23:00 “水野(みずの) 瞹(あい)と大木(おおき) 天空(てんくう)の戦闘”
天空と瞹は時間を跳躍し飛ばされた場所は、先程の多恵と天海が戦闘を繰り広げ、爆発でクレーターが出来た所であった。
「このクレーターは……」
天空が辺りを見渡しながら言うと、瞹は座り変色した土を触り確認した
「この色……多恵ちゃんの能力だよ。ダーク・エクスプロードだと思う。一度見たことあるよ」
「なるほどな……二人は何処にいる?」
「判らない……探してみようよ」
二人は辺りを探し始め、クレーターを出ると天空が、瓦礫の山から黒い布切れが風に揺れているのを発見した。
「瞹、あれ見ろ」
「コートの切れ端」
「行くぞ」
二人はサブマシンガンで辺りを確認しながら布の所へ行き、瓦礫を退かした。
そこには多恵を庇いながら、天海が上に覆いかぶさっていた。
「天海!多恵姉!」
「多恵ちゃん!しっかりして!!」
天空と瞹は、二人を瓦礫の山から助け出し、瞹が天海と多恵の応急処置を施そうとしたが、別の瓦礫の山が砕けた。
天空はそちらを見ると、ボロボロで今にも壊れそうなアンドロイドが出て来た。
「クソッたれ!!このグリミー様を良くもこんな姿にしやがってぇ!」
天空はそれを見て言った。
「グリミー?お前がグリミーか?」
「俺様がグリミーだぁ!そこで死にかけているグレーセ・パンツァーとフレイム・イニシエーターの能力でも俺様を殺せなかったぜ!!」
グリミーの言葉に天空は、
「じゃ、ここまでなったのはお前と戦ったからか?」
身体をガクガクさせながらグリミーは言った。
「そうさ!俺様と戦ったのさ!!……ん?お前ロック・ザ・ファントムに横に居るのはウッド・ザ・ガーディアンだな?これはいいぞ!死に損ない二人と一緒に殺してやる!」
天空はその言葉に怒鳴った。
「殺す?……逆に二人に代わって貴様を完全に壊してやる!!」
「そうです!!多恵ちゃんの分も私が守るよ!」
二人は天海と天空に自分達のコートを掛けて、臨戦態勢をとると何処からとも無く女性の声がした。
「グリミーこの様はなんですか?」
「オルズか?来るのが遅いぞ!!」
「それは失礼したわね」
フッと出てきたのは、髪の長く服装は女王様を思わせる服装であった。瞹はその姿に名前を呼んだ。
「!オルズ……ヒップロープのオルズ!」
オルズは髪を掻き揚げながら言った。
「あら、ウッド・ザ・ガーディアね。可愛い子ね~どんな悲鳴を聞かせてくれるのかしら?」
オルズは舌で口を舐めながら言うと、瞹はキッと睨んだ。
「さぁ第二ラウンドだぜ!!今度こそ切裂いてやる!!」
グリミーはそう言うと、先程で機能を失った二体のアンドロイドとヒルズが連れてきたアンドロイドと融合し、先ほどまでボロボロだった体は他を代用した事により完全に修復され、更に三m以上のアンドロイドになった。
「魔力で他の奴と融合して直したか……」
その姿を見て天空は言い、グリミーとオルズは二人に向かうと、瞹は呪文を唱えていた。
『《大地よ、緑の恵みを今ここで開花せよ!》』
その場に座り、両手を地面に置いて叫んだ。
「《樹林樹海》!」
その瞬間、オルズとグリミーの周りに樹林がアスファルトと突き破り出てきて、あっというまに周りに樹海が完成した。
オルズとグリミーは足を止めた。
「これじゃ、迂闊には動けないわね」
「くそっ、こんなの焼き払ってやる!!」
「逆にこっちが炎に囲まれるわよ」
二人が立ち止まっていると、辺りの木々がザワザワと騒ぎ始めた。
「来るわ」
オルズは細長い鞭を出すと、ピシッと地面を叩き、辺りを睨んだが、前の草むらと上の木が動き、オルズはく草むらに鞭をグリミーはバルカンで各々の攻撃をしたが、そこからは何も出てこなかった。
