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DAYS2 -AnotherSide3- 『おにーさんにも、見せたかったなぁ』

『DAYS2 -4-』にて、二十三番とナナミがメインホールを出てからの出来事

『DAYS2-AnotherSide2-』の続きになります。

【ナム視点】


  刀を構えて距離を測る。大型ノッカーの動きはその血の滾りが見える程に発達した巨躯と筋肉から遅いと感じるには、あまりにも俊敏すぎる。小回りこそ効かないが、圧と共に勢い付いた動きをするからそう感じるのだろう。


 ヤツが飛び込んでくるであろうタイミングを見極める為、私はジリジリと大型ノッカーとの距離を測りながら、一人ゴチる。

「したって最近、大型多くないかなぁ……」

 足元でバキバキと罠を踏み潰しながら、少しずつこちらに向かってくる大型ノッカーは、意図が読みにくいあの双子のどちらかが気まぐれか善意か分からないが作ってくれている固有武器を壊している害悪でしかない。ありふれたノッカーであればとりあえずは動けなくなるくらいの電流は流れているはずなのに、アイツはそれを物ともせずに、もう十個近い罠をバラバラにしていた。


 罠を罠だと理解しているのか、わざわざ罠を踏み潰して歩み寄ってくる大型ノッカーから視線はずらさずに、とりあえずヤツが第一目標にしていたであろうドアの中にいる部屋主に届く事を願って声をかける。

「部屋の中の人! そこにいる!? この声が聞こえてたら、良いって言うまで開けちゃダメだからね!!」

「は、はい!」

 聞こえたのはこの施設の生き残りの女性達が普段間違っても出しそうの無い、か細くも精一杯出したであろう女性――というよりも女の子のような可愛らしい声。しかしにーさんは本当にハーレム環境に恵まれているなぁなんて、こんな時だというのに私は思わず苦笑してしまった。


 ただまぁ、そのハーレムもにーさんとナナミが無事にコンテナ部屋のノッカーを打倒して、私がコイツを倒したらの話だ。前者も後者も、きっと難しすぎる事ではないはず、このくらいでくたばってもらっちゃ困るし、私だってこのくらいでくたばるのは困る。


 まずは、目の前の敵を、と思った所で、大型ノッカーの少し後ろのドアが唐突に開いた。

「せっかく作ったもんを、壊すなー!!!!!」

 まるで子供がタダをこねている時のような、甲高い叫び声が聞こえて、私はあっけに取られる。だが大型ノッカーもそのようで、一瞬動きが止まっているのが見えた。


――あの双子ってこんな感じなの?

 

 おそらくも何も、開いたのは確実に双子が一緒に生活をしている部屋だ。そして叫び声がした数秒後、大型ノッカーがその叫び声の主を確認するよりも先に、双子のうちのどちらかが部屋から飛び出し、思い切り大型ノッカーの背中をぶん殴って部屋に戻っていくのが見えた。

「おーい……、ほんとーに子供かよぉ……」

 アタシは双子の部屋のドアが大きな音を立てて閉まったのを聞いて、ため息混じりに呟く。確かに、部屋の外でバキバキと罠が壊されていく音が聞いたら、製作者的には腹が立つのも分かるが、あんな罠を作ることが出来る頭を持っている割には、なんて無謀な真似をするのだ。


 勿論、その殴打に大型ノッカーは痛みすら感じなかった事だろう。一旦殴られた方を振り向いたが、誰もいないことを確認すると、またこちらに歩を進めてくる。


 だが、大型ノッカーが振り向いた数秒の間、私に背を向けた少しの間に、ヤツの背中に、何か機械めいた物が。


――見えた、ような。

 

「まっず!」

 あれが爆弾の類いだと気付いた瞬間、巨大な爆発音が鳴り響く。あれは、あの双子の片割れは自分が作った罠を大型ノッカーに壊されまくった腹いせにぶん殴って帰ったなんてもんじゃない。おそらく大型ノッカーの背中に自作爆弾か何かをくっつけて、それが爆発する前に急いで部屋に逃げ帰ったのだ。


「うっそでしょ……」

 爆発音と共に、大型ノッカーが物凄い勢いでこちらに吹き飛んでくる。殺意は、それでも消えていない。すれ違いざまに掴まれそうになった私はその攻撃を思わず避けると、ヤツはその勢いのままにメインホールの中に突っ込んで行く。

「ヨミ! 避けて!」

 叫びながら振り返るが、大型ノッカーの姿に重なりヨミの姿が見えない。見えるのは、背中が焼け焦げた大型ノッカーの姿だけ、ダメージを負っているが、絶命には至っていないはず。


