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転生魔法使いの愛のある生活  作者: チムチム
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第45話

いつもお読みいただきありがとうございます。

「ねえ、僕ら帰っていいかな?」


トリスたちを放って置き過ぎたらしい。本当にごめん。お詫びに10階層攻略を手伝うといったのだが、フィーネが抜けたショックが大きくそんな気にならないとのことだった。この借りはいつか返すと言って彼らと別れた。



「ねえダーリン♡ダンジョンってどんなところなんだろう?って思って来たんだけど、まさか将来の旦那様に出会えるなんて思わなかったよ!」


フィーネは相変わらず右腕にひっついている。


「あら?それはまだ気が早いんじゃないの?付き合ってもいないしハルキくんにも好きって言われないのに。」


俺の左腕はマユにガッチリホールドされている。ガッチリなのだが、ふわっとしている。


「おい、お前ら!そういうのは後にしろ。ここはダンジョンだ。そんな状態だと急な出来事に対応できないぞ!」


ナイス!ムラトの発言で渋々2人は離れてくれた。もうちょっと感触を楽しみたかったが、仕方がない。


そしてナナがマユにくっつきだしたがムラトは見ないふりをしている。


階層攻略は順調に進む。ほぼムラト1人で倒している状況だ。俺がマップで検索、フィーネのゴーレムを囮にムラトが仕留める。マユとナナは相変わらずくっ付いてる。羨ましくなんてないんだからね!


階層が進むにつれてゴブリン以外の魔物も出て来た。5階層ではムラトをちっちゃくして顔も獣のコボルトが出て来た。それを見たナナがかわいい!と言った時にムラトが赤くなって、倒すのに躊躇していたが、魔物だと割り切って仕留めていた。


そのほかにも所々に魔力溜まりのようなものがあり、そこは魔物がウジャウジャ出て来た。しかしその程度ムラトの敵ではない。大量の魔物を狩れたが、素材を解体するのに手間がかかった。お陰で全員解体スキル持ちになったし、俺はレベルも上がっていた。


そして現在ついに10階層到達。

この先の扉を開ければいわゆるボス部屋だ。


「さあ、ようやく着いたな。ボスはそれなりに強いらしいから、一応念のため、装備を確認しておこう。」


ほとんど魔力は消費していなかったので、補充はしなくて大丈夫だった。ちょっと小腹が空いていたが、水だけで我慢する。食べてすぐ動くのは良くなさそうだし。

それぞれの武器と防具に損傷はないかを確認し、いざボス部屋へ。


「グモーッ!」


オークジェネラルの叫び声が響き、取り巻きのオークどもがこちらに向かってくる。


取り巻きは4体。だいたい2mくらいの大きさのそれは、自分の身長と同じくらいの棍棒を振り回して近づいてくる。


「バインド!」


マユの闇拘束魔法で足を搦めとる。


「泥沼!」


フィーネは土魔法で足元に沼を作り出しオークを足止めする。


「魅了!」


ナナの魅了で残りの2体を同士討ちさせる。


マユとフィーネが足止めしたオークはムラトが首を狩る。


俺はオークジェネラルに試したかった魔法を使う。


「魔力吸収!」


左の掌を向け魔力を吸収する、自分の最大魔力以上は体内に吸収出来ない。今回は魔力を使ってないので満タン状態。だから集めた魔力を体に吸収させるのではなく、掌に集め圧縮、さらにそれを敵に跳ね返す。敵の魔力を自分の攻撃に利用することができないかという実験だ。


吸収吸収吸収、圧縮圧縮圧縮、ジェネラルだけあってそれなりに魔力はあるようである。

吸収吸収吸収、圧縮圧縮圧縮。

吸収吸収、、、


「あっ!」


オークジェネラルが前のめりに向けて倒れこむ。攻撃する前に倒れてしまった。吸収しすぎたらしい。せっかく圧縮したのがもったいないので、その魔力をジェネラルの背中に発射する。


「ファイヤー!」


火魔法ではないのだが、なんとなく叫んでしまった。


ドゴーン!


