4.聞き込み
家を離れた奈々子一行は、現場である人通りの少ない道を歩いていた。
「あのさ、何で付いて来るんだ?」
奈々子は先ほどからずっと付いて来ている久瀬に聞いた。
「何でって、レディ一人だけに出来ないだろ。それに、此処って事件があった場所だから、犯人が近くにいるかも知れない」
「それは無えと思うぞ」
「何故そう思うんだ?」
「女の勘よ」
「あんた男だろ……」
「たった今か弱い女の子に染まりましたわ」
「何だよそれ?」
「あら、泰一って意外と馬鹿なのね」
「どう言う意味だ? てか泰一って呼ぶなっ! そう呼んで良いのは奈々子だけだっ!」
「何言ってんのよ? 私は奈々子よ?」
「見た目は、な」
「うっ、言い返せ無え!」
と、落ち込む奈々子。
商店街に出ると、奈々子は偶々通り掛かった人にこう訊ねた。
「三日前、この辺りでボブ○ップの様な体格のスキンヘッドを見掛けませんでしたか?」
その問いに人は、
「それって、こばやんの事じゃないかな。あっ、こばやんってのは小早川の事で、暴走族のメンバーだよ。この辺では有名なんだけど、そいつがどうかしたの?」
「実は……」
そう言うと奈々子は、
「そいつ、三日前に直ぐそこで人を殺してるみたいなんです」
と、耳元で囁いた。
「えっ、寺島探偵殺したのって、女じゃなかったの?」
「女?」
「ああ。昨日、警察に逮捕されたらしい。確か、三塚井 小百合って言ってたな。聞いた話によると、寺島さんの恋人だとか」
(さっ、小百合が俺を殺しただってっ!?)
奈々子は顔を真っ青にした。
「泰一、警察行くよ!」
奈々子はそう言うと、神奈川県警に向かって走り出した。
「バカッ、あんた心臓!」
と、久瀬は慌てて奈々子を追い掛けた。
「急ぐならおぶってやる!」
「ありがとう!」
奈々子は久瀬の背中にしがみついた。
「でっ、どっちだ警察はっ!?」
「商店街を真っ直ぐ抜けて信号のある大通りを右に曲がった突き当たり!」
「任せろ!」
久瀬は奈々子をおぶって県警を目指した。
「ぬぉおおおおっ!」
久瀬は雄叫びをあげながら、県警に飛び込んだ。
その久瀬を見て、外で見張りをしている警官は、目を真ん丸にして驚いた。
「着いたぜ、寺島さん」
久瀬はそう言うと、奈々子が既に背中にしがみついていない事に気付いた。
「寺島さんっ!?」
久瀬は辺りを見渡した。すると、受付の前に奈々子の姿を見付けた。
奈々子は受付の婦警に、
「あの、三塚井 小百合が逮捕されたと聞いたのですが」
「面会ですね? 三塚井容疑者なら、地下ですよ」
「ありがとう!」
奈々子は礼を言うと、地下に向かった。
(全く警察は何やってんだっ!? もっと良く調べろっ!)
聞き込みで情報手に入れんの迅やっ!