【ファエードの裏町】 強くなるメタルウォーター
「それで聞きたいことはなんだ」
そうカムラギに言われ、俺が聞こうとすると
「じゃあ、あんたがあの時してたことは何?」
低く押し殺したあやめの声がした。見るとあやめの全身の毛が逆立ち、威嚇していることがわかる。さっきまで借りてきた猫のようだったのに、いまは鋭い狼の様だ。まあ、あやめはワーウルフだからな。
「何と聞かれても狩りとしか答えられない。あいつらは犬畜生にも劣る所業をしていたからな」
「どういう事だい? 事と次第によっちゃぶちのめすよ」
「狩りと言ったら狩りだ。PK狩りだ」
「……へぇ」
「PK狩り!? あの男はPKだったと?」
あやめが少し落ち着いたのを悟って、会話を強引に引き継いだ俺はカムラギに詳しく聞こうと前のめりになる。
「いや、あの男だけでなくあの時狩ったのは20人ほどだな。それと顔が近いぞ」
そう言われて俺は姿勢を正す。そして改めて驚く。
「20人!? それを君ひとりで!?」
「ほかに誰かいたか?」
「それは確かめられませんね。僕たちはあのままこちらに向かいましたから戦いの痕跡を調べていませんし」
ランザンの言うとおり、俺たちはあの場を調べてはいない。
「水掛け論になってしまうから、今は置いておきましょう。それで貴方はあんな恰好でPK狩りをしていたようですが……」
「逃げられたときに顔が広まらない様にな。それとあいつらにとって俺が死神になるという決意の証だ」
静かに語るカムラギの目には確かに灯るものがあった。
「それでなんですが……」
ランザンが何か言いにくそうにしている。
「あぁ、刀なら打っているぞ。ほしいのか?」
「!! はい!!!」
ズコー!!!
「ランザン!! さっきまでの空気をどうしてくれる!!!」
「そ、そんなこと言ったって、刀ですよ!? それが手に入るのなら空気ぐらいなんですか!!!」
「おまっ!! 開き直りやがったなこの侍オタク!!!」
「なんですか!! そっちこそ臆病者じゃないですか!!!」
「言っちゃいけねーこと言いやがったな!!! 表へ出ろ!!!!」
「望むところです!!!」
そんなヒートアップしている俺たちに上から水が降ってきた。
「お二人とも~、少しは頭が冷えましたか~~?」
ポワンの方を見ると、いつもと変わらぬ口調だが確かに怒っている。こうなったポワンに逆らったら恐ろしいことになる。ランザンと俺は咳を一つすると
「すまなかった」
「すみませんでした」
お互いに謝った。
「それで、刀はどうする?」
「お願いします!!」
「ほかの連中の装備はどうする?」
「え? できるんですか!?」
「もちろんだ。お前たちは腕もあるし、心根もよさそうだしな。マイスターの作る装備を付けるにふさわしいと思うぞ」
そうして俺たちの強化計画がスタートした。