圧縮していたので範囲は俺の拳くらいだが、見事にその大きさの穴がジェネラルの背中から腹を貫通し、床をも貫いた。


不思議なことに床の穴はみるみるうちに塞がっていく。さすがダンジョン。まるで生きているようだ。


本当にあっけなく戦闘が終了してしまった。ものの数分ってどころだろう。俺たちの実力は十分通用する。これなら階層攻略も順調に進むだろう。


とりあえず今日はギルドに素材を売ってこよう。ジャックから頼まれたものはもう少し下の階層に行かなければなさそうなので、明日以降に引き渡そう。

さて、この大量の魔物の素材がいくらになるか楽しみだ。



ボス部屋の奥の扉を開けると、転移魔法陣と下へ続く階段があった。一旦、街へ戻ることにして、今日は転移魔法陣からの帰宅だ。すごく不思議な感覚だったが、思い描いていた魔法の参考になった。あとでやってみよう。


ダンジョンから戻った俺たちは、街へ戻りギルドの買取カウンターに来ていた。対応してくれたのはミレーユだ。他の人を押しやってまで対応してくれることもないのだが。


「買取ご希望ですか?今お持ちなのでしたらこちらのカウンターに載せてもらえますか?」


「いや、ちょっと数が多いからここでは載せきれそうにないんだ。」


「かしこまりました。そういたしましたら、直接倉庫へご案内いたします。こちらへどうぞ。」



ミレーユに促されて、買取カウンターの横の通路を進み、倉庫へ向かう。


「ハルキさん、大量の買取ということはダンジョンにでも行ってきたのですか?それと、女性が1人増えていやがるのはどういうわけですか?」


なんだか後半の口調がおかしいが、気にしないようにする。まあ、両腕にくっ付いてる2人を見れば文句の1つも言いたくなるのかもしれない。完全にリア充っぽいもんな。


「ああ、ダンジョン行ってきたよ。この子はダンジョンで新たに加わったパーティメンバーだ。あとで登録しようと思うんだけど、、、ってフィーネは冒険者登録ってしてるのか?」


ミレーユの質問に答えている時に、フィーネにそのあたりのことを聞いてなかったことを思い出した。


「ダーリン♡私は登録してないよ?そもそも出来るのかな?出来なくってもずっとついていくからね!」


まあ、魔人だしな。出来るのかどうかは確かに怪しいところだ。


「なあ、ミレーユ。どんな種族の人でも冒険者登録って出来るものなのか?」


「(ダーリンとか呼ばせちゃって、本当にもう!)・・・あ、はい!大抵の種族は登録出来ますが、制約が必要な場合もあります。」


「それって魔人でも出来るのか?」


「えっ?魔人ですか?」


ミレーユの目がフィーネを捉える。ちょっと直接的に聞き過ぎたかな。まあ、そうだよな。発言には気をつけなくてはならない。


「あ、ごめん!」


フィーネに謝る。


「気にしないでダーリン♡」


「そういうことですか。その方が魔人なんですね?」


「驚かないんですか?怖がったりとか。」


「まあ、今のその状況を見れば危険がないのはわかりますし、たまにいらっしゃいますから。ギルドとしては依頼をこなしてくれるなら、誰でもといった感じです。ただ一応、パーティの場合は魔人が何か起こした場合にはパーティリーダーに責任がいきますので、従属の腕輪をつけることを推奨します。」


魔人がわざわざギルドに登録するメリットは少ないので、登録に来るような魔人に危険はないらしい。ただ、魔人だということで、恐れられてパーティを組めないケースがあったり、パーティ内での揉め事や酒場での乱闘など、なまじ強いために大怪我をさせることも少なくないらしい。揉めたり乱闘などはどの種族でも起こりうることなので、問題にはならないが、誤って殺してしまうこともあるので、従属の腕輪というマジックアイテムで、強制的に治める手段を持っておくべきだとのことだ。


「推奨するってことは強制ではないんだな。じゃあ、腕輪はいいや。なんか逆に目立ちそうだし。」


そんな会話をしていると、倉庫にたどり着いた。

ミレーユが髭面のおっさんと何か話してる。あの人が倉庫の買取担当なんだろうか?


