これから
『この世界の歴史上、最も偉業を成し遂げたのは誰か』
と聞けば、人類亜人類関係なく、ほとんどの者がこう答えるだろう。
『それは、ヒノモトから来た八人の勇者である』と。
【鉄壁の守護神】ダイゴ・カトー
【炎神の御使】アキナ・コバヤシ
【弓聖】イズナ・カミキ
【剣聖】ユーダイ・タケダ
【蒼き獣使い】シオン・キリューイン
【全知の賢者】カイト・タナカ
【黒き魔導師】サクヤ・キダ
そして【天のショドーカ】シィナ・ツキカゲ
彼彼女らは、突如訪れた滅びの時を覆し、この世界エースフィアを救った。
彼らが死して六百年が経った今、当時の詳細を語れる者はエルフや妖精以外ほとんど残っていない。そしてそのどちらも人の前には滅多に姿を現さない。
ゆえに私は、彼らが生きた人生をここの書き記す。私が死した後の世でも、人々が彼らのことを忘れてしまわないように。
『ヒノモトの八人の勇者』は、バリアノス歴820年、カースィル王国のリィアレシナ城で行われた儀式によって召喚された。
が、彼彼女らが実際に降り立ったのは、リィアレシナ城ではなく、その隣の国アロリナ王国の聖域だったとされている。
その時のことを【弓聖】はこう記している。
『その瞬間、俺たちの足元が眩く光り、俺は咄嗟に椎那の腕を引っ張って抱き込んだ。隣で海翔が同じように霧生院を抱き込んだのがわかった。
そしてそのまま、足元が底なし沼になったみたいに身体が沈んでいって気を失った。
気が付くと俺たちは、さっきまでとは違うコスプレみたいな格好で見たことのない植物が生い茂る森の中に居た』
その時彼らが何故そのようなところに召喚されたのかは今となっては分からないが、これだけは言える。
彼らの人生はその時始まったのだ、と。
アルディノス・フォン・ツキカゲ著
『ヒノモトの真実』より。