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ぼくの詩集

とうめいにんげん

作者: 桜井あんじ

いい子にしてないと

とうめいにんげんが やってきて

あたまからぱくりと

たべられてしまうよ


パパは そういった

ぼくは いい子にしてるよと

おおきな声で アピール


いい子にしてないと

とうめいにんげんが やってきて

とおくのまちに

つれて行かれるよ


ママは そういった

ぼくは あたまからおふとんかぶって ぶるぶる


ほらほら そんなことしてると

とうめいにんげんが くるよ

みんな言う


きょうもぼくたち お行儀よく

いち列にならんで こうしん

いちに さんし いちに さんし

列からひとたびはみ出せば

ほおら とうめいにんげんが

笛ふきならし かけてくるからね


ぼくたちみんな

とうめいにんげんが こわくてたまらないのです

だからみんなで固まって

ぶるぶる



きにいらないやつがいれば

ぼくも言う

「そんなふうだと とうめいにんげんに やられちゃうよ」


とうめいにんげんをこわがらない なまいきなやつ

みんなでとりかこんで

「いつか とうめいにんげんに ひどいめに あわされるからね」


ぼく しらないよ

ぼく わからない

とうめいにんげんに きいてみなよ


ぼくのせいじゃないよ

しょうがないよ

とうめいにんげんが そう言うんだから



あるひ としおいた 男がひとり

どこからか まちに やってきた

男はかつて 戦った とうめいにんげんと

こどもたち おとこのまわりをとりかこみ

きかせてよ 武勇伝


おとこは語った

ひとり 故郷をでたのさ

とうめいにんげん やっつけるために

だれひとり 見送らなかった

どうせ とうめいにんげんに こてんぱんに やられちまうよ

みんな わらったものさ


あるいたのさ てくてくと

とうめいにんげんに であうまで

行く先々の町で 村で

たずねてあるいた

とうめいにんげんは どこにいるのですか


とうめいにんげんを しらないひとは いなかった でも

とうめいにんげんが どこにいるか しってるひとも いなかった


ずっとあるいていったのさ

とうめいにんげんに であうまで

もしであったら 

ああして こうして そうして やっつけてやるんだ

みんなをこわがらせる わるいやつ とうめいにんげん

やっつけてやろう

みんな あんしんして くらせるように

そう 正義の味方きどり だったのさ


ひとびとは言った くちぐちに

「とうめいにんげんが だまってないよ」

「わるいこといわないから やめなさい」

「とうめいにんげんのこわさを しらないんだ」

「おそろしいことに なるよ」

だがしかし

「その とうめいにんげんは どこにいるのですか」

たずねると だれもかれも だまりこんでしまった


やがて きづいたのさ

とうめいにんげんの しょうたいに

さあ こどもたち

このなぞなぞ わかるかな

せいかいした子には

飴ちゃんを あげようね












え それで 戦って 勝ったのかって

うん 一人だけ やっつけたよ とうめいにんげん


まあまあ そう言わないでおくれよ

ひとりだけでも けっこう 大変だったんだから

それにね

ひとりだけ やっつければ それで

じゅうぶんなのさ

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