている。しがみつかれているムラトは幸せの絶頂とも言える顔をしているし、このまま死んでもいいとか言ってる始末。ナナもムラトのことが好きなのかもしれない。立場とかもあるから普段はそういうそぶりを見せないけども。でも小さい頃からずっとナナだけを見つめてきたやつだから、できれば報われてほしいと思ってしまうのは、身内びいきか。


ナナのそんな一面を垣間見たが、これ以上はおかみさんの迷惑になってしまうと思い、お開きにした。前回は泥酔してしまった俺だが、今回は冷静に周りが見えていたと思う。酔っ払ってないわけじゃないんだけど、もう1人の自分がちゃんとみてる感じと言ったら伝わるだろうか?おそらくスキルの影響だとは思うが、不思議な感覚だ。



次の日、みんなが二日酔いになってやしないか心配だったが、ほどほどでやめておいたこともあり、誰もが時間通りに食堂に現れた。


「おはよう!みんな体調はどう?キツイようならダンジョン攻略は明日に回して、今日は街をいろいろみて回ろうと思うけど。」


「私は大丈夫だよ。でもハルキくんと街を見て回るのはしてみたいかな?」


マユが可愛いことを言ってくれる。


「はい!はい!私も!ダーリンとデートしたい♡」


こっちは直球だなぁおい。


「ムラトとナナはどうする?」


「まあ、急いでるわけでもないし、いいんじゃないか?11階層以降の情報収集と装備の確認もしたいしな。」


「ふぅーん。じゃあ私はムラトと2人でそれしようかな?」


「「「えっ?」」」


何かとんでもないことが起こったかのような顔をしているムラト。そして、さも当然と言った風にムラトと2人で行動することを明言したナナ。


ナナとマユ以外の面々が驚きの声を上げる。マユは昨日ナナと同じ部屋だったからそこで何か話しをしていたのかもしれない。ニコニコして2人を見ている。


これはもしかすると、、、?


「わ、私がムラトと一緒に行動するのは当たり前でしょ?だって私の騎士なんだから。」


ナナの透き通るような白い肌が朱色に染まっている。そんな状態でそのセリフ言っても、ねぇ?


ムラトはなんかガッツポーズしてるし、今日はダンジョン休みにするか。


「じゃあ、今日は休みにしてそれぞれ自由にしようか?俺はパーティ名の申請しに行っておくから。あのー、マユ一緒に行かない?」


どさくさに紛れて誘っておく。


「むぅー、ダーリンのバカ」


はっきりさせておかなくてはね!俺の彼女はマユだけだし。ただ、フィーネを1人にしてしまうのはちょっとかわいそうかな、とは思うけど。


「ハルキくん、ありがとう私も一緒に行くよ。でもフィーネも一緒でもいい?1人にしちゃうのはかわいそうだよ。」


マジ天使。マユ、マジ天使。


「マユ〜、ありがとう。」


まあ、マユとフィーネが仲良くしてくれるのはいいことだ。


「あ、でも一緒に行くけど、ハルキくんにくっつくのはなしね!私の彼氏だから♡」


あ、あれ?う、うん。ま、まあ、そうだよね。その通り。でもなんかまたちょっと険悪になってないですかね?


「ま、あなたたちは3人で仲良くやりなさい。どうせこれからも長い付き合いになるんだろうしね!」


ナナが意味深なことを言っているが、今は気付かない、いや、気にしないでおこう。うん。



「さあ、ムラト行きましょう?ちゃんとエスコートしてね!」


何だかんだ嬉しそうにしてるナナを見てると、安心する。氷の女王なんて呼ばれて、感情を表に出さなかったらしいけど、今のナナを見れば、誰も氷の女王だなんて思わないだろう。マユと会えたことがよほど嬉しかったんだろうな。あとでこっそり2人を尾行、いや見守ろう。



俺、マユ、フィーネの3人はギルドに来ていた。相変わらずミレーユのカウンターは冒険者が並んでる。俺は空いてるカウンター、筋骨隆々、スキンヘッドの強面のおっさんの所へ向かう。


