表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【鋼の青魔】鋼の肉体を持つ青魔導士~敵の技をラーニングするが、自分を最強の戦士だと勘違い~  作者: ハリネズみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/13

第6話:酒場で自己紹介!

 アージェンの町の門をくぐると、そこにはアシュレ村とは比べものにならない活気が溢れていた。石畳の道、行き交う馬車、そして漂ってくる美味そうな食事の匂い。

「……ようやく文明の拠点に到達したか。まずは一息ついて、タスクリストを整理したいところだな」

 トオルがそう提案すると、腹を空かせたリノが真っ先に賛成した。


 三人が入ったのは、冒険者たちが集う賑やかな酒場だった。パツパツの青い旅人服を纏った精悍なトオル、金髪の清楚なエルナ、そして黒いタイトな装束に身を包んだ小柄なリノ。その独特な組み合わせは、店内の視線を少なからず集めていた。

 エールのジョッキと、焼きたての肉料理が運ばれてくると、トオルは居住まいを正した。

「改めて、自己紹介をさせてもらおう。私は青柳あおやぎトオル。三十歳だ。……実は、私はこの世界の人間ではない。『ニホン』という異世界の出身で、向こうでは『サラリーマン』という事務や交渉などを主とする仕事をしていた」


 トオルは淡々と語るが、エルナとリノは顔を見合わせた。

「イセカイ……ニホン? ……まあ、改めて聞いてもよくわからないけど、遠い果ての国か何かかしら? トオルのあの常識外れな強さを見てると、私たちの理屈が通用しない場所にいたって言われても、不思議と納得しちゃうわね」

 エルナは小難しく考えるのをとうの昔にやめており、納得したように頷いた。

「へぇー、異世界! よくわかんないけど、きっと凄く強い人がいっぱいいる国なんだね! さすがダーリン、出身からして特別なんだ!」

 リノも深く追求せず、トオルの右腕にすり寄る。二人にとって「異世界」という言葉の真意は伝わっていないようだったが、「トオルだから、そんなこともあるだろう」という妙な信頼感で話がまとまってしまった。

「……まあ、そういうことにしておこうか。こちらでは一種の戦士といったところかな。基本的にはこの肉体を活かした物理的なアプローチが得意だと思っている。……ヒールも使えるようだし、多少ならバックアップも可能だ」

 涼しげな二重まぶたの奥にある瞳は優しく、大人の余裕を感じさせる。

「……ただ、困ったことに服のサイズが合っていなくてね。向こうの既製品ならもっと余裕があったのだが。この肉体におすすめの服があれば買い換えたいところだ」

「トオルは謙虚すぎるのよ。その『鋼の肉体』、普通の戦士が一生かかっても届かないレベルな気がするわ」


 エルナが呆れたように、しかしどこか自慢げに続けた。

「私はエルナ、二十六歳。アシュレ村の村長の娘よ。専門はサポート魔法。初級レベルの魔法ならだいたい使えるわ。……簡潔に言うと、村の再建のために、トオルから譲り受けた黄金竜の鱗を換金するためにこの町まできたってところよ。あとは、トオルにのその……魔物や罠から助けてもらって、すっかり頼りにしちゃってる!って感じかな」

 エルナは琥珀色の瞳を少し伏せ、はにかんだ。軽銀の胸当て越しでも分かる、健康的なお尻のラインが彼女の快活さを象徴している。

「ふふーん、エルナちゃんはお堅いねぇ。私はリノ、十九歳! 見ての通り、元は盗賊団の看板娘さ。斥候、罠設置や解除、それに……『大人の交渉』も得意だよ?」

 リノは黒髪を揺らし、八重歯を覗かせてニヤリと笑った。黒猫のようなしなやかな動きでトオルの右腕に密着する。

「私はね、ダーリンのあの逞しさに一目惚れしちゃったの。毒矢を受けても平気な男なんて、他にいないもん! お腹を空かせて仕方なく盗賊やってた私が、初めて『この人に食べさせてもらいたい』って思った運命の人なんだから!」

 リノは小柄だが、密着したトオルの腕には、エルナ以上のボリュームを持つ豊かなバストが押し付けられていた。

「リノ! 離れなさいってば! トオル、そんな子を甘やかしちゃダメよ。元盗賊なのよ? もっと真っ当な教育が必要だわ!」

 エルナが眉を吊り上げて怒鳴る。恋心に無自覚な彼女は、胸の奥で渦巻く「自分だけのものにしておきたい」という独占欲を、あくまで『村長の娘としての責任感』として上書きしていた。

 しかし、トオルはリノの頭を軽くポンと叩くと、穏やかに微笑んだ。

「まあ、そう怒るな。リノの言った『大人の交渉』……要するに、相手の弱みやニーズを把握して有利な条件を引き出す能力だろう? 現場交渉を経験した俺から見れば、そのアプローチは非常に合理的で、有用なスキルだ。……リノ、君のその能力は、今後大きな力になると期待しているよ」

「……えへへ、ダーリンに褒められちゃった! ほらエルナちゃん、結果オーライでしょ? ダーリンは私の価値みりょくを分かってくれてるんだからぁ」

 リノはさらに深くトオルにしがみつく。

「な、何が合理的よ! トオル、あなた甘すぎるわ! ……ん、もう! なんでそう、女の子に対して無自覚に優しくするのよ!」

 エルナは地団駄を踏んだ。トオルの「頼まれたら断れない優しさ」と、それゆえに女性をさらりと扱いこなしてしまう大人の余裕が、自覚なき彼女の心を激しく焦らせる。


「さて、まずは黄金竜の鱗をこの町で換気処理し、村へ持ち帰ることが第一タスクだな。その前に、リノには商人ギルドの場所を調査してもらいたい。そして、エルナ、君はギルドの事務手続きを頼めるかな? 君の豊富な知識が必要だ」


 トオルがテキパキと指示を出すと、二人のヒロインは文句を言い合いながらも、彼の背中についていくしかなかった。

 無自覚な最強戦士と、対照的な二人のヒロイン。アージェンの町を舞台に、トオルたちの新たな関係が本格的に動き出した。


三人の関係性が少しでも伝えられたでしょうか。

「第7話:廃村再生の第一歩!」へ続きます。


もし少しでも「続きが気になる!」と思っていただけましたら、

・下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援

・ブックマークをポチッと追加

いただき、次のお話をお楽しみください。


皆様の評価プロテインひとつで、私の執筆エネルギーが劇的に回復します!

引き続き、よろしくお願いいたします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