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邪魔者排除と作戦変更

「来た!」


 (ゆう)はヘリ後方にあるビルを見ながら叫んだ。

 

 天海(てんかい)は、自衛隊ヘリの腹に付いているECMをスナイパー・ライフルで狙った。

 多恵(たえ)は命中したこと伝えた。


「命中!その特殊弾、どうですか?」

「この特殊弾いいよ。威力もあるしヘリの乱気流にも負けないからいいよ」

「良かった。貫通性と飛距離に特化した弾です。どんな強い風でも流されません」


 天海(てんかい)多恵(たえ)特製の特殊弾で次々とECMを撃ち抜いた。


「全弾命中!」


 天海(てんかい)がそう言うと、多恵(たえ)はマイクイヤホンで連絡した。


『こちらANGEL(えんじぇる)4、ECMの破壊を完了しました』

ANGEL(えんじぇる)1、破壊を確認!そのまま待機。『能力』の使用許可も下りた」


 (ゆう)がそう言うと、多恵(たえ)(ゆう)に言った。


『既に聞いています。先程、諜報部(ちょうほうぶ)の方に会いましたから』

「そうか、判った。何か有ったら連絡しろ」

『了解!』


 多恵(たえ)との連絡を切ると、全員に号令をかけた。


「全員、戦闘開始だ!」


 (ゆう)達はサブマシンガンの撃鉄を引き、バチッンと戻る音が部屋の中に響いた。

 その頃、ECMを破壊され、パイロットは慌てていた。


『フォックスリーダーより各機!!被害状況を報告!』

『フォックス2より報告!ECMを破壊されました!本機には被害なし!』

『フォックス3より報告!こちらもECMのみ破壊!本機には被害なし!』

『フォックスリーダーより堀村(ほりむら)警部!三機のECM大破!使用不能!』


「くそっ!奴等が攻撃したんだ!そいつ等は敵と認識しろ!攻撃を許可する!」


『フォックスリーダー了解。各機、安全装置を解除し攻撃を開始せよ』


 (ゆう)はジッとヘリを見ていた。


「レイ!バーチャル・ブレインの力を見せてやれ!」

「はい!行きます!」


 レイは目を閉じて力を増幅、体は更に輝きをました。


 《ファンクション・ジャック!》


 そう叫ぶと、レイの体はさらに眩しく光を発し、パイロット達は、急に眩しくなったため慌てた。


『何だ!この光は!何も見えんぞ!』

『フォックス2よりフォックスリーダーへ!発光のため、ターゲットロスト!』

『フォックス3よりフォックスリーダーへ!ターゲットロスト!』

『くっ!各機、攻撃を許可する!そのまま撃て!』

『了解!!』 


 パイロット達は、操縦桿のトリガーを引いた。普通なら二0mm三銃身ガトリング砲の乾いた音が聞こえてくるのだが、逆に女の声がした。


 《……無駄です。そちらの機能は既に奪わせて貰いました》


『なんだと!?そんなこと出来るはずが無い!』


 フォックスリーダーは何回もトリガーを引いたが、何も起らなかった。


『くそ!なぜだ!なぜ動かんのだ!』


 《何度やっても無駄です。その子達は私の命令しか聞きませんよ》


『くそっ!貴様は何者だ!』


 《私?私は、バーチャル・ブレイン。A・O・(えーおーえー)のバーチャル・ブレイン》


『!?バーチャル・ブレインだと!』

『隊長!誰ですか!そいつは?!』

『自衛隊や警察の特殊部隊でも手が出せない任務を人知れずに、任務遂行をする最強部隊ASSF(あしーふ)特殊隠密部隊A・O・(えーおーえー)チームだ!』

『あ・あの伝説的の部隊……バーチャル・ブレインというと……』

『そう、《ハッカーの女神》《電脳(でんのう)の女神》の異名を持つ女性だよ』


 《知っているなら話が早いです。この子達と一緒に帰還してください》


『……わかった、帰還しよう。君達には到底敵わないからな』


 《ありがとう。さぁ、あなた達の帰るべき場所へお帰りなさい》


 二0mm三銃身ガトリング砲が独りで上下に振られ、基地の方へと飛んで行った。


「こらっ、フォックスリーダー!なに帰っている!引き返せ!攻撃しろ!」


『無駄ですよ、堀村(ほりむら)警部。A・O・(えーおーえー)に勝てる訳ない。それに俺等が操縦してないんで。機体は既に自動操縦にて基地に引き返すようになっている』


「貴様等!敵を目の前にして、逃げるという気か!」


『悪いが無理だ。俺等の上官に言ってもいいが、A・O・(えーおーえー)が居たとなれば問題にしないだろう』


 攻撃ヘリ『コブラ』五機は基地の方へと機体を向けて、帰還した。

 堀村(ほりむら)は近くにいた部下に言った。


「くそっ!!役立たずが!おい、お前!部隊は突入できるのか!!」

「は、はい!」

「よし!!各隊突入開始!!!!」