 方向の都合上、私はヤツの背を取った事になる。急いでヤツを追いかけて斬りかかろうと振り向いた所で、銃声が一発響いた。その銃声と共に、吹き飛ばされて尚私を狙う殺意を持ち、爪を出して殺意を顕にしていた大型ノッカーがドタッと仰向けになって床へ倒れ落ちる。爆発の勢いが殺され、銃弾が撃ち込まれた場所も致命的な部分だったのだろう。起き上がる事は出来ずにいるようだったが、それでもまだ絶命に至っていない事に嫌気が差す。

「んっとにしぶといな! ヨミ、今行くから!」


 言いながら慌ててヨミの姿を確認した私は、ソファから立ち上がり弾倉に銃弾を込めている彼女の姿を見て安堵する。だがその顔はいつもの朗らかな顔では無い。しかし、怒りに満ちているわけでも無い。


 ただただ、彼女の顔は恐怖すら覚えるような無表情のまま、その銃を手に大型ノッカーの元へと歩いて行く。

「ヨミ! そいつまだ生きてるからね! 気をつけて!!」

 ヨミに聞こえるように廊下から走りつつ叫ぶが、その言葉が彼女の耳に届いていたかどうかは分からなかった。そう思ってしまうくらいに、彼女は淡々と作業をこなすかのように仰向けになった大型ノッカーの前に立ち、その眼球に銃口を向けた。


 やや遠目に見えた彼女は、何かを呟いた後に、仰向けに倒れたままの大型ノッカーのその眼球へと、あらぬことか銃弾を撃ち込むのではなく、その手に持った銃の銃口ごと突き刺した。

「これは、お返し!」

 銃口を突き刺す前に呟いていた言葉は分からなかったが、大型ノッカーの命が潰える銃声が聞こえる寸前に、ヨミが大声で言い放った言葉は、聞き取れた。


 『お返し』

 

 彼女にとって大型ノッカーとは、個体こそ違えど昨日の雪辱を晴らすという意味で因縁の相手なのだろう。だからこそ、最初の一体目に大型ノッカーが現れた時に援護に回ってくれた彼女の冷静さに感謝を覚えた。怒りは静かに燃えていたのだ。殺されかけて、にーさんにも借りを作った事を、きっと彼女は笑いながら隠していたのだろう。

 

「ヨミ! 無事!?」

 私は急いでヨミに駆け寄る。すると撃ち殺したノッカーを無表情のまま見つめていたヨミがハッと驚いた表情をして、こちらを振り向く。私と目が合う頃には、もう既にニッコリと笑っていて、右手に拳銃を持ったまま左手でピースして見せた。眼の前に化け物の死体があるのに、長い事この施設で生き抜いた代償として、私達はもう何処かに狂気が染み付いているのだなと思いながらも、笑い返した。


「びっくりしてお目々ぱっちりでしたんで!」

 仰向けに倒れて絶命している大型ノッカーの目を見ると、その中央に銃弾が二発撃ち込まれいるのがわかった。

一発は分かる、先程銃口を突き刺した撃った時の銃弾だ。だが、それは単純な怒りと共に撃ち込まれたトドメだったというだけだという事がわかった時、少しだけゾッとした。

 

 二発の銃弾、ヨミが銃口を刺した時に撃ち込んだのは二発目で、ならば眼球の真ん中を的確に撃ち抜いているもう一発は……、まさか吹き飛んでいる状態のノッカーの眼球の、しかも中心へと的確に銃弾を当てたという事なのだろうか。まさか彼女にこんな射撃の腕があっただろうかと疑ってしまう程の出来事が起きていた。その事実に驚いていると、ヨミに服の袖を引っ張られる。

「ていうか! なんか飛んできてましたけど!!」

 とんでも無い技術の片鱗を見せたヨミはもういつもの表情で、いつものような雰囲気に戻っていた。怒りによる過集中なんて物があるのかは分からないが、少なくともさっきの彼女は良い意味か悪い意味か"らしくなかった"

「ああ……、多分双子のどっちかがやったんだろうね……」

 廊下側を振り返ると、当たり前だがドアは大きな音を立てて閉められたまま開く素振りも無く、廊下は静寂に包まれていた。おそらくは爆発と銃声で問題は片付いたと判断したのだろう。というか、片付いていないにせよ顔を出してくるような人達では無いという印象ではあるが。


 部屋開きの場合に出てくるノッカーは多い時だと四体だが、実はそのパターンはそこまで多くは無い。十回に一度あるくらいの確率だろうか。基本的に部屋開きの時に出てくるノッカーの数は、大方は二体から三体。運が良いと一体だけの時もあるが、それも十回に一度あるくらいだ。にーさんの部屋開きの時が大型三体にステルス型一体の合計四体だったから、四体が続く事なんて無いと願いたい。


 そんなアタシの希望的観測とは逆に、ヨミは冷静に撃ち出した分の銃弾を弾倉に詰めていた。無鉄砲な性格もあるが、そういう点についてはある種シビアに考えているのがヨミの良い所でもある。絶望的観測というには言葉が悪すぎるが、常に最悪を考えて行動している、とはいえにーさんの時のような例外もあったようだが。

