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ブラッド・ヴァース~血の大地~  作者: 月影 亨
第四章~それぞれの死闘~
18/20

“時刻不明 最終決戦”

 皆がそれぞれ死闘をしている中、蒼野(あおの) (ゆう)はドームのような場所で目を覚ました。


「ここは……」


 頭を振りながら周りを見ると、目の前には戦車が止まっていた。


「なんだ!これは!」


 (ゆう)は戦車の種類を確認すると、そこにあったのは九十式戦車そして攻撃ヘリやミサイル等だった。


「衛星写真で見たビルの地下……」


 そう言うと何処からともなく、ニクルの声が聞こえてきた。


「どうかね?この兵器の数は?」

「ニクル・ゴーワン!何処にいる!」


 (ゆう)の前に葉巻を吸ったニクルが出て来た。


「ここだよ、ヘル・イーグル」

「ニクル!」


 (ゆう)はサブマシンガンを構えた。


「そんな物では私を倒せない事は判っているだろ?」


 ニクルの指摘に(ゆう)は、サブマシンガンを捨て、


「ニクル!第二のブラット・ヴァースで、何を企んでいる!!」

「気付いていたか!そう私のもう一つの望みは魔王・ナエル様の復活のみだ!」


 魔王・ナエル。

 ある主教に伝わりし邪神で、ナエルを復活させるには人間の血と血で染まった大地だった。

 ブラット・ヴァースは、デス・スコルピオンが邪神ナエルを復活させるために、ある街を襲い市民を虐殺した。

 

 それを何とか防いだのが今のA・O・(えーおーえー)と世界連合軍であった。しかし、その戦いでニクルは(ゆう)に抹殺されたはずだった。


「ニクル!貴様をもう一度俺が抹殺する!二度と蘇ることのないようにな!!」


 ニクルはフワッと空中に浮きながら言った。


「……お前の仲間の血や魂も良かったが、ヘル・イーグル!貴様の殺し貴様の血が!魂が!我が手に入れば私は無敵になる!今度は貴様が死ぬ運命だ!!」

「仲間を殺し……最後には俺の血だと!?いいだろう!殺せるなら殺してみろ!」

「昔と一緒にするな!ヘル・イーグル!!いや……堕とされし堕天使ルシファーの力を持ちし者!!見よ!私の新しき身体と力を!!」


 ニクルの額には何かの文様が浮かび上がり、真言の呪を唱え始めた。


「《バシスケ・ガリオーン・カイン・オンマトイ・トン・タノン・バラルーサ》」


 ニクルの真言に身体は巨大化し着ていたスーツは破られ、黒々とした筋肉に長く黒い髪、瞳は褐色の獣目、爪は鋭く耳の上からは角が出て来た。それだけでも悪魔の姿だが、腕から出した触手に次々と周りの兵器を自分の身体に取り込んでいき、最後には約二十m以上の大きさまでに脹れ上がった。


