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凄腕PKが更生するそうです  作者: 特撮まにあ
第一部 サービス開始編 side覇陸《ハーロック》
3/7

サービス開始三か月目 【セパラシオンの森】 最後の希望が出会うとき 2


「仲間を置き去りにして逃げるなんてゴミの中のゴミだな」

黒尽くめの人物は視線を戻し、そう言うと倒れたプレイヤーに歩み寄る。


「ま、待ってくれ! 何がどうなっているんだ!?」


俺が声を張り上げストップをかけた。

黒尽くめの人物は一瞬こちらに注意を向けた。



「メタルウォーターか……」


どうやら俺たちのことを知っているらしい。

「狩りの最中だ、邪魔するなよ?」

!!!

「それはPKってことかな?」

あやめが声を低くしながら聞いた。

そういえばパーティを組む前に、あやめは悪質なPKに襲われて友達が引退したと言っていた。だからなのか、あやめはPKに過剰反応する。いつもの明るい性格は想像もできないダークモードになってしまうのだ。

「そんな生ぬるい表現をしないでもらおうか」

「なに?」

「俺はこいつらを地獄送りにするんだよ」

どういうことだ? 何を言っているか理解不能だ。

「まあいい。理解してもらおうとは思ってないからな」

そういうと黒尽くめの人物は、倒れている男の背中に投げ刺した剣の柄を握りしめた。

「刀炎の息吹」

そう唱えた瞬間、剣から炎が噴き出し倒れている男の体を燃やし始めた。

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!!」

その野太い悲鳴は、長く続かなかった。


炎が消えたとき、焦げ跡以外の痕跡はなくなっていた。

今の技は見たことがない。情報が多すぎる。

「覇陸! 見てください!!」

ランザンが黒尽くめの持っている剣を指さした。

「刀です!! いまだ、誰も作れていない刀です!!!」

刀だって!!? 刀はいまだにプレイヤーメイド品が出ておらず、製造している地域も遠いため高いのだ。それにランザンは侍オタクであり、刀を手に入れようとしているプレイヤーの筆頭格だ。

見間違うはずもない。

「あぁぁぁ!! 一度に情報が多すぎる!! 一体お前はなんだ!!?」

俺が黒尽くめに問うと、シュッ……タスッという音が聞こえた。自分の足元にカードがいつの間にか刺さっていた。


「ここで話すことじゃない。そこなら落ち着いて話ができるだろう」

黒尽くめは一回軽く飛ぶと

「興味があるのなら、来い」

そう言って消えた。

もうここには俺たちと静寂しか存在しない。
















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