「何処だ!」
グリミーが叫ぶと、後ろから低い声がした。
「こっちだ」
天空は何処からとも無く姿を現し、手甲を装着した拳でグリミーを後ろから殴った。
「がッ……このっ!!」
グリミーが後ろを振り向くが誰も居なく声のみが聞こえた。
「こっちだ。こっちに来い!」
「この野郎!!八つ裂きにしてやる!!」
天空の言葉にグリミーは、怒り狂ったように後を追いかけた。
「グリミー!!待ちなさい!罠よ!」
だが、その声は聞こえず、逆に後ろから声がした。
「オルズ、あなたの相手は私だよ」
オルズは後ろを振り向きながら、鞭を振るうと瞹のナイフと衝突した。
「やるわね!」
「そっちも!」
瞹はまた樹林の中に消えた。
「さすがウッド・ザ・ガーディアンね。けど、こんな木々切り落としてあげるわ!」
鞭を振り回して、易々と木々を切り倒した。
「さぁこれでどう?もう隠れん坊はできませんわよ!」
木々が倒されて、オルズに隠れながら近づく事が出来なかったが、瞹は笑った。
「フフッ、いくら木々を切っても無意味だよ」
瞹の言葉が終わると同時に上空から一本のナイフが落ちてきた。
「はぁん!不意打ちのつもりかしら!」
オルズは鞭で叩き落とそうとしたが、瞹の言葉にその光景は変わった。
「ナイフレイン!」
言葉と同時に一本のナイフが無数のナイフに増えて、オルズに降り注いだ。
「このくらいっ!!」
鞭を頭上で振るとナイフを叩き落とすが、数本のナイフが身体を裂いた。
「何処に居る!この小娘ぇ~!」
その瞬間、オルズの周りに濃霧が発生して、オルズは混乱した。
「この霧は!?」
『オルズ……あなたはここで死ぬんだよ』
オルズの前に瞹の影が出て来たが、オルズはそれを鞭で切裂いた。
「小娘ぇ~!」
だが、それはただの影でまた別の場所からも瞹の影が出て来た。
『こっちだよ』
オルズはまた切裂いたが、それも影で今度は周りにたくさんの瞹の影が出て来た。
『こっち、こっち』
『何処に攻撃しているの?』
『フフフッ……』
『アハハハッ!』
いくら影を切裂いてもすべて外れて、オルズは髪を振り乱しながら叫んだ。
「何処だぁ!何処にいる!!」
瞹はオルズの近くに居たのであった。
姿を隠し、オルズに木々を切らせ、感情を高ぶらせてナイフレインで上に注意そらし、霧と幻影を出す植物を出してオルズに幻影を見せて惑わせていた。
「(仮にもデス・スコルピオンの幹部、この技にいつ気付くか判らないわね……)」
“神器・コルダック”、大型アーミーナイフを出し、オルズに近づいた。
「これで終わりだよ!」
「……これは幻影ね!!」
「(気付かれた!けど、こちらが有利!)」
瞹がオルズの懐に走り出すと、オルズは唇を強く噛むと、オルズの周りから濃霧は晴れていくが、既に目の前まで瞹が迫ってきた。
「!!これでも食らいなさい!小娘!乱舞撃破!」
「こちらのセリフだよ!爆炎覇砕!!」
オルズの鞭が青く光りながら乱舞し、瞹のコルダックは炎が纏いながら横に振りぬいた。
『死ねー!!』
お互いの技が激突。その衝撃で辺りに大風が起こった。
二人は衝突したまま止まり、少し動かなかったが、オルズが先に口を開いた。
「フフフッ……さすがね」
「そちらこそ……グッ……」
瞹は口から血を吐いたが、オルズの口からも血を吐いた。
「……先に地獄で待っているわ」
「まだ逝かないよ……」
オルズの身体が急に燃え、塵を残さず消えさり、瞹はその場で崩れ落ちながら寝転んだ。
瞹も右肩に深い傷を受けていた。
「はぁ、はぁ……何とか倒したけど……私もボロボロだね~」
目を瞑り息を整えていると、目の前に影が落ちた。
「(敵だった終わりだな~)……誰?」
