9.牢屋の抜け穴
ガシャンッ!──奈々子は鉄格子を開けて中に入った。
(小百合の奴、何処へ行ったんだ?)
奈々子は牢屋の中をくまなく捜した。が、しかし、やはり小百合の姿は無かった。
「署内に脱獄の連絡をお願いします」
奈々子はそうお巡りさんに言った。
するとお巡りさんは駆け足で去って行った。
(まさかとは思わんが、抜け穴とか無ぇだろうな?)
と、奈々子は牢屋の壁、床などを調べた。
コンコン、コンコン──壁を叩く音が響く。
(っ、此処だけ音が違うっ!?)
そう思った奈々子は、もう一度壁を叩いてみた。
壁はトントンと音を立てた。
「はっ!」
奈々子は思いっきりその壁を蹴り飛ばした。
ズドーンッ!──壁は大きな音を立てて奥に倒れた。その先には、通路が一直線に続いている。
(隠し通路!?)
奈々子は驚きつつも、その通路を進んでみる事にした。
「よしっ!」
気を引き締めると奈々子は、通路に足を一歩踏み入れた。そして一歩、また一歩。着々と確実に進んで行く。
それから暫くすると、上へ昇る為の階段が見えて来た。
奈々子は躊躇う事無く、その階段を昇って行った。
(明かりが差してる。あそこが出口だな)
と、奈々子は一気に駆け上がり、階段を塞いでいる蓋を持ち上げた。
グワッ、ギイィーン──なんとも嫌な音が鳴る。
蓋が完全に開くと、奈々子は顔を外に出した。
(何処だ此処?)
と、奈々子は辺りを見回した。
辺りには、草花が一面に生い茂っていた。
(此処は、花畑かなんかか?)
と、その時、奈々子に瓜二つの少女が現れた。
「やっと、会えたね」
瓜二つの少女はそう言った。
奈々子は振り向くと、
「あんたは?」
その問いに少女は、クスクスッと笑ってこう言った。
「知ってるクセに」
「えっ?」
「私は貴方、貴方は私。意味が理解出来るかしら?」
「お前、奈々子か?」
奈々子が即答すると、瓜二つの少女は頷いた。
「此処は何処なんだ?」
「三途の川を渡った先にあるお花畑よ。貴方に言いたい事があって、呼び出したんだけど……」
「私……俺に言いたい事?」
「今回の事件、かなり難解だよ?」
「それなら大丈夫さ。もう、犯人の目星はついてる。それより、早く元の世界に……」
すると、眩い光りが奈々子を包み込んだ。
「うわっ!」
あまりの眩しさに、奈々子は目を腕で隠した。
そして気が付くと、県警の裏側に立っていた。
(出口はっ!?)
奈々子は慌てて後ろを振り返った。
地面には階段があり、その脇にコンクリートの蓋が置いてあった。
(あの通路、此処へ出る為の抜け穴だったのか。にしても、何であんなものが牢屋に?)
ボグッ!──奈々子は背後から何者かにバットの様なもので殴られた。
「うっ!」
奈々子はその場に倒れた。
「あっ、アンタは……」
奈々子はそう言い残し、気を失った。
牢屋に抜け穴!
奈:「何であんなのがあるんだ?」
作:「ああああっ、それは次回にっ!」
奈:「ケチッ!」