コーヒー

僕はカラオケ店のドリンクバーでカップにコーヒーを注いだ。そして部屋に持っていき座ってからコーヒーを一口飲んだ。想像とは違ってコーヒーは全く熱くなかった。

「このコーヒーぬるいな」

僕がそう呟いた直後に僕が歌う曲が流れ始めた。盛り上げてほしかった僕は四人の友達に向かってこう言った。

「合いの手を入れてよ」

すると友達の愛ちゃんがコーヒーが入った僕のカップに手を伸ばした。コーヒーが本当にぬるいのかを飲んで確かめるのかと思って見ていたら愛ちゃんは僕のコーヒーに手を突っ込んだ。

「愛ちゃん何してるんだよ」

僕は頭が混乱して歌どころではなくなっていた。手を突っ込んでコーヒーの温度を確かめる人は初めてなのでかなり驚いた。すると愛ちゃんは少し不機嫌そうな顔をして僕にこう言った。

「だって『手を入れて』って私に言ったじゃん」

その言葉で愛ちゃんがコーヒーに手を突っ込んだ謎がとけた。愛ちゃんは『合いの手を入れて』という言葉を『愛の手を入れて』だと思ってしまったみたいだ。そんな天然の可愛い愛ちゃんが僕は大好きだ。