ヤンデレ幽霊にご注意あれ!!
初めまして、私は元地縛霊のおんにゃのこです。
と言っても、たぶん地縛霊じゃないかって思ってただけなんですけど。
なぜか今までは一定の範囲の中でしか動けなかったので。
あ、でも『元』ですから『元』。
大事なことなので、二度言いましたよ。非常に大事なので、三回くらい言った方がいいのかな?
って、そうじゃなくって。
本題からそれちゃってすみません。
えっとですね、そのぉ、なんと言いますかぁ……。
いやん、やっぱり恥ずかちい。
あ、嘘です! 嘘!
ちゃんと話しますから聞いてくださいよぉ!
ふぅぅ、すごく緊張します。
は、はぃ。わかってますって。
今度はちゃんと言いますから、せかさないでください。こういうのには、心の準備が必要なので……。
――――こほん。
あのぉ、えっとですね……。
実は一目惚れしちゃったんですよ!
きゃはっ、言っちゃった言っちゃった、ついに言っちゃったよぉ。
あまりにその男の子がかっこよかったものでついて行ったら、いつの間にかいつも出られない場所から出ちゃってたんですよ。
愛のパワーって素晴らしいですね。
ですよね。ね? ね!
ん? 私に質問があるんですか?
はい、なんでしょうか?
ふむふむ。私の一目惚れしちゃった相手は、幽霊なのかって?
いやぁ、幽霊だったらよかったんですけど。
向こうはまだ生きてるんですよねぇ。
市内の高校に通ってる一年なんですけど。
クラスは1―4、出席番号31、身長はなんと172センチで私よりも頭一つ分大きいんです! あと、体重は62キロで、住所は○○市◇◇町××―×、携帯の電話番号は***-****-****、部屋は8畳くらいの洋室。…………悔しいことに、えっちな本が4冊と、ぶるーれいが1枚。
でも、かっこいいんです。かっこいいんですよね。かっこよいのですよ。
幸せすぎて、つい三段活用。って違うか。
え? なんでそんなに知っているのかですか?
調べたに決まってるじゃないですか。
好きな人がなにが好きで、どんな生活を送っているのか、一から十まで全部知っていたいものでしょ?
って、逃げないでください!
ここまで話したんだから、最後まで聞いてクダサイヨ?
やだなぁ、なにを怖がってるんですかぁ。私ってば、こんなに可愛いのに。きゃはっ!
で、問題はですね。その男の子って霊感にぶいらしくて、全然私に気付いてくれないんですよ。
一緒に登校したり。
勉強の時落ちた消しゴムを拾ってあげたり。
探し物を一緒に探してあげたり。
何回か見つけたことがあって持って行ってあげたら、すごく気味悪がられてがなじがっだでず。
それに、色仕掛けなんかしてくる女から守ってあげたり。
まったくあの女ども、呪い殺してヤロウカ……。
あとはぁ、……い、一緒にお風呂に入ってですね、鏡に『大好きです』って書いたりぃ……。
…………ゆ、ゆ、ゆ、夢の中に出て、デデデデートしたり、ぇぇ、えっちなことを!
したいなぁ……、なんて。
毎日頑張ってその男の子の夢に出てはいるんですけど、まだ手を握ったところまでしか。
なんか、ふりほどかれちゃって。シクシク……。
でもあきらめません、あの男の子の初めては私のものなんですから!
あ、もちろん、夢の中だけの話しですよ。
実際にできたらドレダケイイコトカ。
私の美貌なら、一瞬で落とせる自信があるのに。実に残念です。
でも、いつか必ず、私は奪ってみせます。
私の初めてもあげるので、これでおあいこです。
あ、すいませんこれから用事があるので、お話しはこの辺で。
なんの用事かって?
今日も夢に出るんですよ。
今日こそは押し倒されて、私の初めてをもらっていただくんです。
もしくは、私が押し倒してでも奪って見せますとも。
あくまで、夢の中なんですけどね。
それではぁ~。