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転生魔法使いの愛のある生活  作者: チムチム
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第15話

予約投稿に失敗しました

「アイリス、ボクの目を見て、正直に話してくれないか?」


頰を伝い顎先から滴る汗、アイリスは明らかに様子がおかしかった。


「に、兄様、どうなさったんですか?」


アイリスは目を合わせず下を向いたまま、肩を震わせる。


「アイリス、ちゃんとボクの目を見るんだ!」


珍しく大きな声で叫んだために、何事かと父さんも母さんもセバスも3姉妹も集まってきた。


「坊っちゃま、一体何をなさっておいでですか?」


メアリーが俺を咎めるように言うが、ここは引き下がれない。

普段のシスコンぶりからは想像もつかないようなハートランドの言葉に一同が固唾を飲んで見守る。


アイリスの震える両肩を掴み、強引に目を合わせにいく。


「今ならまだ許してやる。正直に言え、まさか嘘なんて言わないよなぁ?」


「はぁーっ。わかりました。ちゃんと話します。」


アイリスは観念したかのように深く溜息を吐き、ハートランドの目をしっかりと見た。


「(ハルキくん、ごめんなさい。)」


俺にしか聞こえない声で謝罪する。


この駄女神がぁっ!!その名をこの場で出すな!


俺のかわいいかわいいアイリスを利用しやがって!!!


声には出せない苛立ちを顔で表現する。


「兄様、許してください。ごめんなさい。もうしませんから、本当にごめんなさい。」


アイリスの顔と声と体を使って謝罪する姿になおも怒りを膨らませるハートランド。周りのみんなはそれを見て唖然としている。


「ちょっと来い!」


アイリス(駄女神)の手を引いて自室に向かう。

誰も部屋に近づかないようにみんなに言うと、気圧されたかのように皆うなづいていた。

自室でアイリスと向き合う。

俺は万が一も考え、ソナーを使う。

声が聞こえないように範囲は食堂まで、立体に展開。


くっ!気持ち悪いが仕方がない。重要案件だ。背に腹は変えられない。


範囲内に誰もいないことを確認。よしっ!


「どう言うことなのか、ちゃんと説明しろ、この駄女神!」


もう敬語とか使えない、それほどまでに俺は怒っているのだ。ひょっとしたら最悪の事態になっているのかもしれない。そんな不安を打ち消すかのように怒気を荒げて女神を見つめる。


「そんなに怒らないでよ。怖いわよ。もうしないから許してよ。あ、妹ちゃんのことは大丈夫、心配しないで。ちょっと眠ってもらってるだけだから。」


アイリスの無事は確認できた。とりあえず一安心。だが怒りは収まらない。


「で、どうしてこんなことをした?もう干渉しないって啖呵切って、急に消えて、加護も消して、俺の髪も瞳も色素が抜け落ちて、これ以上俺にどうしろと?」


「そのことについては申し訳なかったし、私も悪いと思ってる。謝るわ。本当にごめんなさい。

干渉しないって言ったけど、加護を失ってハルキくんがどうなっちゃうのか、心配だったのよ。それに、私もあの時は怒っちゃったけど、ハルキくんのこと好きだから怒っちゃったんだから、ね、わかるでしょ?」


アイリスの姿で可愛らしく言う。くそっ、可愛いじゃないか!


「でもね、ごめんなさい、もう時間がないの。だから用件だけ伝えるわ。勝手かもしれないけど、許してね!」


女神はそう言うと、とんでもないことをこちらの了解もとらずに言い出した。


「私、あなたが好きなの。あなたと愛を育みたいのよ。でもね、女神と人間じゃあどうしたって無理があるでしょ?だから私、神様やめるの。今はまだかろうじて神気があるから妹ちゃんの体に乗り移れだけど、もうそれも限界。私は私として人間になるの。そのことを伝えに来たの。だから、あなたに与えた加護も創世神さまとの約束で外したんだけど、あなたががんばって覚えたものもあったのに、自分勝手だね、私。ごめんね。でも神様をやめることに後悔はしないわ。だってあなたと一緒になりたいから。神としての記憶も力も全て無くして、私は1人の人間になるの。最後の力を使ってあなたと同じ年齢で生まれるの!素敵でしょ?

だから私を見つけて欲しい。神としての記憶は失うけど、ハルキくんを好きな気持ちは忘れないと思うから。お願い、聞いてくれ…と…い…な。」


「おい!駄女神!勝手なこと言うな!」


アイリスの両肩を掴み揺さぶる。


「んーっ、に、兄様、痛いです!」


目が覚めたと思ったら、兄様に肩を掴まれて揺さぶられていた。兄様にやめてって言おうとしたら

兄様は真っ赤な瞳から涙を流していた。


「えっ?兄様、なんで泣いてるの?どこか痛いの?それに、髪の毛も真っ白で、兄様!兄様!」


アイリスの抗議の声も、今のハートランドには届かない。


「俺なんかと一緒になりたいからって神様やめるとかあいつ、本当にバカ!」


普通なら引いてしまうような、とんでもなく重い愛も、今まで異性に男性として愛されたことのなかったハートランド、もといハルキにとっては本当に嬉しかった。

それと同時に記憶と力を失う覚悟をして自分を探して欲しいと消えていったあの女神の自分勝手さにも腹を立てていた。

複雑な気持ちが入り混じりなんとも言えない気分になっている。


「あのバカ、見つけ出したら絶対説教してやる!」


涙をぬぐいながら、ハルキはそう決意した。何一つ手がかりのない女神の生まれ変わりを探すことを。だが、可能性は0でない。一縷の望みを胸に刻み、慌てふためくアイリスをそっと抱きしめたのであった。



ハートランド・バーナー

年齢 10歳

職業 学生


「×××の探求者」←new!


HP 500/500

MP 200/1500

属性

無属性魔法 レベル1

・ソナー レベル2←new!


スキル

無詠唱 レベル1

魔法創生 レベル1

精神耐性 レベル1

バーナー流剣術 レベル5

直感 レベル1←new!


※加護を与えていた対象がいなくなったため、それに関わるものはなくなりました。

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