~プロローグ~
暗闇に支配された街
破壊と瓦礫だけの街
続く戦闘に攻撃音
瓦礫だらけの街に、若い男女が全壊したビルの壁や柱等に座り寄り掛っていた。
「……一体、俺達は何をしている……」
「……この手は……血に染まり過ぎた」
他の者達も同じく、手は赤く染まり、体中にも血が付いていた。
その血は若い男女が流した血では無く、それは他の誰かの血であった。
「大地は血で染まり、破壊の衝動、死の混沌、生の絶望……後に何が残る……」
周りには息絶えた人間が数え切れない程倒れ伏せていた。
死体は銃器などを持っており、武装した装甲車の中で息絶え、その死体の中には彼等の仲間もいた。
「生き残ったのは……俺達だけか……」
そう言うと、近くに置いてあった無線機が何かを受信した。
『ザー……こち……司令部。第04特殊空挺……のチームは応答願い……ます』
「第04特殊空挺部隊A・O・Aチーム。感度不良、どうぞ」
男性は無線機を拾い応答した。
『……第04特殊空挺部隊、生存及び他部隊チームの報告してください』
「第04特殊空挺部隊での生存はA・O・Aチームのみ。他は……死亡を確認。別部隊は戦闘が激しかったため生死不明な上に生存確率は低いです。どうぞ」
『了解しました。A・O・Aチームは現在地を報告してください』
「現在地は市街中心部より南西約4km。回収を求む、どうぞ」
『了解しました。救援部隊のヘリが3分以内に到着します。付近に残存する敵兵には十分注意してください』
「了解」
男性は無線機のスイッチを切り後ろへと放り投げた。
「……ここにはもう味方も敵も生きていない……」
3分後には、救援部隊のヘリが一機に、四方を守るように攻撃ヘリ三機が到着した。
「……戦いで勝ち得る物はなんでしょうか……」
そう呟きながら、若い男女を載せた四機のヘリは暗闇の空へと飛び立った。
この戦いは《ブラッド・ヴァース~血の大地~》と語り継がれた。