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転生魔法使いの愛のある生活  作者: チムチム
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第17話

密室に2人きり、シエラ先生と向き合う。真剣な眼差しで俺を見つめてくる。不意に手を握られた。俺はされるがままにする。


「ハートランドくん、何があったのか先生に話してくれないかしら?」


俺は沈黙を守っている。話すべきか話さないべきか、それが重要だ。この学園で先生が味方になってくれるのか、そうでないのか?俺にはまだ先生の情報が少なすぎて判断できない。


父さんに相談しようか?

いや、母さんの方がいいかな?

うーん、どうしたもんか。

俺が話さないのを見かねて先生は、ふぅーっと大きく溜息を吐く。

そんなに深い溜息吐いたら幸せが逃げちゃいますよ、なんて思ったが口には出さない。俺は空気の読める男だ。


「私がダークエルフだってことは言ったわよね?私は多分あなたが思っているより長い時を生きている。あなたのお母さん、ユーリも私が受け持った生徒だしね。」


エルフは長寿というのは有名な話だから、ありえないとは思わないが、母さんの先生だったということは、母さんが10歳の時には先生だったなら年齢は・・・。


「ハートランドくん。年齢のことは気にしなくていいのよ。」


言い方は優しいがその妖艶な笑みが語っている。この人の機嫌を損ねたら殺られると。女性に年齢の話はタブーらしい。


「それでね、私はあなたのように髪の毛の色や瞳の色が変わってしまった人を知っているのよ。」


「えっ?」


思わず声が出てしまった。俺の他にもそんな人が?話を聞こうと先生を見つめる。


「うふっ、ねえ、私のことをよく見て。」


えっ、いいのかな?お言葉に甘えてじっくり見る。上から90.56.86くらいか?Fはありそうだ。まあ、経験はないので雑誌のグラビアとの比較だったりするのだが。


「あら?ずいぶんおませさんね。でも見るのはもっと上よ。私の目を見なさい、そしてこの髪も。」


そう言ってツヤツヤしてサラサラな髪を色っぽくかきあげる。


透き通るような綺麗な赤い瞳と白くてツヤツヤでサラサラな髪・・・って


「あっ!」


魅惑的なパーフェクトボディにばかり目がいって見逃していたようだ。俺の瞳と髪の色も赤く白い。でも先生は女だし女神の嫉妬でこうなった俺とは違うだろうし?


「気がついたようね。で、あなたも神の怒りに触れたってことでいいのかしら?」


あなたも、ってことは先生も?


「あー、そうね。私自身は神の怒りに触れたわけではないのよ。私たちの種族というか一族ね。それが大昔に怒りをかって、それ以来私たち一族はみんなこの色よ。」


次はあなたの番よ!って感じで手のひらを上に向け、こちらに話を促す。


「うーん、それを話すのは両親も交えてではダメですか?原因についてはいくつか思い当たるんですが、両親にも話していないことを、最初に先生に話すのも気が引けると言うかなんというか、、、。」


一瞬唖然とした表情をした先生だが、すぐに口に手を当て「それはそうよね!」と楽しそうに笑った。


今晩、父さんが帰ってくる時間を見計らって先生がうちに来るそうだ。いわゆる家庭訪問だね。




教室に戻った俺に待ち受けていたのは、王子やアクアリスの質問攻めだった。髪が白くなったこと、瞳が赤くなったこと、そして属性魔法が使えなくなったこと。

特に、母さんから受け継いだ光魔法が使えなくなったことについて話している時、遠目からマキがチラチラとこちらを伺っていた。光魔法使える人はレアだからその辺りで様子を伺っていたのではないかと思っている。まあ、俺もマキには聞きたいことがあるので、後で話しかけてみるか。



シエラ先生も戻ってきていよいよ授業が始まった。最初の授業は、魔法とは何かについてだったが、すでに知っていることだったので、少々拍子抜けだった。これなら父さんが言うように休んで良かったのかもしれない。ただ、周りのみんなは真剣にうなづきながら聞いていたので、「魔法とは何か」という理屈を知らなくても、魔法が使えるのだと不思議に思ったもんだ。



「マキさん、ちょっといいかな?」


午前の授業が終わり、お昼の時間になった時にマキに話しかけた。彼女は自分が話しかけられると思ってなかったらしく、ものすごく驚いていた。


「ハ、ハートランド様、私めに何かご用でございましたでしょうか?」


たどたどしい敬語で受け答えるマキ。彼女の外見は黒髪黒眼がそう見させるのかもしれないが、まつ毛が長くぱっちり二重、鼻は高すぎず低すぎず、唇は薄く、なんていうか日本人アイドル?そんな感じで、前世では絶対に話しかけられないくらいの美少女だ。この世界に来てから父さん、母さんをはじめ、異世界の美男美女を見てきたから、多少は慣れてきたからなんとか話しかけられたのだと思う。


「ハートランド様って。「様」なんかつけなくていいよ。ハートランドでいいから。」


「滅相もございません。これほど神々しい光を放つ方に対してそのような不敬は取れません。」


俺が神々しい?どういうことだろう?この子はなんというか、一言で言えば変な子。


「どういうことなのか教えてくれる?」


「かしこまりました。私の家は代々神々に忠誠を捧げている一族です。そのため、神のご加護や神気を見抜く目を受け継いでおります。

なんでも私どもの先祖が、神によってこの地に連れてこられたとのことで、家名とこの神気を見る目を我が一族は守ってきました。

中でも私は歴代でも一番良い目をいただいたようで、かすかな神気も見ることが出来ます。先日の式の、んぐっ!」


「ストップ!」


慌ててマキの口を右手で塞ぎ、誰にも聞かれてないか確認する。周りを見回すがこちらを見てる人はいないので、大丈夫そうだけど、ちょっと怖いな。この子は口止めしておくか。


「ちょっと場所変えようか?ここだと他の人にも聞かれてしまう可能性もあるから。」


俺に口を塞がれながら、コクンと首を縦に動かして了解の合図をする。


シエラ先生といい、この子といい、結構学園内は危険だな。誤解のないようにこの子も家に連れてきて、話しておくか。


「君にお願いがある。学園内では今の話を絶対にしないでくれ。君の両親や家族にも内緒だ。ボクの許可がない限り話してはいけない。出来る?」


また、コクンと首を縦に振る。


「よし、いい子だ。」


俺が頭を撫でてやると、恍惚とした表情を浮かべている。かわいい子にそんな顔されるとこちらも照れるし色々困る。頭からそっと手を離すと


「あっ」


と残念そうに俺の手をみつめている。なんかいけないことをしてる気分だ。いや、いけないことはしたことないけど、、、。


結局、その日は俺とシエラ先生とマキで家庭訪問ということになった。シエラ先生にマキのことを話すと、


「まあ、サカタ家の子なら当然よね。それに、あの時一緒に倒れてたから無関係じゃなさそうだし。」


と爆弾発言をしていた。他にも倒れた人はいないのか?と問い詰めるとものすごく言いづらそうに話してくれた。Eクラスの獣人の女の子とシエラ先生が倒れたらしい。よほど恥ずかしかったのか、シエラ先生はこちらに目を合わせてくれない。褐色で分かりづらいが赤くなっているようだ。


E組の子も連れて行こうと言ったが、今日は欠席らしい。その子のことも気になるが、まずはこの2人とバーナー家のみんなに、今回の出来事のことをきちんと説明しなくては。先生はダークエルフだし、神に忠誠を捧げた一族ならば、俺の無属性魔法についても何か手掛りがあるかもしれないし。

そんな期待を胸に、今後の彼の人生を占う重要な家族会議が開かれるのであった。


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