『ドウダ!コレガ私ノ手二入レタ力ダ!オ前ヲ殺シ、私ハ世界最強ニナル!!』


 (ゆう)はニクルが話している時、時計をチラリと見たが、


「(チッ!時間軸が変だ……狂わしているな……ミサイル到着までに倒さないと……)」


 そう思いながら、コートを脱ぎ、


「こちらも本気で行くぞ!」


 (ゆう)は右腕を上に挙げ、手の平を広げると叫んだ。


「出てこい!“神器(じんぎ)桜花(おうか)”!!」


 手の平には、一振りの鍔のない刀が出て来たが、それは(ゆう)の背丈よりも長い長刀だ。

 (ゆう)は鞘から抜くと、刀身は桜色に輝いて、淡い光を放った。


『フン!“桜花(おうか)”ヲ出シタ所デ私二勝テルトデモ思ッタカ!!』


 ニクルは、腕を振り上げ(ゆう)に叩き付けると、床は簡単に潰れたが、そこにはもう(ゆう)の姿はなかった。


『!イナイ!』

「ここだ!ニクル!!」

『何!?』


 翼を広げ上に回避した。上階から降りる時に見せた純白の翼では無く黒い翼であった。


「あの時は見せなかったが……この翼と力がルシファーと呼ばれる所以だ!」


 (ゆう)桜花(おうか)を振り翳して叫んだ。


百華乱舞(ひゃっからんぶ)!!」


 桜花(おうか)を上から下に振り降ろすと、桜色の衝撃波がニクルに向かって襲い掛かった。


『ソレガドウシタ!!闇弾(やだん)!!』


 ニクルは口から黒い球体を打ち出すと、衝撃波と相殺し跡形もなく消えた。ニクルは立て続けに闇弾(やだん)を連発すると、(ゆう)は飛び回りながら紙一重で回避し続けた。


 闇弾(やだん)が当った場所は大きく抉れていた。これを食らえば一溜りもないだろと(ゆう)は感じた。


『逃ゲ回ルシカ出来ナイノカ!』


 (ゆう)は飛び回っていたが、フッと姿を消すとニクルは闇弾(やだん)を撃つのを止め辺りを見渡した。


『何処二消エタ!!』

「……腕は貰ったぞ!!」


 (ゆう)はニクルの左肩近くに現れて、自分の何百倍もある肩を切り落とした。


『ギャァーーーー!!!!』


 ドス黒い腕は重量感のある音と一緒に、床に落ちて行った。

 ニクルは(ゆう)の居る左肩付近に右パンチを放ったが空を切り、今度は右肩に現れた。


「次は右肩だ!」


 (ゆう)は右肩を切り落とすと、また重量感のある音と共に腕は床に落ちた。


『ガァガーーー!!!!ナゼ、ソンナ早ク動ケル!!』


 ニクルの言葉に(ゆう)は、


「無音移動“無歩(むほ)”。お前も知っているはずだ」


 (ゆう)は“無歩(むほ)”で最初は左肩を切り落とし、次に右肩を切り落とした。

 両腕を切り落とされたニクルは、膝を突いて叫んでいた。


『クソッタレガーー!!!』


 (ゆう)は、少し離れた場所に行くと、


「首と心臓を切裂けば抹殺は完了だ」


 (ゆう)はそう言うと、何かの技を繰り出そうとしたが、ニクルは高々と笑い始めた。


『ハッハハハッ!腕ヲ切リ落トシタダケデ、勝ッタト思ッテイルノカ!』

「何!?」

『俺ガ兵器ヲ吸収シタ意味ガ判ルカ?単ニデカクナル為デハ無イ!!』


 そう言うと、ニクルの両肩の切断面から新しい腕か再生し、途中から吸収した戦車や攻撃ヘリのミサイルランチャー等が現れた。


『死ネ!!』


 ニクルは、腕から出た兵器を一斉掃射し、(ゆう)は横に桜花(おうか)を振り斬った。


八式神(はちしきじん)伍神(ごじん)風神(ふうじん)横一閃(よこいっせん)!!」


 巨大な空気の刃が出来、ミサイルや砲弾を打ち落としたが、ニクルに吸収された事もありニクルの思いのままでミサイルと砲弾が飛んできた。


「クソッ!風壁防!!」


 (ゆう)は咄嗟に風の防壁を出して攻撃を防いだが、中に闇弾(やだん)があったらしくその衝撃で床に叩き付けられた。


「ガハッ……」


 (ゆう)の口から赤い血が飛び出した。


『ハハッ!!ドウシタ?ルシファー!ニクル・ゴーワン様ヲ倒セナイカァ!』


 ニクルの笑いに桜花(おうか)を支えにしながら、(ゆう)は何とか立ち上がったが、そこにニクルは闇弾(やだん)を二発放った。

 一発を桜花(おうか)で切り裂くが、もう一発は回避できなく闇弾(やだん)をまともに食らった。


「ぐぁああー!!」

『イイゾ!イイゾ!貴様ヲコノ手デ殺セル時ガ近ヅイテキタゾ!』


 壁にめり込みながら叩きつけられた(ゆう)は、頭からそして身体中から血を流した。

 ニクルは右手を高々と挙げると雄たけびをあげ、(ゆう)は意識が朦朧とする中、何とか出した左腕に付けられた腕時計をもう一度見た。


「(……じ・時間が動いている……ミサイル着弾まで三分……死ぬ訳にはいかないな!)」


 (ゆう)は壁から何とか身体を引っ張り出すと、桜花(おうか)を正眼に構えて叫んだ。


「ニクル!これで終わりにしてやる!」


 気を溜め体の周りに赤い風が吹き始めると、桜花(おうか)もそれに呼応し刀身が強く輝いた。


『ソノセリフハ俺様ガ言ウ言葉ダ!トドメヲサシテヤル!!』


 ニクルは口を開けると巨大な闇弾(やだん)を作り出し、体中からは闇弾(やだん)と融合した全ての兵器が(ゆう)に向けられていた。


 お互いに最後の勝負に出ていた。


「(生か死か五分五分……ん?誰かこちらに向っていたな……三~四人かな……)」


 (ゆう)は軽く笑った。


『何ガオカシイ!気デモ狂ッタカ!!』


 目を閉じて頭を横に振りながら(ゆう)は答えた。


「いいや……お前には一生判らない事だ」


 そう言うと(ゆう)はキッと目を開けて前を見据えて叫んだ。


「さぁ、貴様を地獄へと導いてやる!我がルシファーの名においてな!!」

『ホザケ!地獄ニ行クノハ貴様ダ!!』


 二人の力が一気に開放された。


「散れぇ!!!秘奥義・桜燈滅斬(おうとうめつざん)!!」

『食ラエェェェェ!!』


 (ゆう)はその場からニクルに向って跳び、桜花(おうか)を縦に振り落とし深紅の斬撃を放ち、ニクルは口から巨大な闇弾(やだん)と全身から闇弾(やだん)と融合した兵器を一斉に出された。


 深紅の斬撃と漆黒の闇弾(やだん)は、両者の間で激しく衝突し閃光と共に大爆発が起こった。


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