表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/14

第1話 人生は唐突に終わりを告げる

初めまして。多頭竜です。

結構前からノートとかスマホのメモ帳に書き溜めてたアイディアを遂に放出します。

刀好きとは言いますが、あくまでも、刀をメインした異世界モノを作りたい!!

……との思いで書いているということをご留意願えますと幸いです。


稚拙な文章力ながらも頑張って書いて参りますので、どうか、今しばらく主人公の少し変わった英雄譚にお付き合いしていただけますと幸いです。





 額に流れる汗を服の袖で乱雑に拭う。


「クソッタレ……!」


 もう走り続けてどれくらい経つだろうか。

 さっき拭ったはずの汗がすぐに垂れてまた視界を塞ぎにくる。

 別にそれに苛ついて悪態をついたワケじゃない。

 勿論汗もできる事なら今すぐ妨害行為を辞めて欲しいが、それは流石に無理がある。


 俺が苛つくのはこの状況に対してだ。


「待てゴルァ!」


 イメージピッタリの巻き舌を発動し、数人のガタイの良い男たちが後ろから追走してくる。


 別に俺はアイドルとかじゃない。

 もしそうならこんなむさ苦しい男に追われるハズはない。

 きっと見目麗しいピチピチの女の子達にキャーキャー言われながら追われているはずだ。

 こんなに命の危険を感じるはずがないのだ。


 そう。俺は何を隠そう―――――ヤクザに追われているのだ!


 …………絶賛現在進行中である。



*


 

「ぐっ……!」


 暗い路地裏を走りながら、俺は何度も躓きそうになるのを必死に堪えていた。

 当然、ゲームばかりしている俺は運動をする人間ではなく、筋肉は簡単に悲鳴を上げていた。

 無理な体勢をすれば疲労が加速度的に蓄積されていくのがわかる。


 しかも、撒いたと思って小休止を挟んでいたりすると何を嗅ぎつけたのか、すぐに奴らの声が聞こえてくる。


 ……一体どんだけ包囲網敷いてるんだよ……。


「おいゴルァ待てつってんだよォ!」


 さっきよりも声が近くなっている気がする。

 やはり距離を縮められているのだろうか。

 でも俺には疲労と体中の痛みでもう後ろを振り返る余力すら残っていない……


 そして、もしも、


 ―――――捕まれば一体どうなるのか。


 自分で言うのも難だが俺は臆病だ。普段ならこんな状況に巻き込まれるミスは犯さない。だが、今更そんな詮無いことを愚痴っても状況が変わるわけじゃない。

 もしも……なんていう妄想は無駄な恐怖心で俺の足を鈍らせる要因になるだけだ。


 だからそんな悪い妄想を振り払って走り続ける。

 しかし、俺は先程から度々縺れそうになる足を認識していた。

 もう足に上手く力が入らないのだ。

 きっとこの逃走劇は長くは続かない。でも、


 時間を稼げたのなら、それで良い。


「ハァッ……ハァッ……まだ……っ!」


 まだ走れる。後少し、後少しだけだ。


 俺はこの逃走劇に決着を着けるためにあるものを探していた。

 恐らく、俺の勘が正しければこっち側―――――


「ハッ……ハッ……光―――!」


 何度も背後から聞こえる声を極力意識しないようにして薄暗い路地を駆け抜け、遂に、光が見えた。

 俺の目に映るそれは、文字通り希望の光明だ。

 あれは探していた大通りの明かり。雑多な喧騒も聞こえてくる。


 あそこに飛び込めさえすれば―――!


「―――テメェか。」


 真横にあった路地から低い声が聞こえたと思うと同時。

 突然目の前の光が遮られ―――――


 ドスッ!


「かはッ……!?」


 ―――――鈍い音と共に、俺の体は宙を浮いた。


 一瞬意識が飛びかけ、


「がッ……うッ……」


 背中や後頭部への衝撃ですぐに覚醒する。


 しかし、次の瞬間。


「――――――――――ッ!!!!!」


 遅れてやって来た凄まじい衝撃が俺の腹を襲った。


「ォウェェェ……!」


 殴られた?俺が?あの状況で?


 とにかく腹がヤバい。

 疲労で傷んでいた部分に思いっきり風穴を空けられた気分だ。

 ゲロが喉に詰まってまともに呼吸もできない。


 悶絶しながら嘔吐する俺に、コツ、コツと足音が近付く。

 僅かだが顔を上げると、縦縞白スーツのデカいオッサンが向かってくる。

 大通りからの逆光で顔はよく見えないが、そっちから来るということは俺を殴ったのはコイツか。

 先に路地の角で待ち伏せしていやがったのか……。


 やがてその男は俺の目の前で止まると、後から来た俺を追っていた数人へ向かって口を開く。


「汚ぇガキだな……お前ら何ボーッと見てやがる?早く奥へ運べや。」

「すいやせん!!」


 ……こんな状況でも冷静に周囲を観察している俺に若干腹が立つ。どうやらまだ俺の本能はこの状況から逃れる隙を探しているらしい。


「オラ、兄貴が奥へ行けっつってんだよ、オメェ自分で立てや?」


 兄貴か……どうやら白スーツ男は俺を追っていたヤクザ達の上司に当たるようだ。

 奥ってことはあの喧騒から離れる為か?

 だったら尚更。あそこにさえ近付く事ができればこの逃走劇に勝機はある!


 幸いにもゲロまみれの俺を持ち上げたくないのか、周りの下っ端ヤクザは立てと言うばかりで捕まえては来ない。

 俺は、僅かに残る力を文字通り振り絞っ―――――


 ガンッ


「……テメェ、逃げようとしたな?」


 思いっきり頭を踏まれた。あの白スーツ男だ。周りはアホなのにお前は目敏いな…………。

 

「これで……終わりかぁ……ハハ…………」

 

 ああ……。あの目の前の光がとても遠い。

 でも最後くらい、良い事したよな……。

 

「何笑ってんだ?気色悪ぃガキが……ったく手こずらせやがって…………よォッ!」


 ゴスッ


「カッ……―――――」


 必死の努力虚しく、俺の視界は闇に染まった。




『―――――……が……し……かい……』







ここまで読んでいただきありがとうございます。


……中には後書きから先に読まれる猛者様もいらっしゃるとお聞きしたような……。


それはさておき記念すべき処女作第1話、どうでしたでしょうか?

読み辛さ等はありませんでしたでしょうか?

異世界モノなのにまだ主人公が全然異世界に行かねーじゃねーか!とお怒りになられたのなら申し訳ありません……。


必ず主人公は異世界に連行致しますので今しばらくお待ちいただければ幸いです。


どうぞ忌憚のないご意見を感想などで送ってくださると励みになる次第であります。

それでは失礼致します。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