瞹が目を開けると、ぼんやりとだがそこには見知った顔があった。
「なん……で……ここに……」
そう言うと瞹の意識はそこで落ちた。
瞹が戦っている時、グリミーは、天空の姿を見つけると大声を上げた。
「見つけたぞ、ロック・ザ・ファントム!」
グリミーは即攻撃したが、天空の姿は掻き消えた。
「何処に逃げた!!」
「お前に聞きたい事がある……」
天空は何処からともなく言うと、グリミーは叫んだ。
「なんだとっ!」
「天海に傷を付けたのは貴様か?」
「そうだ!それがどうした!!」
「そうか……」
そう言うと、天空はグリミーの目の前に現れた。
「出てきたな!!切り刻んでやる!!」
グリミーは腕から四本の超振動ナイフを出して襲ったが、天空は冷静に言い放った。
「……刻まれるのは貴様だ」
天空は一瞬でグリミーの懐に入ると、腰に差していた刀を握った。
「いくぞ!“神器・龍魏刀”!響きけ!奥義・砕墜龍覇!!」
天空は刀を出したと思うと、既に刀は鞘に戻っていた。それは居合い切りだった。
グリミーを背にパチッ!と刀は完全に鞘へ納まり、グリミーは振り返ると叫んだ。
「なにをしたぁー!!」
「細切れにしたのさ」
「なっ!!そん……な……こ……」
その言葉を最後に、グリミーの身体はバラバラと一瞬で砕け散った。
「爆弾の起動前に切れば、爆発も出来ないだろ……死んでいるから喋れないか」
瞹の所へ向かおうとしたが、後ろから天空の名前を呼んだ。
「キレたら怖いな、天空さんは」
天空は刀を引き抜き振り向き様に切り掛ったが、刀はナイフに止められた。
「!!(俺の居合いをナイフで止めた?)」
天空は驚きながら止めた人物を見ると、見知った顔であった。
「!鹿野か!?」
「そうですよ……なんとか能力通して受け止めたましたが……腕が痺れますね」
「いきなり後ろに立って呼ぶからだ!全く……『アルテミス』の副隊長達とは会ったぞ」
「あぁ、救援で向かわせた三人が気になって。何か胸騒ぎがして急行したのですが……どうやら正解だったみたいですね。こっちです」
鹿野は先に歩き出し、天空もそれに続いて歩き出した。
「瞹はどうした?」
鹿野はタバコに火を付けると、煙を吐きながら言った。
「フ~少し出血が酷いですが救護班が治療中で、同時に多恵さんと天海さんも治療中です」
「そうか、他には?クリスやレイ、邑の事も気になるな」
鹿野は立ち止まり、後ろを振り向いて言った。
「どうした?」
「クリスさんとレイさんですが……」
「何かあったのか?」
鹿野は頷き、また歩き出し開けた場所に移動するといつの間にか瞹の《樹林樹海》は消えビル街の風景に戻っていた。
クレーター付近には、救急用装甲車が数台止まっており、その中には多恵と天海の姿も見えた。天空は近くに居た救護隊員を捕まえ聞いた。
「瞹は?」
「あそこです」
その装甲車に行くとストレッチャーに寝かされ酸素マスクを付けて眠りについていた。
天空は、ホッとすると鹿野が呼んだ。
「天空さん!こっちに来てください!」
「ああ、今行く!」
天空は三人が無事なのに胸を撫で下ろすが、次の光景に目を疑った。
一際大きい救急用装甲車の中では緊急手術をしており、そこにレイとクリスがいた。
「レイ!クリス!」
近くにいた救急隊員は説明した。
「お二人は、至近距離と室内という密閉空間で爆発に巻き込まれ、衝撃による打撲と火傷が酷いです。他にもレイさんは高所からの落下による衝撃とクリスさんは何十tもの瓦礫に押し潰されていましたが、流石はA・O・Aの副隊長達です。レイさんは鎖でなんとかガードを……クリスさんは使役する人形三体で守ったみたいです。ギリギリの所で命を取り留めていますね」
