第1話
初投稿です。
ご存知だろうか?30歳までに〇〇〇出来ないと魔法使いになっちゃうという迷信?を。
40歳なら賢者にもなれるという。
山上春樹はまさに今、その時を迎えつつあった。
あと2時間で30歳。信じてないといいつつ、ちょっとだけ、ホントにちょっとだけ期待してみる。
まあ、実際あるわけないけど、それくらいしたっていいじゃないか!
今まで周りにバカにされつつも守ってきたものなんだ!
と、1人ゴチる。
30歳まで友達と呼べる人はほとんどいない、そんな奴に彼女なんてできるわけがない。人付き合いが苦手なのもあって就職の面接すらグダグタで、今もまだフリーターだ。
自分では顔は悪くないと思ってはいるが、周りのウケは良くない。いじめられたりはなかったが、周りに人が集まることもなかった。
そんな中、優しくしてくれる女の人がいた、今までの人生で唯一と言っていい。その子のことは好きだったし向こうも好きだと思ってたが、友達以上にはなれなかった。勇気がなかった、振られて傷つくのが、振られたあと、また1人になるのが嫌だった。
そんなことをとりとめもなく考えていたら、いつのまにか時計の針は0時を迎えようとしていた。
俺は目をつぶり、カウントダウンを始める。
5、4、3、2、1、0
目を開けた時、そこには知らない景色が飛び込んできた。
ここはどこだろう?
知らない天井だ。言ってみたい台詞ランキング上位を呟きつつ天井を眺める。
身体は動かない、いや動かしたくてもうまく動かない感じだ。
無機質な天井を眺めつつ、今の状況を確認して見る。
そんな時、甲高い声が聞こえた。
「ハートランドちゃん、起きたの?」
首が動かないので目線だけ動かして見る。
そこにはいわゆる金髪碧眼、ゆるふわドリルのタレ目の美人がこちらを見ていた。
開かない目を見開き、覗き見る。
その女は俺に近づき腕を広げた。
突然のことに戸惑いつつ見ているとその女はあろうことか俺を持ち上げ腕に抱く。
困惑している俺が楽しいのか、満面の笑みを浮かべたまま覗き込む。
恐怖で顔を引きつらせながらも、危害を加えられないかを慎重に観察する。
その女はそんな俺を見つめながら、形の良い眉を八の字にして不安そうに覗き込む。
「怖い夢でも見た?ママが守ってあげるからね!」
「(はぁ?)」
あれ?声が出ない。ん?なんだなんだ?
それよりこの女は何を言っているんだろうか?
ママだと?
こんな自分よりも年下の女がママ?
「(はぁ?)」
意味がわからない。なんでこうなった?
確か、30歳の誕生日を1人で迎えて、その後・・・。
「(あれ?)」
その後どうしたっけ?記憶がない。
あれ?これってひょっとして転生ってやつ?
確か行きつけの居酒屋店員がそんなアニメがあるって言ってたような?
もしそうならこの世界でやり直しってことかな?
ふくよかな胸に抱かれながらもそんなことを考えてた俺は、とりあえずその柔らかさに体を委ねつつ、これからどうしていくべきか考えていた。