 拡声器を使い、堀村(ほりむら)は怒鳴り、その言葉を聞いた(ゆう)は窓に向かって歩いた。


「ヘリもいなくなったし……武力行使に移る前に片付けますか」


 窓際まで行き、サブマシンガンを窓に向けて撃ち放ちガラスを撃った張本人の(ゆう)は、窓から顔を出して下の様子を伺った。


「下界の方は大慌てだ。むっ……戦車の砲塔がこっちに向いているな」


 (ゆう)はウェストポーチから多恵(たえ)より預かった球体型高性能爆弾を三つ出し、外へ落とした。


「あれに撃たれたら面倒いから少し黙っていてもらおう」


 もう一度マシンガンで周りを撃ち、人を遠ざけると、球体は下に停車していた強襲装甲車両の屋根に当り、転がりながらエンジンルームの方へと転がった。


「クリス、装甲車には乗員はいるか?」


 クリスはⅩキャノンゴーグルを着けながら言った。


「いいや、誰も乗ってない。今落とした物に慌てて、装甲車付近の戦車の乗員も外に飛び出したぞ」

「それは丁度良い。プレゼントだ!受け取れ!」


 (ゆう)は、そう言うと球体型高性能爆弾に向ってマシンガンを連射した。


 その内の一発が球体に当ると、盛大な轟音と共に爆発が起こり、装甲車は炎に包まれ、爆発の威力で空中に舞い上がり、それと連鎖して他の球体にも誘爆した。


 炎上した装甲車は空中を飛び、そのまま戦車の上に落ちてきた。

 装甲車は、ガソリンと積んでいた武器等にも引火し、戦車の上でまたも盛大に爆発して戦車にも誘爆・爆発・炎上の連鎖が起こった。


 堀村(ほりむら)は、その光景に腰を抜かし、他は事態を何とか把握出来る人間が動いていた。


「い・急いで消火しろ!被害を拡げるな!被害確認も急げー!!」


 自衛隊員は慌しく動き、指揮官らしき人物はビルを見上げ、(ゆう)の姿を確認した。


「……地獄のヘル・イーグル……俺等は敵にしてはいけない相手をしているんだ……」


 精神的にパニックになっている為、下から見たら異様な姿に見えていた。

 その(ゆう)は、それを見て皆の方にクルッと向きかえると、レイとクリスが、


「……やり過ぎですよ……(ゆう)

「お前だけは敵に回したくないぜ」

「……そうか」


 (ゆう)は目を瞑り、深呼吸をしてクリス達に向かって言った。


天空(てんくう)!クリス!(あい)!三人は、部屋の中央に集まれ!レイは制御室に!」

「了解!」


 (ゆう)は四人を確認すると、今後の指示をした。


「いいか、今からこの一階下の十六階に降りて、一気に倉庫に行く。爆弾を設置後、研究室に行きそこから地下直通エレベーターに乗る。後は出たとこ勝負だ!」

「出たとこ勝負か……いいじゃないか」

「頑張りますよー!」


 天空(てんくう)(あい)は、(ゆう)に言うと、クリスはボソリと呟いた。


「珍しいな。お前が、出たとこ勝負するなんて」

「そこまで切羽詰まっているんだよ」


 と言うと、(ゆう)はレイに言った。


「制御室の防火扉を閉めて、敵を来させないようにする。そこから案内を頼むぞ」

「了解!気を付けてくださいね」

「大丈夫だ。任せておけ。それと……」


 (ゆう)は机越しに物を投げた。レイはそれを受け取ると聞いた。


「……これは?」

「お守りだ」


 手に取ったのは羽根の付いたネックレスで、レイは笑いながら(ゆう)に言った。


「ありがとう、(ゆう)

「ん。気をつけろよ」


 そういういと(ゆう)はクリスに向かって合図した。


「壁を降ろせ」


 クリスは、即席で作ったリモコンで制御室の防火壁を降ろし、壁が降りている中、レイと(ゆう)はお互いの顔を見て軽く頷いた。


「これで、レイは何とも無いぜ。空気を自動供給だから窒息は無い」


 防火扉は閉まり、レイの姿は消え、(ゆう)はマイクイヤホンで連絡をした。


「レイ、聞こえるか?」

『感度良好です』


 レイがそう言うと、部屋のドアから罵声が聞こえた。


「おい!開けろ!」

「全員“翼”を出しとけ」


 (ゆう)は片手を上げて『呪文』を唱えた。


「《八式神(はちしきじん)風神(ふうじん)。風より我が手に集まり、鋭き刃となりて、如何なる物を切り裂きたまえ》」


 呪文が唱え終わると、(ゆう)の手には風の渦ができ、更に皆の背中には白き翼が広がり、(ゆう)はそれを確認すると皆の顔を見て言った。


「行くぞ!」

「了解!!!」


 (ゆう)は風の集まった手を床へと、勢いよく突き出した。


風刃絶臨覇(ふうはぜつりんは)!!」


 風の渦を床に突き出すと、大砲を撃ったような音が鳴り響き、床が割れた……いや、床が細切れになり、床に大穴を開けた。


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