隊員の言葉に天空は押し黙った。
「そうか……」
息を吐くと天空は鹿野に聞いた。
「邑は……蒼野隊長はどうなった!」
「まだ発見されていません」
天空は近くにあった折れかけの電柱を殴った。
「ニクルの野郎!何処に連れて……」
天空は言葉を止め、鹿野に確認した。
「鹿野!地下は!地下を調べたか?」
「そうか……地下の可能性が!」
「そうだ!地下だ!地下に行くぞ!部隊を編成出来るか!?」
「『アルテミス』を同行させてください!」
天空の言葉と同時に、鹿野の後ろには二瓶・川崎・深澤が居た。
「お願いします!」
「判った。行くぞ!!」
『了解!!』
天空とアルテミスの三人はビルの地下を再び目指し、そしてミサイル到着まで残り二時間半を切っていた。
天空とアルテミスの二瓶・川崎・深澤は半壊しているビルの中にいた。
「クソッ!地下への階段は何処だ!」
天空は辺りを見渡しながら苛立ち、二瓶は足元の瓦礫を退かしていた。
「大丈夫。俺らに任せて」
二瓶はそう言うとタバコに火をつけ煙を吐きながら叫んだ。
「見つかったか!?遊菜!友華!」
フロアの奥で探していた二人が小走りで駆け寄ってきた。
「あったよ!」
深澤は二瓶に報告すると後ろから来た遊菜は右手にあった千年針を見せた。
「北東の壁側に反応があったわ」
千年針を見た二瓶は言った。
「良し!これで地下への入口は見つかったが……瓦礫が邪魔だな」
タバコを千年針が示す方に向けると、天空は二瓶に言った。
「二瓶、また黒炎弾でやるか?」
「ん~いつ崩れるか判らないし……別のタイプで」
そう言うと、タバコを持つ手で印を切りながら唱えた。
『八式神の弐神朱雀よ。我の前に立ち塞がりし者達に、汝の息吹で焼き尽くしたまえ……』
タバコの火は真赤な火球が数個出てきた。
『ハウレス・ブレス!』
その言葉と同時に数個の火球は一気に放たれた。
火球はコンクリートや鉄筋の瓦礫を一瞬で溶かして、隠れていた地下への階段までの道を作った。
「すげぇな。多恵や天海みたいだぜ」
天空の歓心の言葉に二瓶は、
「その二人に教えて貰った技だよ」
そう言いながらタバコを吹かした。
「行くよ!天空!」
「おぉ!」
四人は階段の入口まで駆け寄り、中を伺いながら天空を先頭に深澤・川崎・二瓶の順で降りて行った。
「暗いな……」
階段には電灯が無く、天空達はマシンガンの先に付いているライトを照らしながら進んだが、出口は一向に見えなかった。
「何処まで続いているだろ……」
そう話していると、天空の後ろにいた川崎が呼んだ。
「待ってください!友華が!!」
「何?どうした深澤」
天空は振り返ると、肩を震わせながら階段に座り込んでいた。
「どうした?友華!」
「こ・この……下……から物凄い……殺気がきて……」
「なんだと?」
友華の言葉に三人はまだ続く階段の先を見た。
「何も感じないが……」
天空はライトを照らして言うと、川崎が言った。
「友華は感覚が鋭いので察知出来るのですが、ここまで怯えているのは初めてです」
「……なるほどな。だから上の階でもアンドロイドが襲ってくるのが察知できたのか」
川崎の言葉に天空は友華を見ていると、耳元にかけていたイヤホンからコール音が鳴った。
「ん?鹿野からだ」
天空・川崎・二瓶はイヤホンに手を当てながら天空が応答した。
「こちら天空。どうした?」
『ザッ……こちら鹿野。そちらの状況を報告してください』
「地下への階段を発見、階段を降りている最中だが、深澤が何かを察知して止まっている所だ」
天空の報告に鹿野は
『友華が?何を察知したと言っていますか?』
深澤を一回見てから言った。
「殺気だそうだ」
