11.終局
「……………………」
奈々子は言葉を失った。
「さて、話も終わった事だし、そろそろ貴女にも死んで貰いましょうか」
と、拳銃を奈々子に向ける百合子。
「その前に、一つ聞かせて欲しい事があるんだけど」
「ダメ。もう話す事なんて無いから」
「あるだろ……東京で起こった轢き逃げ事件が」
その言葉に、百合子は顔色を変えた。
「なっ、何の事かしら?」
と、惚ける百合子。
「惚けるなよ? 知ってるんだ。あんたが東京で、女子中学生を轢き逃げしたの」
「何であんたが知ってんのよ?」
「それは、私がその轢き逃げされた被害者だからよ」
その言葉に百合子は膝を落とし、拳銃を手放した。
「嘘よ。そんなの絶対あり得ない。だって、あのスピードよ? 生きてる訳が無い」
「確かに、あんたが轢いた女子中学生は亡くなった。しかし、奇跡が起こったんだ。この俺、寺島 幹生が女子中学生の体で蘇ると言う奇跡がなっ!」
奈々子は身の毛もよだつ程の表情でそう言った。
「そんなオカルトじみた事ある訳無いじゃない。きっとあれよ。事故の時に頭打ってそのショックでおかしくなったのよ」
と、奈々子の言葉を否定する百合子。
「それより、背中に何隠してるのかな?」
そう訊かれ、後ろ手に携帯を持った奈々子は、咄嗟にこう言った。
「な、何もしてないし、隠してもいないよ」
「まあ良いわ。どうせ貴方は此処で死ぬんだし」
そう言って、百合子が拳銃を拾った時、
「そこまでだ!」
と、拳銃を持った数人の刑事が入って来た。
「バカなっ、何故此処がっ!?」
その問いに奈々子は、
「これさ」
と、携帯を前に出した。
「私はこれを使って警察に掛けてたのよ」
「そう言う事だ。銃を捨てろ」
百合子は顔色を変え、拳銃を落とした。
「今だっ、確保!」
と、百合子に飛び掛かる刑事達。
ガシャッ!──百合子に手錠が掛けられた。
「午後3時30分、三塚井 百合子を殺人罪で逮捕」
と、例の老けた刑事が時計を見ながら言った。
「刑事さん、早いですね」
「君がその携帯で110番してくれたおかげで場所の特定が出来たんだよ。感謝しなくてはな」
その言葉に奈々子は、
「通話料、当然払ってくれますよね?」
「うむ、謝礼金として警察の方から払わせて貰うよ」
刑事はそう言ったが、心の中ではこう思っていた。
(この尼、幹生と同じく鬼だな)
自分で言うのもあれだが、11話は駄作だな。