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転生魔法使いの愛のある生活  作者: チムチム
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第16話

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朝から駄女神騒動があったため、すっかり遅くなってしまったが、俺は学園に登校しなくてはならない。

父さん、母さんは今日は無理に行かなくても良いと言ってくれたが、そうはいかない。

俺は3ヶ月でなんとか戦える力をつけなくてはならないのだ。1日たりとも無駄に出来ない。

学園までは我が家から馬車で20分程度くらいの距離だから、なんとかギリギリ間に合う時間だ。


「父さん、ママ、行ってきます。」


父さんは苦笑いだ。不思議そうに見ていると、ママと呼ばれてご機嫌な母さんがそっと耳打ちしてきた。


「お父さんねぇー、パパって呼んで欲しいみたいよ。」


屈託のない笑顔で俺にそう言ってくる母さん。うーん、でもなぁ「パパ」って流石にきついな。「ママ」って呼ぶのさえ恥ずかしいのに。いっそもう2人とも父さん、母さんで、統一するか。まあ、母さんはまた怒るかもしれないけど、そのうち収まるだろう。時間もないしな。


「では改めて、父さん、母さん、行ってきます!」



俺は速やかに馬車に乗り込むと、御者に指示してすぐに学園に向かってもらった。


なにやら母さんの叫び声が聞こえた気がしたが、気にしたら負けだ。母さんの面倒は父さんにお任せしよう。


馬車に揺られながらこれからの学園について考える。今まであまり物事を深く考えるってことをしてこなかったが、魔法創生を使うときに少し深く考えたことで、結果的に事態が好転したので、考える癖をつけることにしたのだ。俺もちょっとは成長してきたかな?実際はもう人生40年目だから成長っていうのも変だが。

学園には王族をはじめ多くの貴族がいる。貴族はプライドが高く平民を見下すようなイメージがあるが、実際どうなのだろうか?うちは貴族といっても爵位で言えば底辺だ。父さんは優秀な騎士らしいのだが、実際他の人を見たことないから、比べようがない。父さんが強いのはわかるんだけど、強いだけじゃ色々ダメそうだし。

底辺でも貴族だからか、金髪金眼の王子様や残念公爵令嬢にも見下されてる感はなかった。これが平民の人にも同じ対応が出来ているようなら、俺の杞憂ですむんだけど。

色々こじらせた面倒なヤツがいなければいいなぁ、ってこれはフラグか?


なんとかギリギリ時間内に学園につき教室へ向かう。確か1年のSクラスだったか。昨日倒れちゃったから、校舎に入るのはこれが初めてなので、迷うかなって思っていたが、意外とわかりやすかった。


1年生から5年生までいるこの学園は階層ごとに一階が1年、2階が2年、、、の順になっていて、校舎に入って手前からS、A、、、Eまでのクラスが並んでいる。

1年Sクラスの俺は一階の一番手前の教室で、時間ギリギリの俺にはとてもありがたい作りになっていた。


最初が肝心だ。何より昨日、倒れちゃったしな。よし!教室のスライド式の扉に手をかけて


「おはよう!」


教室内の視線が一斉にこちらに集まり、皆が一様に驚愕の表情を見せる。

あ、忘れてた。白髪赤目になってたんだっけ。


「ハートランド・バーナーです。式では倒れちゃってご迷惑をおかけしました。もう大丈夫ですので、これから仲良くしてください。」


皆がキョトンとしてる中、一際目立つ金髪王子がこちらに近寄り俺の手を握る。


「本当にもう大丈夫なのかい?だいぶ様子が変わってしまったように見えるけど。」


「王子様、ご心配頂き痛み入ります。身体の方は大丈夫です。いくつか魔法やスキルを忘れちゃったくらいで、問題ありませんから。」


王子様に隠し立てしてもしょうがない。俺は正直者なのだ。


「・・・はぁ?魔法を忘れた?」


今までの完璧な王子スマイルが崩れ、呆けた顔をしている。固まってしまったようだ。


「ちょっと!どういうことなの?」


青髪の残念公爵令嬢こと、アクアリス様が王子様に代わり俺に詰め寄る。


「アクアリス様、おはようございます。」


俺は努めて冷静に対応する。


「あ、おはよう。ってそうじゃなくて、何でそんなに平然としてられるのよ?あなた、魔法忘れたって、ちょっと!説明しなさいよ!」



「うーん、説明と言われても難しいんですが、目が覚めたらこんな髪と瞳になってまして、覚えていた魔法が使えなくなってたんですよ。てへっ」


こんな時にも茶目っ気を忘れない、場の空気を読まなくちゃね。と、空気の読めない考えをするハートランド。


「ふざけてんじゃないわよ!」


当然、アクアリスに怒られる。


「なに騒いでるの!授業始まるから席について!」


特徴的な長く尖った耳、白くサラサラな長い髪、色気のある赤い瞳と小麦色の肌。エルフとは思えない白いシャツからこぼれ落ちんばかりの胸と引き締まったウエスト。パーフェクトボディを持つおねいさんが皆を席につける。


「あー、君がハートランドくんね、君の席はそこよ。」


指し示された席は最前列の窓側の席だった。講堂の席も最前列の左端だったので、式と同じように成績順らしい。


「じゃあ、改めまして、私は1年Sクラスを担当になったシエラよ。見ての通り、ダークエルフよ。よろしくね!」


ダークエルフの美人女教師シエラ先生は、俺的にはすごくありがたかった。異世界ありがとう!