「もしいるなら後一体。まぁ、確率的にはそんなでも無いですけど……、一応警戒はしておかないとですね」

「うん……。私も気が緩んでたな。ステルス型の時、ごめんね」

「いーえ! ああいう時こそ遠距離武器がお役立ちってヤツですよ! あと私、とっても目がいいんで!」

 ヨミは私を責めようともせずに笑う。私の心がこの笑顔に癒やされていくのを感じるのと同時に、自分の責務を全う出来ていただろうかと考えて少しだけ罪悪感が心を刺した。


 ほとんどただの刀と変わらなくなってしまったアタシの『青刀・秋刀魚』といい、気の緩みといい、最近のアタシはダメダメだ。

「ねぇヨミ、私の秋刀魚、弱くなっちゃった」

 ヨミの目の前で刀の振動スイッチを押して見せる。だが、刀は音も聞こえない程に弱く振動するだけだった。直に固有武器としての最大の力は出なくなるだろう。

「でもなむちゃんって、それ素の状態で使ってる事多かったじゃないですか」

 慰めるように、ヨミが取り繕ってくれる。それが同情や簡単な慰めではなく本当の優しさなのは、長年の付き合いでよく分かったが、それでも少しだけ心が悲しみに持っていかれそうになっている自分がいた。

「脆いヤツらにはね。でも大型は毎回振動状態で戦ってたからさ、まさかそれが無いだけであんなに苦戦するとは思わなかった」

 私は少しだけ気を落とした声で呟くと、目の前にいるヨミが顔を寄せて少し笑う。

「へへ、なむちゃんの焦る顔近くで見たかったなぁ。でも私は大丈夫だって信じてましたよ!」

 嬉しい事を言ってくれるが、あんな顔は絶対に見せたくない。この子にだって、アタシの気が抜けていた事くらい分かっていたはず、けれどそれには一切触れずに私を立ててくれているのだ。


 だからこそ私も、もういい加減グダグダと落ち込まずに、話を切り替えた。

「あーあ、髪でも切ろっかなぁ」

 いや、やっぱりまだグダグダしているのかもしれない。よく侘びの証として髪を切ったりするよなぁなんて思考が、自分の中にあったことに気付く。

「えぇ?! それはやりすぎですよ!」

 ヨミが驚いたようにこちらを見る。

「やりすぎって?」

「あっ、えっと……。いや、ごめんねってさっき言ってましたからそれかなって」

 やっぱり、この子は優しい。分かりやすい事ではあるにしても、私が髪を切ろうと言い出す理由に、彼女はすぐに気付いていたのだ。


「ヨミが伸ばすからさぁ、お揃いで伸ばしてたんだよね」

 慌てたアタシは冗談混じりに、実はそこまで冗談でも無い告白をすると、ヨミは少しだけアタシから距離を取る。

「うぇー……、重いですよそれぇ……」

 

――やっぱり、優しくないかも。


「とにかく、そのうち切っちゃおうかなぁ。気合いも入れたいしね!」

 私がそう告げると、ヨミの笑顔は少女の面影が見える朗らかな顔から少し大人びた優しい笑顔に変わり「その時はナナミちゃんにやってもらいましょうね!」と小さく頷いた。


 部屋開き時に現れる四体目のノッカーがまだこちらへ向かっている可能性があったので、開いた部屋のドアの付近を警戒をしながら、私達は倒したノッカーを引き摺ってメインホール端にある廃棄物用の大きなコンテナに放り込んだ。このコンテナは、定期供給される食料部屋のコンテナとは逆で、定期的に中の物を失くしておいてくれるいわゆるゴミ箱だ。一見すると、オブジェのようにも見える黒い四面体だが、上部には取っ手があり、開くようになっている。にーさんとヨミとホールまで歩いた時には話題に出なかったから、にーさんがそれに気付かなかったのか、オブジェだと思い触れなかったのかは分からないが、このゴミ箱は廊下にもそこそこの間隔で多く設置されていた。


 ゴミ箱の中身は定期的に音も立てずに空になっている。詳しく確認したことは無かったが、おそらくその周期はコンテナ部屋に食料が供給されるのと同じ一週間なのだろう。便利だとは思うが、要するにコンテナ部屋のコンテナは予め用意された中身を定期的に出して、ゴミ箱用のコンテナは予めセットされた時刻に中身を何処かへ放り出しているだけだ。流石にこのゴミ箱用コンテナに入って脱出を試みた人間はいないので、この先がどうなっているかは分からない。