「大量に素材持ってきてくれたようだな。収納持ちがいるとやっぱり違うな。」


マユの方を見ると、マユも時折こちらで買取することもあるようで、軽く挨拶していた。


「じゃあ、ここに出せばいいか?」


俺がおっさんに確認すると、マユが取り出すと思っていたのか、おっさんはいそいそと俺の方にやってきた。


「あんたも収納持ちだったか、すまない。ここに出してもらえるか?」


「ああ、だが1つ約束してほしいんだが、これから大量の魔物の素材を出すけど、俺の収納のことはバレないようにしてくれ。ギルド内だけで留めてほしい。」


何故だかミレーユが目を輝かせているが、大丈夫だろうか?


「ハルキさんの秘密を守るとお約束します。一応ギルドマスターをこの場にお呼びしてもいいでしょうか?」


「いや、そんなに大ごとにされると困るのだが。」


「箝口令を出すにはギルドマスターの権限がないと出来ないので。」


そう言われたら仕方ない。今から出す素材の量はマユの収納ではとてもではないが持ち込める量ではない。マユの収納のサイズでさえ重宝されていたんだから、俺のは規格外だ、バレるのはまずい。


しばらくすると見た目の年齢に反して、今でも現役を思わせる筋肉の張りを持つおじいさんがやってきた。


「ギルドマスターのジンじゃ。お前さんがすごい収納を持っているというルーキーかい?」


「あー、はじめまして。多分、これがバレると色々面倒ごとが増えそうでしたので。ご足労いただき感謝します。」


「ほぉ〜、なるほどな。それとこれは一個助言じゃ。冒険者なら敬語なんか使わなくていいぞ。貴族出だとバレてしまうぞ!」


そう言って、俺とナナに目を見てニヤリと笑う。なんだか色々バレてそうだ。忠告に感謝しよう。


「忠告ありがとう。わかった。これからは気をつける。じゃあ、素材出すぞ。」


俺は1種類づつ順番に出していく。

ゴブリンの耳 89個

ゴブリンの剣(刃こぼれ多数)35本

コボルトの牙 124本

コボルトの毛皮 62枚

オーク(解体前) 4体

オークジェネラル(解体前) 1体



オークとオークジェネラルは肉として、どこでも食べれるということだったので、解体せずにそのまま持ってきた。オークを出した時はさすがにみんな驚いていた。さらにジェネラルも出したもんだから10階層をクリアしてきたのもバレていることだろう。


「こりゃ、たまげた。確かにとんでもない量を収納出来そうじゃ。それと、同じ種類を正確に取り出せるのもすごい。うむ、わかった。箝口令を出しておく。お前たちもわかったな?」


ギルドマスターの一言で職員たちの緊張が一気に高まった。これなら安心してもいいだろう。


さて買取金額だが、


ゴブリンの耳 89個×銅貨1枚

ゴブリンの剣(刃こぼれ多数)35本×銅貨1枚

コボルトの牙 124本×銅貨5枚

コボルトの毛皮 62枚×銀貨1枚

オーク(解体前) 4体×金貨1枚

オークジェネラル(解体前) 1体×金貨5枚


だいたい日本円で1000万。ぼろ儲けである。

オークみたいな弱い魔物でも肉の需要が高いために高額で取引されているようだ。ジェネラルに至ってはさらに肉質がよくレアなためさらに高い金額で取引される。ちなみに魔物の心臓部にある魔石も売れるらしいのだが、ちょっとした実験に使いたいので、今回は売らなかった。


冒険者って儲かるんだなぁと思っていたが、普通初めてダンジョンに入ってここまでの戦果は上げられないようである。収納持ちがいないと、帰りに持ち帰らないといけないため、そこまで大量に持ち込む人はいないし、ましてやいきなり10階層クリアするなんてありえないとのことだった。

まあ、実力さえあれば、クリア自体はできると思うが、俺のアイテムBOXに匹敵するものを持っている人はほとんどいないんじゃないかと思ってる。


なんだか簡単にマユへの借金を返せてしまった。今までの仕事が何だったのかと思うところはあるが、武器や装備を今後整えていくことを考えれば、これでもまだまだ足りないだろう。しっかり貯金しておこう。


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