【ファエードの町】公式イベント告知
「全員来たな」
「ああ、思ったより早かったな。新しい装備に少しワクワクしてるよ」
数日後、俺たちはカムラギから装備が出来上がったと連絡をもらい、再びスカル工房へとやってきた。
「造っているのは俺だけじゃない。従業員もいる。もちろん品質の保証はするがな」
カムラギは全員の装備を新調するうえで、プレイスタイルを聞き、それに合うように外注も含めてすると言っていた。
カムラギ自身、鍛冶は出来ても服飾やらは門外漢だから、信用できる職人に任せると言ってくれた。
「まずは、覇陸のだな。赤を基調にまとめてみたぞ」
見ると深紅を中心にアクセントとして黒や青緑が使われた全身鎧だった。
「銘は『シンクアーマー』にした。凝りすぎた名前は好きじゃないんだ。剣は炎紅鋼で造った両手剣だ。炎属性のエンチャントされてるから、森なんかでは気をつけろよ」
俺はカムラギの言葉が半分も聞こえないほどこの装備一式が気に入ってしまった。
「……あとでまた言えばいいか。次はドレッドノートのだな、鎧は重装備の『ブラウンアーマー』、斧と盾は地属性エンチャントにした。どうだ?」
「うん、いままでの鎧より堅く、軽い。斧も盾もこれ以上ないほど手になじむ。ありがとう」
「ランザンのは着流しの侍をイメージしたものだそうだ。高級な絹で風のように軽く防御力はそこらのBランクの重武装よりも固い逸品だ。刀は風のエンチャントで居合切りしやすい形状にしておいた」
「念願の刀!!!! ありがとうございます!!!!! カムラギさん!!!!!」
「覇陸とランザン、今気持ち悪い顔しているわね。装備に頬ずりでもしそうな勢いじゃない」
「さっきまでしていたよ。二人とももっと気持ち悪い顔してたんだよ」
いつの間にかポワンとあやめが帰ってきたようで俺たちの顔を酷評している。
「「そんな顔していない!!!」」
「あとで証拠のムービー見せてやるから今は、女性陣の装備でも褒めてやれ」
その後の女性陣と男性陣のてんやわんやは割愛。
「さてと、これから狩りにでも行くか?」
「そうですね……。装備の試をしますから、ジェクトンの草原にでも行きますか」
ピリリリリリリリリリリリリリリン!!!!
「うわっ!? 運営からの告知メールか。驚いた」
「……ビビり」
「誰がビビりだ!? あやめ、いい加減怒るぞ!!」
「もう怒ってんじゃん」
クールダウン
「さて、内容は『第一回ジパング杯開催のお知らせ』か」
「へぇー、運営公式のPvPトーナメントや、生産品評会なんてのもあるんだ」
「ちょうどいいですし、みんなで参加しましょうか?」
「ああ、ちょうどいい腕試しになるな」
「私は見学で」
「ポワンは近接苦手だもんな」
「俺も出るぞ」
「カムラギ、品評会の方か?」
「いや、トーナメントの方だ。リングネームで出れるらしいからな」
「……まじで?」