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転生魔法使いの愛のある生活  作者: チムチム
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第4話

家に着くと、バーナー家の使用人が勢ぞろいしてた。


「おかえりなさいませ、旦那様。」


使用人を代表して執事のセバスがこうべを垂れる。白髪ではあるけれど、見目麗しいダンディーな男性、それがセバスだ。執事でセバスとかハマりすぎだろうと、最初に名前を聞いた時は驚いたものだ。


セバスは元騎士で今は亡くなった先代とは旧知の仲だったらしい。父さん、アウグストの最初の剣の師匠らしく、執事ではあるけれど当主である父さんの頭の上がらない人でもあるらしい。

最初の、ってとこは父さんがバーナー流剣術を先代から教えてもらう前に基礎を教えてくれた人だかららしい。まだ幼かった父さんにも厳しく指導し、トラウマ的なものを植え付けたらしい。


「ハートランド坊ちゃんの洗礼式はいかがでしたか?」


セバスに続いて声を発したのはメイド長のメアリー。玉ねぎのような髪型で、黒柳○子を思わせるが、こちらも白髪で、三角形のメガネをしており、いかにも厳しそうな印象を受ける。

実際、5歳である俺にも相当厳しく、挨拶や礼儀作法を事細かに注意してくるので、苦手な人だ。

ただ、厳しいだけでなく、よくできた時はものすごく褒めてくれる。いわゆる飴とムチを上手に使い分けてくれるので、嫌いではない。


ちなみに当家にはこの2人の他にメイドが3人、馬小屋や庭の手入れをしてくれる使用人が2人、コックと見習いを合わせて9人がいる。それと、去年生まれた俺のかわいいかわいい妹がいるので、総勢13名がこの屋敷に住んでいる。


メイド3名はメアリーの孫にあたるアイサ、メイサ、リーサの3姉妹。長女アイサが18歳、メイサ15歳、リーサ10歳でリーサに関してはまだ見習いといった感じで、一番歳が近いこともあり、よく遊んでもらっている。


そうそう、去年生まれた俺のかわいいかわいい妹。本当にかわいいかわいい妹、大事なことだから2回言ってみたが、その名をアイリスという。


アイリスは昨年の12月24日に生まれた。その日は雪が降り積もり、母さんの出産が早まったこともあり、産婆さんがなかなか来れず、メイド長のメアリーが代わりに出産に立ち会った。俺と父さんはオロオロしててメアリーに叱られたのは良い思い出だ。


この世界は前世と変わらず365日、24時間を基本にしていて前世と変わらないので、日付に関しての違和感はない。


『ハルキが混乱しないように配慮してあげたのよ』


いきなり俺の思考に女神様が割り込んできた。

どうやらちゃんと見守ってくれているらしい。ありがたや。


話を戻そう。そのアイリスだが、金髪碧眼の部分は母さんの遺伝子を受け継いだようだ。目元に関しては母さんのようなタレ目ではなく、父さんに似ているので、成長したら母さんのような癒し系ではなく、正統派美少女になるのは間違いないと思っている。だからこそ俺がしっかり悪い虫から守らねばと誓っている。



「ちょっと話があるからセバスとメアリーは部屋に来てちょうだい。あ、ハーちゃんも一緒に来てね!」


母さんが俺と2人に言うと、そのいつもと違った雰囲気を感じ取った使用人2人はなにやら目配せをして、その他の使用人に仕事を割り振って人払いをしていく。

父さんも笑顔を取り繕っているが、どこか顔がヒクヒクしている。


「ボク、トイレ行ってくる。」


雰囲気にいたたまれなくなった俺は、一時撤退をする。普段ならアイサあたりが付いてきてくれるのだが、今日はメアリーだった。逃げきれん。


「奥様、坊ちゃんのトイレの後に伺います。」


メアリーはそう母さんに伝えた後、そそくさと俺の手を引いてトイレに向かう。逃す気は無いようだ。さすがはバーナー家のメイド長、俺の行動を見抜いている。



『ハーちゃん、男らしく無いぞ!逃げちゃダメだ。』


女神様は暇なんだろうか?ちょこちょこ話しかけてくる。


『暇じゃなくて、あなたを見守るのが当面の私の仕事なの!常に神託を受けているようなもんなんだから、ありがたく思いなさい!』


『申し訳ございませんでした。』


心の中で謝罪し、行きたくも無いトイレに向かい、用を足したふりをする。腹をくくるかぁ。



部屋に入ると父さんは一番奥の真ん中、執務机に腰掛けていて、その斜め後ろに母さんが立って待っていた。これから何が起こるのか?まあ、十中八九、俺が授かった能力のことについてなんだろうなぁと思いながら、憂鬱な気分で、父さんの元へ歩みを進める。


セバスの姿が見えないなぁと思ったら閉めた扉の前に立っていて、ビックリして心臓が止まるかと思ったのは内緒だ。


「セ、セバス、メ、メアリー、お、落ち着いて聞いてほしい。」


あなたが一番落ち着いてほしい。


母さんが父さんの肩に手を添える。

ふぅーっと息を吐いて父さんは話を続ける。


「今日ハートランドの洗礼式で起きたことについてだ。」


セバスもメアリーも何事かと固唾を呑む。


「ハートランドに魔法の才能が、いや、憶測になってしまうのだが、すごい力が与えられたようだ。」


「失礼ですが、旦那様。憶測とか与えられたようだとはどう言うことでしょうか?通常、洗礼式の後はステータスカードに記載されるので、それをみたらわかると思うのですが。」


そう、ステータスカードを見ればわかる、普通は。


「それが問題なんだ。秘密を守れるか?」


父さんの言葉にセバスとメアリーは深くうなづいた。


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