「ちょ、ちょっと!ハルキさん!あなた方の担当は私でしょ?!」


ミレーユが何か叫んでるが、いつから担当になったんだろう?不思議に思っていると、スキンヘッドのおっさんが言う


「ミレーユに担当指名したのか?」


「いや、してない。冒険者登録はしてもらったけど。あ、ひょっとしてそれが担当指名ってことなのか?」


「いや、冒険者登録だけでは指名にはならない。じゃあミレーユが勝手に言ってるだけだな。指名っていうのは冒険者がギルドに正式に依頼するものだ。」


スキンヘッドのおっさん、ゴーンが教えてくれた。それにしても、なぜこのおっさんがカウンターにいるのだろう?カウンターにこんな強面のおっさん需要ないだろうと思う。いざこざ対策も兼ねているんだろうと勝手に納得する。


「なるほど。じゃあ、あまり気にしなくていいってことだな!」


「まあ、そういうこった。で、今日は何の用だい?依頼か?」


「今日はパーティ名の登録に来たんだ。昨日、ミレーユに早めに決めた方がいいと言われたもんでね。」


「あー、そういうことか。じゃあお前たちが昨日言ってた噂のパーティだったか。」


意味ありげに笑うスキンヘッドは、なかなか悪役じみている。とてもギルド職員には見えない。冒険者といった方が、誰もが納得する。ただまあ、気になることを言ってるので、質問しておく。


「噂?何か噂になってるのか?」


「ちょっと耳貸せ。」


俺は言われた通りにカウンター越しにおっさんのそばに寄る。


「(ああ、もっとも冒険者にはまだ知られてないようだがな。将来有望なパーティらしいじゃねえか?でもなんでわざわざ秘密にするんだ?功績ガンガン上げていけばいいじゃねぇか?)」


おっさんの耳打ち。これも需要ないと思うが、周りに気を使ってくれたようだ。


「(こっちにも色々事情があるんだよ。それに目立ち過ぎても良くないだろう?)」


「はあ〜、まあ、人それぞれだがな。ただそれなりに冒険者やってれば、噂の1つや2つ増えていくんだ。ドーンと構えてろよ。なんとかなるもんだ。だからあんまり気にすんな。」


たしかに気にし過ぎてもダメだよな。あんまりおおっぴらにしたくはないけど、そのうちバレるだろうし。ギルドランク上げていくこと考えれば、噂になるくらいの方がいいのかもしれない。


「ありがとう。肝に命じておくよ。」


俺たちが、耳打ちしながら話しているのを遠目で見ていた女性ギルド職員が、奥でキャーキャー騒いでいたが、こちらも気にしないでおこう。どこの世界にもそういうのが好きな女性がいるらしい。


「ゴーン、ちょっと代わりなさい。あとは私がやるから。」


ミレーユは別のカウンターで受付していたはずなのだが、そっちを他の人に任せてわざわざこっちに来たらしい。ミレーユ目当てで並んでた男どもの視線が痛い。


「はい、はい。じゃあ坊主、期待してるぞ!」


「ああ、期待しててくれ!」


ゴーンはこちらを見ずに手をひらひらさせて、他の業務をするためにギルドの奥へ立ち去っていった。


「まったく!なんで私のところに来てくれないんですか?」


なんだか怒っているが、怒られる筋合いもないと思うんだが。


「いや、だってミレーユのところ並んでたろう?ゴーンのところが空いてたから、こっちに来ただけだ。なんで怒ってるんだ?」


「・・・鈍感。」


あれ?なんかマユとフィーネがいる方から声が聞こえた気がするが、、、。


振り返っても2人は笑顔でこちらを見てる。気のせいか。



俺はこっちに来てしまったミレーユにパーティ名の登録をしてもらった。あとはダンジョンの情報収集がしたかったので、ミレーユにあれこれ質問し、ギルドを出る。


ある程度の情報は仕入れられたので、ここからはムラトとナナを探してこっそり尾行、いや、見守ろう作戦開始だ。マユとフィーネもノリノリだからきっとすぐに見つけられるだろう。さてさて、どこにいるのやら。

いつもお読みいただきありがとうございます。

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