シエラ先生はその後簡単な自己紹介をした。

先生の得意属性は火、風、水、土、闇あとは精霊魔法というのが使えるらしい。光魔法意外は全て使えるという天才魔法使い。これは長寿であるエルフだからこそのようだ。それと精霊魔法は属性とはまた違う魔法で精霊の力を借りて魔法を使うんだそうだ。精霊魔法は誰にでも使えるわけではなく、精霊と契約する必要があるらしい。精霊は基本的に姿を現さないそうだが、エルフの森には精霊の集まる場所があるらしく、そこは秘匿されている。ちなみに精霊は人よりも多くの魔力を行使することが出来るんだそうだ。人が使える魔法は体内の魔力を使って現象を起こす。精霊魔法は精霊が人の代わりに力を貸して現象を起こす。


自己紹介を済ませた先生は、Sクラス10名全員にも自己紹介を促す。


「じゃあ、みんなにも自己紹介をしてもらおうかな?こういう場合は大体成績の良い順なんだけど、、、。」


そう言って俺の方に流し目を送る。


ドキッ!


色気のある視線に対してなのか、自分が一番最初に指名されると思ったからなのかは正直自分でもわからない。わからないがドキドキした。


その時、おもむろに隣の席の王子様が席を立って


「いや、ハートランドくんの自己紹介は最後がいいだろう。僕から順番にやってハートランドくんが最後だ。最初にハートランドくんがやるとちょっと場が荒れそうだしね。」


さわやかな笑顔を俺に向ける王子様。俺が魔法を使えなくなったことに対して気を使ってくれてるのかもしれない。いい王子様だ。


シエラ先生も自主性に任せるとのことなので、早速、王子様から始める。


「カール・フォン・サジタリアだ。知ってる者も多いと思うがこの国の第1王子だ。でも王子だからと言って特別扱いはしなくていい。君たちとは同じ学友として交流したいと思っている。得意な属性は火と風だ。よろしく頼む。」


さすが王子様。10歳とは思えない。


続いて


「アクアリス・フォン・サジタリアよ。公爵家3女。カール様と同じように特別扱いは無用よ。得意属性は水、風、土よ。いずれ最高の魔法使いになるつもりだから、みんなに負けないようにがんばるわ。」


残念公爵令嬢もなかなかだ。


「あ、あの〜ミ、ミーシャです。エルフですが、私は平民です。き、貴族でない私が同じクラスで申し訳ないですが、よろしくおねがいします。と、得意属性は風、水、土です。よろしくお願いします。」


得意属性を話した時、アクアリスが凄い勢いでミーシャを見てたなぁ。なんか肩身狭そうだな。応援してあげよう。


「ブライアン・ガンツです。伯爵家の4男だから家は継げないだろうし、冒険者になりたいと思ってます。得意属性は火と土です。」


冒険者かぁ。異世界の定番だよね。俺もやってみたいなぁ。


「ピーター・フランクリンです。一応男爵家の跡取りですが、うちは主に商売がメインなんでなんでも必要なものがありましたら、お気軽にお声かけてください。得意属性は水と土です。」


フランクリンってどっかで聞いたような?あ、フランクリン商会かな?そういえばうちにも来てたような?そこの子かな?今度聞いてみよう。


「ターニャだよ!キツネの獣人、獣人だからっていじめないでね!あ、あと尻尾は触らないでね!得意なのは幻惑魔法、よろしくね!」


これはまた、かわいらしい獣人だ。なんかちっこくってかわいいな。モフモフしたい。いや、エロい意味じゃなくて。尻尾触ると何かあるんだろうか?それに幻惑魔法なんて聞いたことないぞ?

獣人特有のものなのか?


「アンリ。得意属性は闇。」


これまた簡潔な。そして、闇属性。お近づきになりたいが、人を近寄らせないオーラがすごいな。スカーフ?なのか?あれで口元も隠してるし、見た目は小柄だけど暗殺者って感じ。


「モブ・トラッツェリア、子爵家次男だ。俺は平民や獣人と仲良くするつもりはない。俺は貴族だ。貴族は特別なんだ。カール様やアクアリス様がお許しになったからと言って調子にのるなよ。

得意属性は土だ。」


うわぁー、痛いやつだなぁ。いわゆる典型的な貴族主義ってところか。うちは騎士爵だから貴族だけど、近寄らないでおこうっと。


「マキ・サカタです。神の前に人は平等です。皆さん、仲良くしてください。光と、、、いや光魔法が得意です。よろしくお願いします。」


マキ?サカタ?日本人っぽい名前だなぁ。しかも光魔法が得意で神の名を出すなんて。見た目も黒髪黒眼だし。ひょっとしたら、同じ世界から来た?いや、まだわからない。慎重に探っていこう。


「じゃあ、最後にハートランドくん、お願いね!」


シエラ先生から声がかかる。

意を決して立ち上がる。


「ハートランド・バーナーです。先日はご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。ボクは元気です。ただ、その時の影響で髪と瞳の色素をなくし、覚えていた魔法も忘れてしまいました。なので、今使えるのは無属性魔法だけです!よろしくお願いします!」


元気よく宣言してやった。


あれ?場が静まり返っている。心なしか皆、固まっている。あ、カール王子とアクアリスは頭を抱えている。ん?何か間違ったかな?


「ハートランドくん、ちょっと2人きりで話したいから時間もらえるかしら?みんなは先生が戻るまで自習しててね。」


そんな色っぽいセリフを言って来たシエラ先生だったが、笑顔が引きつっている。

あれ?やらかした?


登校初日、最初の自己紹介でやらかし呼び出しをくらうハートランドであった。


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