第13話
ポイント、ブックマークが増えてきて嬉しいです。
母さんが落ち着いてきたところで、父さんは俺が倒れた後のことを話してくれた。俺もお腹が空いていたことを思い出し、メアリーに軽めの食事を頼み話を聞くことにした。
話によると、代表挨拶をした後、俺は倒れた。
場は騒然としたが、幸い俺は命に別状はないと診断され、式は無事(?)終了したようだ。
代表挨拶の後、意識を失うという前代未聞の出来事はすぐに王宮にも伝わり、あっという間に王都中に知れ渡った。
命に別状はないと診断されたが、1日経っても目を覚まさない俺を心配した父さんと母さんは、アイリスを連れて教会に行き女神さまに俺が無事に目覚めるようにお祈りに行ったそうだ。まあ、アイリスはお祈りした後、疲れてしまったのか眠ってしまったらしい。
その帰り際に協会の方から
「女神様がお隠れになったぁっ!」
という不穏な声を聞いたそうだ。
心配になった父さんは急いで家に着くとすぐに俺のステータスカードを確認して、女神さまの加護が消えていることに気付いた。そして秘密を知る一同を集め今後の対策を話し合うことにしたが、先ほどまで眠っていたアイリスが駄々をこねて部屋に入ってきてしまったため、仕方なくメアリーにアイリスを任せ、みんなで話し合っているところに俺が目を覚ましてやって来た、ということだった。
それから学園のことだが、俺は1年Sクラスになったそうだ。クラスは全部で6つあり、成績順にS、A、B、C、D、Eに分かれSとEは10名、他は20名で全部で100名いるらしい。
クラス替えは3ヶ月に1度行われる模擬戦で決まり、特殊な結界を張った闘技場で行う。ちなみにその結界内で負った傷は結界から出ると全回復できるという優れものであるので、安全は保障されている。致死ダメージを負った際には自動的に結界外に出してくれるという、なんとも都合のいい結界だ。
俺はSクラスのトップという成績での入学だが、実技については行なっていない。魔法の基礎的な知識の問題もあったので、そういったものが加味されたのかもしれない。まあ、今回の件で魔法をほとんど失ってしまったので、当面は3ヶ月後の模擬戦に向け無属性魔法がどんなもので、どういう使い方が出来るのかを学ぶ必要がある。どこかにわかりやすい資料があればいいんだけど、父さんも母さんも聞いたこともない属性だと言っていたので自力で探していくしかないかもしれない。
父さんの話を一通り聞いた後、自室に戻った俺は無属性魔法について考えている。そもそも無属性という括りはなんなんだろうか?
火、風、水、土、光、闇が基本属性であることからこれら以外の属性ということだろうか?
そもそも魔法とはなんだろうか?
普段、物事を深く考えないハートランドも考えざるを得ない。誰かに聞こうにも周りの人は誰も知らないのだから。
無属性魔法 レベル1
魔法創生 レベル1
この状態で何が出来るのだろうか?
この世界でいう魔法とは、体内にある魔力を操作して様々な現象を引き起こすための手段だ。魔力は大気中に満ちており、使った分だけ周りから自然に吸収しているものとされている。
MPは体内に留めておける魔力量を数値化したもので、魔力タンクの大きさと言えばわかるだろうか。体内に1000の魔力を貯めておける人はその数値を超える魔力を吸収できない。
ただしこのタンクは成長とともに大きくすることもできる。一般的に言われているのは、使用量が多ければ多いほど、大きくなると言われている。しかし、タンクの残量が少なくなると精神に異常をきたすのではないかと思うほど参ってしまい、残量が完全になくなると死に至る場合もあるらしい。そのため、皆枯渇するまで消費する人は少なく、魔力量を上げる訓練は一人でやるべきではないというのが通説だ。魔力を強制的に回復させるポーションというものがあるが、ものすごく美味しくないらしいし。
魔力量、いわゆるMPは年齢×100くらいが平均で、成長が20歳くらいで止まることを考えると2000を超える人はごく一部の者達だけになる。
加護があった時に、MPが15000あったことを考えるとよほどの人外だったのがわかる。
ついでに説明しておくと、体力量を示すHPも年齢×100くらいが平均値。体力に関しては鍛錬により上げることもできるし、筋力が増えればHPもあがる。
ハートランドを例にすると、HPは5歳児並み、MPは15歳並みと、10歳にしては体力がなく、魔力量は多い、典型的な魔法使いタイプのバランスになっている。
しかし、今のところまともに使える魔法はなく、体力がないのに剣術は使えるというアンバランスな感じなので、この先が思いやられる状態なのだ。
ゲームだったらHP、MP以外にも力、知力、素早さなんて項目があったりするのだが、そこまではゲームと同じではないようだ。
それと、魔法やスキルにはレベルがある。熟練度に関係していると思われるが、はっきりとしたレベル向上の条件は解明されていない。これは以前にも説明したが、数年経った今も状況は変わっていない。使えば使うほどレベルが上がるものがあったり、使っても使っても上がらないものもある。解明されることを願うばかりだ。
改めて無属性魔法について考えてみる。
魔法は体内にある魔力を操作して現象を引き起こす手段。属性を持たない現象を起こす手段と仮定する。属性のある魔法は頭でイメージしてその現象を引き起こしている。
魔法を使うイメージは体内の魔力を意識して手に集めその属性に合わせた現象を起こし魔力を放出。
水魔法なら、手に水球を作るイメージとそれを対象に向かって飛ばすイメージ。
これが無属性ならどうなるか?
