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転生魔法使いの愛のある生活  作者: チムチム
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第12話

目が覚めると知ってる天井だった。窓から日は差してないから、夜なんだろう。しかし、さっきのは何だったんだろうか?代表挨拶をして、女神様の怒りを買って、、、夢だったんだろうか?

しかし、何で女神様は怒っていたのか?


前世では空気が読めない発言や態度など、人の機微に疎いところがあって、友達も少なく、彼女も出来ない。そんな生活を30年過ごしてきた彼には女神の怒る理由も怒るだけでなく見放されたこともさっぱりわからなかった。

そしてそれが現実だったということも、、、。




まあ、考えても仕方ないか。お腹すいたな。メアリーに言って何か用意してもらおう。


「・・・あれ?」


ベットから起き上がる。特に怪我してる訳でもない。何か違和感を感じた。


「うーん、なんだろう?」


違和感の正体は分からなかった。なんとなく身体がダルい気がする。寝すぎたのかな?


少し重たく感じる身体ではあったが、動けないほどということもないので、メイド長であるメアリーを探しに屋敷の中を歩く。


リビングへ向かう途中、父さんの部屋から話し声が聞こえてきた。誰かしら起きてたことがわかり一安心。

歩みを進める。


「ハーちゃんは大丈夫かしら?」


この声は母さんかな?


「大丈夫だ。これからは俺たちがあの子を支えていってあげよう。俺たちは家族なんだ。大丈夫、女神さまの寵愛がなくなったとしても、あの子はしっかり生きていける。大丈夫。」


何度も大丈夫と、自らにも言い聞かせるように父さんが答える。


えっ?女神さまの寵愛がなくなった?


万が一を考え、俺のステータスカードは父さんに預けている。そのために、俺自身、しばらくステータスカードを見ていない。言えば見せてくれただろうが、後の楽しみにとあえて見ないようにしていた。


盗み聞きをしているようで、いたたまれない罪悪感と、真相を知りたい思いに包まれ、意を決して父さんの元へ行く。


「父さん、女神様の寵愛がなくなったってどういうことなの?」


その場には父さん、母さんのほかに執事長のセバス、そして妹のアイリスを抱きかかえたメアリーがいた。バーナー家の秘密を知る者が一堂に会していた。


目が飛び出さんばかりに驚愕の表情を浮かべた父さんが、いや、その場にいたアイリスを除く皆が同様の表情をしていた。


「ハ、ハートランド、お前、もう、大丈夫なのか?」


「えっ、あ、うん、ちょっと身体がダルい気がするけど、大丈夫。それより、さっきの話を教えて。」


「本当に大丈夫なのか?だってお前、その髪と目は、、、。」



その言葉をきっかけにしたのかわからないが、どこかに隠し持っていたであろう手鏡をそっとハートランドに差し出すセバス。


それを受け取り、姿を確認しようとすると、母さんは目を背けて嗚咽を漏らした。


「なっ?何じゃこりゃぁっ?!」


髪の毛は父さんの赤色と母さんの金色を混ぜたようなオレンジだったものが、色素が抜け落ちたように真っ白に変わり、この世界では珍しい黒い瞳も、流れる血液を思わせるような、鮮やかな赤色に変わっていた。


最初こそ、鏡に映る自分の姿に驚愕はしたが、異世界ならではの姿に思えて、意外と良いかも、などと考えてしまうハートランドはやはりどこかおかしかった。異世界人ならではのものなのか、それとも、、、。



「父さん、俺は大丈夫だよ。たしかに髪も眼の色も変わってしまったみたいけれど。それより教えて、女神さまの寵愛がなくなった話。」


何か得体の知れないものを見ているような目で父さんが見ていたが、それも致し方ないだろう。これだけ見た目が変わってしまったんだからと一人納得して話しの続きをうながす。


すると、父さんは懐からすっとステータスカードを取り出し、恐る恐るといった具合にハートランドに差し出す。



ハートランド・バーナー

年齢 10歳

職業 学生


「女神の加護を失いし者(ステータスマイナス補正)」


HP 500(5000)/500(5000)

MP 1500(15000)/1500(15000)

属性

火魔法 レベル0(5)

風魔法 レベル0(5)

水魔法 レベル0(6)

土魔法 レベル0

光魔法 レベル0(8)