『殺気ですか……判りました。現時刻を持って、ミサイル到着時刻の三十分を切りますが……人を送りますか?』
鹿野の言葉に三人が時計を見た。
「確かに三十分切るな(もう一時間経ったのか……)」
「時間もないので人が欲しいですね」
川崎は時計を見ながら天空に言うと、軽く頷きながら天空は伝えた。
「そうだな……人海戦術で行くか」
『どうしますか?こちらは直ぐ出動できます』
「あぁ、取りあえず何人か……」
鹿野に言おうとした時、座り込んでいた深澤が大声で叫んだ。
「ダメ!!今来たら!!」
その言葉に三人は驚き、川崎が意味を聞いた。
「どうしたの!何があるの?」
「……来る!」
俯いてばかりだった頭を上げて、階段の下を見ながら叫び、三人も同時に見たその瞬間、鋭い衝撃波が階段内を襲った
「な・なんだ!」
天空が腕で顔を塞ぎながら言うと、深澤の横に立っていた川崎も少しよろめきながら呟いた。
「この衝撃は……寒気がしてくるわ……」
「あぁ、俺らだから居られるが、普通の奴なら意を識失うか最悪はショック死……俺もギリギリだ」
二瓶も足が少し震えており、無線からは鹿野の声が聞こえていた。
『どうしたんですか?何があったんですか?』
「地下で大規模な戦闘が行われている模様!誰も入れるな!至急引き返すから撤退の準備をしろ!」
『了解!装甲車は既に射程外まで下がりました。こちらにはヘリが一機残っているだけです!』
「判った!エンジンを回しとけ!」
そう言うと二瓶達に叫んだ。
「聞いての通りだ!撤退するぞ!」
「蒼野隊長はどうしますか!?」
「俺らが行っても足手まといになるだけだ!今は一旦引く!」
「遊菜!気をしっかり持て!天空は友華をお願い出来ますか?俺は遊菜の方に付きますので!」
「判った。深澤!俺の背中に乗れ!」
天空は深澤を背負い、二瓶は川崎に肩を組みながら駆け足で元来た道を戻り、天空はもう一度下を見ながら呟いた。
「……生きろよ、邑」
その言葉を残し急いでビルの外まで出ると、鹿野がヘリのハッチを開けながら待っていた。
エンジンは既に掛かっており、いつでも飛べる状態で待機していた。
四人はヘリに何とか乗り込むと鹿野がパイロットに叫んだ。
「四名回収!急いでこの場から離脱!!」
ヘリは一気に上空まで高度を上がると、その場から離脱した。
アルテミスの二瓶・川崎・深澤は床に座り込んで、鹿野はその状況を見ながら天空に聞いた。
「この三人がここまでやられるとは……何が……」
「親玉のニクルと隊長が衝突した衝撃波に当てられたのさ……」
鹿野はある言葉に驚いていた。
「ニクルって……先の大戦で死んだはずのニクル・ゴーワン!?」
「あぁ……奴が蘇った。人の魂や悪魔と契約してな。今は隊長と戦闘しているだろう……」
天空は窓から離れていくビルを見ているとパイロットが報告した。
「ミサイル到達まで後三分!目視でも確認出来ます!」
その言葉に、天空と鹿野は上空を伺うと四個の赤い点が見えた。
「無酸素爆弾を積んだミサイルか……」
鹿野が呟くと弾道ミサイルは、一直線にビルがあった方向へ落ちた。
その瞬間、大きな光と共に大量の爆炎と煙が夜空へと上がった。
「これであの辺りは、跡形も無く消え去ったな」
「……そうですね」
天空と鹿野が話していると、床に座り込んでいた深澤が呟いた。
「……地下で別の爆発を感じる……二つ反応も消えている……」
目には涙が浮かび、鹿野は深澤の頭を撫でると、
「……煙が収まり次第に救援隊を編成……春野司令には俺から伝える」
天空の言葉に鹿野は黙って頷いた。
「(クソッ!無傷だったのは俺だけか……)」
未だに太い煙が上がっている爆心地を眺めながら心の中で、自分自身を失態していた。