++エピローグ++
ZZZzzz...
寺島家の部屋のベッドから、小さな鼾が聞こえる。
鼾の主は、櫻井 奈々子である。
その奈々子が、今、夢を見ている。
「解決出来たんだね、お兄ちゃん」
そう言ったのは、例の瓜二つの少女だ。
「ああ。これで俺も、あの世に逝ける」
「何言ってんのお兄ちゃん? お兄ちゃんはこれから、あたしの体で生きて行くんだよ」
「え、俺があの世に逝って、お前にこの体が返るんじゃないのか?」
「本来ならそうなんだけど、神様にお願いしたの。お兄ちゃんとずっと一緒が良いって」
「言ってる意味が解らん」
と、首を傾げる奈々子。
「一つの体を二人で使うって事なんだけど、解らない?」
「と言うとつまり、この体にお前と俺の二人が入るって事だよな?」
「そうだよ」
「お前、俺に相談無しに勝手に決めたのか?」
その問いに少女は、首を横に振り、
「お兄ちゃん、あたしと約束したじゃない。両親が殺された時、死ぬまでずっと一緒だって。けど、あの後あたしは親戚の叔父さんに引き取られ、お兄ちゃんはお爺ちゃんに引き取られた」
「確かに約束はした。だからって、勝手に決める事無いだろ。それより、俺はこの体を早く出たい」
「何で?」
「俺までゴミ子なんて呼ばれるのは嫌だ」
奈々子がそう言うと、少女は鋭い目つきでこう言った。
「そのゴミ子って言うの、誰から聞いた?」
「久瀬って奴だけど?」
「それ、本当?」
その時、奈々子はとても恐ろしい何かを感じた。
「お前、何考えてるんだ?」
その問いに少女は、
「あんな男もう捨ててやる!」
と、吐き捨てた。
(奈々子の奴、ゴミ子と呼ばれるのが相当嫌なのか)
と言うのは、敢えて口にしない奈々子である。
多分批判が沢山来るだろうな。