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10.御対面の時

「言いたかったんだけど間に合わなかったっ、ごめん!」

 真っ暗闇の中でそう言ったのは、奈々子に瓜二つの少女だった。

「いや、お前が謝る事じゃない。油断してた俺が悪いんだ」

「でも私がちゃんと話していれば、お兄ちゃん気絶しなくて済んだのに」

「良いか奈々子?探偵と言う職業には危険が付き物なんだ。お前が先を知っていて教えてくれたとしても、危険を回避する事は出来無えんだ」

「じゃあ何でそんな職業なんか?」

「自分の推理で犯人追い詰めるのが面白いから」

 奈々子がそう言うと、

「そんな理由でかぁっ!?」

 と、瓜二つの少女は言い、上へ吹っ飛んで行った。



「ん……んん?」

 奈々子が目を開けると、手足を縄で縛られ、口を粘着テープで塞がれていた。

(なっ、何だよこれっ!?)

「ふがっ、ふがふが!」

 奈々子は取り敢えずもがいてみた。しかし、どうにでもなる訳でも無く、彼女は静かになった。

「お目覚め?」

 と、何者かの影が奈々子の前に現れた。

ビリッ、ビリビリッ!──影は奈々子の口を塞いでいる粘着テープを剥がした。

「やっぱりアンタが犯人か」

 奈々子はそう言うと、少し間を空け、

「三塚井 百合子!」

 と、叫んだ。

「アンタ……小百合は、小百合は実在するのか?」

「どうかしらね。例の空き地付近でも捜してみたら?」

「まさか、殺したのか?」

「さあね? それにしても言葉遣いの悪い餓鬼だな。少しは礼儀を弁えたらどうだ? えぇ?」

 と、奈々子の髪の毛を引っ張って持ち上げる百合子。

「いててててててっ、髪が千切れっからやめろっ!」

「貴方の言葉遣いが悪いからこうなるのよ」

ゴンッ!──百合子は奈々子の頭を床に叩き付けた。

「うっ!」

 奈々子の視界が霞んだ。

(やばいっ、今度こそ殺される!)

 奈々子は焦ると共に覚悟を決めた。

「なぁ、一つ訊いて良いか?」

「良いわ。何が訊きたい?」

「小早川殺したの、あんたか?」

 奈々子のその問いに、百合子は小さく笑うとこう言った。

「彼を殺ったのは小百合よ」

「成る程。それで小百合を殺害し、その現場を見てしまった河内さんを殺害したって訳か」

「ただの餓鬼だと思ってたけど、結構頭良いのね。そう、私が小百合と河内とか言う男を殺したのよ」

「それじゃあもう一──」

 奈々子が言い掛けると、百合子が拳銃を取り出して奈々子の額に当てがった。

「これが何か判る?拳銃よ、け・ん・じゅ・う」

 その時、ブチッと言う音がし、奈々子の両手を縛っていた縄が切断された。

 奈々子はニヤリと笑うと、横に転がりながら懐から拳銃を取り出し、百合子に照準を合わせた。

拳銃チャカを持ってんのはアンタだけじゃねぇぜ」

(とは言うものの、霞んでてよく見え無ぇ)

「な、何であんたみたいな餓鬼が持ってんのよ? しかもチャカだって? 暴力団でも気取ってるつもり?」

 奈々子は引金を引いた。

パアンッ!──その音と共に、弾丸が百合子の頬をかすった。

「ちょっと何するのよっ!?」

パアンッ!──今度は百合子が発砲。弾丸は奈々子の足に風穴を開けた。

「っ!」

 痛そうな顔をする奈々子。

「取り敢えずその物騒な物を捨てろ」

 そう言って奈々子は、引金に指を当てた。

パアンッ!──百合子は発砲。弾丸はカンッと音を立てて奈々子の拳銃を吹っ飛ばした。

「死にたくなければバカな真似はしない事よ? ま、こっちはアンタを生かそうなんてこれっぽっちも思っちゃいないけどね」

「それは残念だ。所で、寺島 幹生はあんたが?」

「えぇ。でも驚いたわ。一卵性の双子だと指紋が同じになるのね」

「いや、区別がつきにくいだけで一致はしないよ。まぁ、そのせいで小百合が捕まったみたいだけど……。それより、何時から小百合と入れ替わっていたんだ?」

「貴方が最初に小百合と会った直後よ。例の抜け穴を通ってね」

「その時、アンタは小百合を殺害し、例の空き地付近に運び、戻って例の抜け穴から牢の中に入ったって訳か?」

「その前に河内とか言う奴を射殺してからかしらね」

「……………………」

 奈々子は言葉を失った。




一気に書き貫こうと思った訳だが、長くなりそうなので一旦区切ります。

はてさて、奈々子の運命は如何に!?

次話、ご期待!

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