「とりあえず、開いた部屋主のとこ行ってみよっか」

 四体目に警戒しつつ、床に付着した血液を簡単に掃除し終えた頃には、四体目が現れそうな時間帯も過ぎていたので、ヨミと一緒に開いた部屋まで歩き始めた。

「中の子は確認出来ました?」

 流石に彼女も警戒を解いたようで、拳銃はホルスターに閉まっている。

「ぜーんぜん、頭良いのかビビりなのか。開ける素振りは少しも無かったよ。でも声は女性だったね。声だけで言えば大人の女性って感じはしなかったけれど、流石にそれは姿を見ない事にはね」

「なるほどー……、女の子かぁ」

 女の子とまでは言っていないのだが、ヨミは少しだけ不服そうな顔。そう考えると原因はおそらくにーさんだ。正確には分からないものの、にーさんの大体の年齢から考えると、今この施設にいる女性は彼が余程偏ったストライクゾーンを持っていない限り恋愛対象に成りうるだろうと考えると、その不服そうな顔はライバル出現の顔だとしか考えられない。


――あれ? この子は本当ににーさんが好きなのか?


 解せぬ、解せぬ、解せぬ。ヨミ以上に思い切り不服そうな顔をしているであろう自分の顔を見せないよう、彼女から顔を背けつつ、目的のドアの前まで辿り着いた。

「いるー? とりあえず驚異は去ったぞー!」

 声をかけてみるも、少しも返事は無い。中にいるのはれっきとした人間のはずなのだけれど。ドアに耳を当てても、物音すらしなかった。


「おーーい!! いるかー!!」

 もう一度声をかけて、少し意地悪程度にドアを数回叩いてみる。だが、変わらず返事はない。思わず自害なんてしてないよな? と思いながらもう一度ドアを叩こうとするとヨミに制止された。

「もう、意地悪はダメですよ? というかなむちゃん! この部屋、もしかしてすごい広いんじゃ……」

 ヨミに言われてドアを見てみると、確かに隣のドアが近くに見当たらない。十数メートルある廊下の端まで、この壁側にあるドアはこのドア一つだけだった。逆側の壁には、その廊下の端までに五部屋分のドアがある。そちら側から見た四つ目の部屋が、さっきノッカーに爆弾をぶちかました双子達がいる部屋だ。


「聞こえてない、みたいな感じ?」

「かもしれないですね……。私達の部屋のサイズは大体同じだと思っていました。ナナミちゃんの部屋みたいなギミックがあったり、多少の大きさの違いはあっても、此処までドアの感覚があるって考えると、もしかすると物凄い広い部屋もあるのかも……」

 ヨミがタタタッと廊下の曲がり角まで行き、曲がり角の奥を目を細めて眺めた後に、行きよりも早いスピードで帰ってくる。

「やっぱり、多分この部屋、すごい広い! なんで気づかなかったんだろ。 曲がり角の先も、この壁側にはしばらくドア無いですよ!」

 やや興奮しながら口早に話すヨミに、何故ここまで興奮しているんだと疑問を持ちつつも、確かに広い部屋、羨ましいなあなんて事を考える。


「ということは、出てくるの待ちかぁ……。声色的には結構ビビってたみたいだったから、少し時間かかるかもなぁ……」

 二人で溜息を付き、アタシは開かないドアをボーッと見つめる。とりあえず部屋開きで出現するノッカーの危険はもう無さそうではあるが、逆に頑なに引きこもられると単純に食糧不足等の理由で中にいる人間が危険だという可能性もある。部屋開きこそ少ないからまだ良いが、前はノッカーが歩き回っている事だってザラにあったのだ。だから本当は開いてすぐに話が出来て、上手く出来れば固有武器まで確認してしまえると良いのだけれど、それは今の段階では難しそうだった。


「私達は部屋を出てすぐ横のホールにいますのでー! もし聞こえてたらそのうち出てきてくださいねー!」

 私の声が威圧的だったと思ったのだろう。ヨミはなるべく優しめで、だけれど大きな声でドアに話しかける。彼女のその言葉にも返事は無かったので、とりあえず私達はホールの中へと戻った。


 ホールに戻りソファに腰を降ろすまでのほんの短い道中で、ヨミに聞きそびれていた事があったのを思い出した。

「ねぇ、そういえば大型に銃口突っ込む前、なんて言ってたの?」

「あー……、それはですね……。ナイショ!ナイショです!」

 恥ずかしそうに顔を振るヨミ。ペチンペチンとアタシの肩に当たるポニーテール。


――あぁ、少し痛いけど幸せだぁ。


 可愛らしい痛みを感じながら、どうせにーさんの事なんだろうと思うと少し悔しくもあったけれど、今のヨミの顔は私が知らない顔だ。私が彼女にこういう顔をさせられない事はとうに知っている。だからこそ彼女のこういう顔が見れるのならば良いのかもしれない。

そんな事を思いながら私ははにかんだままの彼女の頭を軽く撫でた。

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