闇魔法 レベル0(1)

無属性魔法 レベル1(0)


スキル

無詠唱 レベル0(6)

魔法創生 レベル1(0)

即死耐性 レベル0(10)

物理耐性 レベル0(7)

痛覚耐性 レベル0(6)

魔法耐性 レベル0(3)

幻惑耐性 レベル0(4)

身体能力強化促進 レベル0(6)

精神耐性 レベル1(0)

バーナー流剣術 レベル5


( )内の数字はマイナス補正前の数値、レベル0のものに関しては俺以外確認できない。父さんたちに見えているのは



ハートランド・バーナー

年齢 10歳

職業 学生


「女神の加護を失いし者」


HP ×××/×××

MP ×××/×××

属性

無属性魔法 レベル×××


スキル

魔法創生 レベル×××

精神耐性 レベル×××

バーナー流剣術 レベル×××


覚えていたはずの魔法を全て忘れ、見たことのない、無属性魔法、魔法創生の表示。そしてなくなった多くの耐性。俺のステータスを確認していたであろう父さんから見れば、ひどく弱体化しているように思えるだろう。

事実、父さんたちには見えないHPやMPは10分の1に、無属性魔法以外の魔法のレベルは0、ほとんどの耐性スキルを失い、残っているのはバーナー流剣術くらい。

加護を失い全てを失ったかに見えたハートランドであったが、無属性魔法と魔法創生のスキルは残っていた。これは創世神から授かったチートであったために女神の加護を失っても影響がなかったが、ハートランドは気付かない。なぜだかわからないけど、全く覚えられなかった無属性のレベルが1になってるなぁ、くらいのものである。さらに今回の件で、ショックを受けるであろう彼が壊れないように精神耐性を授けてくれていた。

そんな創世神の優しさもあり、ギリギリのところでハートランドは成り立っていた。


一頻りハートランドがステータスカードを見ていると、我慢できなくなったユーリが彼を抱きしめる。


「ハーちゃん、大丈夫よ、魔法が使えなくても生きていけるわ。学園はその、大変だろうから、もしあれなら騎士学園の方に編入させてもらっても良いんだし。」


うーん、編入は嫌だなぁ。せっかくあんな美少女が揃ってる学校に通えるし、女神さまの加護がなくなって弱くはなったけど、その分もう干渉されなくなるわけだし。なんとか通えないかな?


「ボクは魔法学園に通うよ。せっかく入学できたんだし、無属性魔法ってやつを鍛えるためにも行くべきだと思うんだ。それにママとおんなじ学校に通いたいしね!」


なんとか言い訳を作り、母さんが喜びそうなコメントを付け加える。伊達に人生経験を40年もしていない。


母さんは一瞬嬉しそうな顔をしたが、真面目な顔に戻すと、俺の両肩に手を置きまっすぐにこちらを見つめてきた。


「いい、ハーちゃん。あの学園はね、魔法の使えない子にはとことん冷たいの。今のハーちゃんは魔法をほとんど使えない。そんな状態であの学園に行けばきっとひどい目に合うわ。ましてや、天才と言われたあなたが、まるっきり魔法を使えなくなったなんてことが知られれば、どうなるかわからないのよ?無理に不幸を背負いに行く必要はないわ。あなたの安全のためにも編入するべきよ。」


うーん、本気で心配されているようだ。まあ、当然といえば当然だが、でもあの学園に行きたい。

無属性魔法と魔法創生があればなんとかなると思うんだよな。いざとなったら、剣術スキルもあるし。ハートランドは深く考えない。


「ママ、心配してくれてありがとう。でもボクは編入したくない。本当に辛くてどうしようもなくなったら、編入させてもらうかもしれないけど。やる前から諦めたくないんだ。」


「よしわかった!まあ、ハートランドがそこまでいうんならやらせてみようじゃないか?もしダメだったら俺たちで守ってやればいい。そうだろ?」


父さんは朗らかな笑みを浮かべたまま、母さんを優しく諭し、そっと抱きしめた。


母さんは父さんの胸に顔を埋めて、声を出して泣いていた。


心配してくれている両親に感謝し、これから待ち受ける困難に立ち向かう覚悟を決めるハートランド。しかし、深く考えずに決めたこのことが今後に大きな影響を残すことを彼はまだ知らない。


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