手に魔力だけの塊をイメージ、そしてそれを飛ばすイメージ。
何も起こらない、というか手に魔力の塊をイメージしたが、属性魔法のような明確な色がないため、塊ができているのかわからない。
属性にはそれに対する色のようなものがある。
火は赤、風は緑、水は青、土は茶、光は黄、闇は黒。これをイメージし具現化する。
無属性は何色をイメージするのがいいのだろうか?やっぱり無色なのかなぁ。
魔力を感じ取れればいいのに・・・・・・!!!
そうか!!
魔力を感じ取れる魔法を作ればいいのか?
でも、どうやって???
うーん、魔力を感じ取るかぁ。
ふと、前世のアニメを思い出す。
7つの球を集めるあれだ。彼らは魔法ではなく「気」を感じ取っていた。気も魔力も見えないもの、見えないものを感じ取る魔法。
うーん、でもなんかイメージしづらいなぁ。
魔力を感じ取るって言っても、空気中にも魔力はあるって話だし。
あ、そういえば、超音波を飛ばしてその反響で対象物を特定するソナーっていうのがあったな。そんな感じかな?音って属性なさそうだしいいかも。
でも超音波ってなんだっけ?
人に聞こえない領域の音だったかな?
音波って言うくらいだから波か、人に聞こえない音の波、コウモリに出せるんだからやりようによってはなんとかなるかもしれない。
たぶん、スキルなんで宣言する必要はないと思うがやったことないので一応、声に出してみる。
「魔法創生!」
そしてまず自分の中の魔力を感じ取る、それを体全体から放出するイメージ。その時に自分にだけキーンって音が聞こえるイメージ。その音の波が自分を中心に徐々に広がっていくイメージ。
「キーー〜ーーン・・・あっ!」
思わず声が出てしまった。部屋の外にまで範囲を広げた時、途中で音に変化があった。部屋の扉を超えたあたりで音が変わった。
誰かいるのだろうか?恐る恐る扉に近づき、勢いよく扉を開けた。
「うわぁ!」
今まで聞いたことのないセバスの驚いた声。
「ど、どうかなさいましたか?」
動揺を隠しきれないままにセバスは取り繕おうとする。
「いや、何でもないよ。なんか誰かがいるような気がしたから。」
「気配は消していたつもりだったんですが。ハートランド様には敵いませんな。」
「気配」は隠せても「魔力」は隠せないらしい。
これはいいことを聞いた。これを極めれば、隠れていても何がどこにいるのかわかるようになるのかもしれない。
とりあえず成功だ。無属性魔法「ソナー」とでも名付けておくか。
「ソナー」を鍛えて、せめてこの家の人のことくらいはわかるようになりたいな。
「あ、でもこれ攻撃に使えないじゃん。」
魔力の塊を飛ばす、攻撃魔法を作ろうと思ってたのに、いつのまにか探知魔法を作ってしまった俺は、今日は諦めて明日に備えて眠りにつくのだった。
ハートランド・バーナー
年齢 10歳
職業 学生
「女神の加護を失いし者(ステータスマイナス補正)」
HP 500(5000)/500(5000)
MP 1500(15000)/1500(15000)
属性
火魔法 レベル0(5)
風魔法 レベル0(5)
水魔法 レベル0(6)
土魔法 レベル0
光魔法 レベル0(8)
闇魔法 レベル0(1)
無属性魔法 レベル1(0)
・ソナー レベル1(new)
スキル
無詠唱 レベル1(6)(レベル1up)
魔法創生 レベル1(0)
即死耐性 レベル0(10)
物理耐性 レベル0(7)
痛覚耐性 レベル0(6)
魔法耐性 レベル0(3)
幻惑耐性 レベル0(4)
身体能力強化促進 レベル0(6)
精神耐性 レベル1(0)
バーナー流剣術 レベル5
ステータスが見づらいので今後はいじるかもです。




