表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生魔法使いの愛のある生活  作者: チムチム
38/101

第38話

その美しく大きな目が見開き、赤い瞳がキラキラしたと思ったら、大粒の涙を流すナナ。


俺はどうしたらいいかわからずに、ムラトを見る。ムラトのことだから俺のせいだといって殴りかかって来られるかもしれないが、、、。


「ハートランド、あのな、ナナは、、、。」


「ムラト!いいわ、私から話す。」


涙を流していたナナはハンカチでその涙を拭い、気丈な声で話し始める。


「ハートランド先生、ごめんなさい。私のせいであなたの心と身体を傷つけてしまった。あんなに先生が傷つくと思わなくて。話せばわかることだったのに、手を出してしまった。許してくれなくてもいい、ただ謝罪させてください。」


綺麗な姿勢で頭を下げられ、なぜか謝罪されている。その美しい姿に見惚れそうになるが、謝られるのは違う。謝るべきは俺だ。あの時は逃げてしまったけれど、俺からきちんとナナに謝らなければ。


「ナナ、頭をあげてほしい。謝るのは俺の方だ。あの時の行動はナナに怒られて当然だし、そして逃げ出してしまったのは、俺の弱さだ。ナナのせいじゃない。ナナのことは許すから俺のことも許してくれないか。調子いいこと言ってるのもわかる。でも、俺はマユと一緒にいたいから。」



2人して頭を下げて、それを店の入口でやっていたもんだから、何があったのかとちょっとした騒ぎになりつつあった。食事を終えたマユがその場に現れる。


「ナナちゃん?」


「マ、マユちゃん!」


ぼろぼろと大粒の涙を流し、マユに抱きつき子供のように泣いているナナ。


「うえ〜ん、会いたかったよ〜、マユちゃん、ごめんなさい、私が、私が先生のこと殴っちゃったから。私をひとりにしないで〜。うえ〜ん!」


「ナナちゃん、私こそ勝手にいなくなってごめんなさい!でもどうしてもハートランドくんを私が探しに行きたかった!でも、探しに行くってこと言っても、行かせてくれなかったから。本当に本当にごめんね!」


マユも泣き始めてカオスな状況になってきてしまった。とりあえずおかみさんにいってナナとムラトもマユの部屋に入れてもらう許可を取り、みんなで移動する。



ナナ、ムラト、マユの話をまとめると、俺が逃げ出した後、マユは俺を探しに行かせて欲しいと毎日のようにナナに言っていたそうだが、マユと離れるのが嫌なナナはずっと許可しなかったようだ。それがある日突然マユがいなくなり、ナナは落ち込みまくってずっとマユのことを探していたそうだ。そのうちナナからは笑顔が消え、ムラトが常にそばにいてそれを支えていたいう。そして、月日は流れ学園を主席で卒業したナナはアストラム王国の女王となったらしい。余談だが氷の女王とか言う二つ名の話をムラトが出したところで、ナナにブン殴られて部屋の扉を壊してしまったのはご愛嬌だ。

マユは俺をようやく見つけたので、ナナ宛に手紙を出し、それを見た2人がここへ駆けつけたと言うことだった。


「まあ、久しぶりに4人が揃ったんだ。このまま、アストラムに帰ろうぜ。」


復活したムラトが提案する。だが俺は冒険者になろうとさっき決めたばかりだし、どうしたもんか。


「あ、あのさ、俺、この後ギルドに行って冒険者になろうと思うんだ。家を飛び出した俺が今更国に戻っても、色々問題あるだろうし。」


「別に冒険者になるならこんなに遠い国じゃなくてもいいだろう?サジタリアでもアストラムでも冒険者になれるぞ?」


確かにそうなんだけど、俺にはやりたいこと、やらなくちゃいけないことができた。だから国に戻って貴族としてやるとなると色々面倒なことが出てくる。


「まあ、ムラトの言う通り、この国でなくちゃダメってことはないんだけど。俺は自分の能力を自粛せずに使ってみたい。自分で言うのもなんだが、俺の力は他の人とは違う。国に帰って貴族として生きるとなると色々制限がかかってしまうと思わないか?」


「まあ、それはそうよね。先生の力があればどこまでも強くなれそうだし、それを政治に利用されることを考えると、、、。でもご両親には連絡入れた方が良いわよ?相当気を落としてらしたし、私が謝罪に行った時も辛そうにしてらしたから。」


ナナはうちの両親にも謝罪に行ったのか。本当にいっぱい迷惑かけちゃったなぁ。まあ、連絡はするとして、冒険者の道は閉ざしたくない。ステータスカードは父さんが持ってるから、生きているのはわかっていると思うけど、、、。


「ねえ、ハートランドくん、ギルドに登録するとしても、貴族だって言うのはわかってしまうから、結局一緒じゃない?そこはどうするつもりなの?」


「一応それについては偽名を使おうと思う。確か偽名でも問題ないんだよね?」


マユからの質問に俺がそう答えると、可愛くうなづいてくれる。


「で、ハートランド、冒険者としてのお前の名前はどうするんだ?」


それは、、、


「ハルキ!今日から俺はハルキだ!」


そう、前世での俺の名前だ。俺の目的のためには、この名前にすることが最適だと思えた。


今週からは本業が忙しくなりそうなので、毎日更新難しいかもしれません。更新不定期になるかもですが、これからもよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