第30話:青い衝撃と新たなる旅立ち
第29話を公開してから、3週間以上。楽しみにされていたみなさま、大変お待たせいたしました。ついに第1章完結です!
仕事が忙しく、AIとの壁打ちがスムーズにできておりませんでした。この場をお借りしてお詫び申し上げます。
「お主には、完敗だ。まさかアオマドウシが戦士の身なりをしているとはな……」
最期の言葉を遺し、魔王軍の幹部ムシャは静かに息を引き取った。
その巨大な亡骸は、圧倒的な「死」の重みを戦場に残していた。
「アオマドウシ……。俺は戦士じゃないのか……」
トオルは困惑していた。この世界の身体が異常に頑丈なこと、それゆえに自分を最強の戦士だと勘違いしていた。そしてヒールやサンダーは異世界転移時の追加サービスだとも思っていた……。
「ダーリン、かっこよかったぁ!」
リノの声で我に返ったトオルはボロボロになった衣服の煤を手で払い、駆け寄ってきた仲間に向かって、親指を立て勝利を報告する。
リノが勢いよくトオルに抱きつき、煤けた胸に顔を埋める。
「トオルさん! お怪我は大丈夫ですか!?」
カイルも心配そうに駆け寄る。
「エルナさん! できる限りの手当をお願いできますか」
「ええ、もちろんよ!……【ヒール】」
エルナが杖をかざすと、柔らかな光がトオルの全身を包み込んだ。
「やっぱりエルナのヒールは安心する。何かが漲ってきた気がするな!」
「……もしかして変なこと考えてないでしょうね。でも、そんなことを考える余裕があるなら、怪我は大丈夫ね!」
いつものやりとりが交わされている傍らで、ミラは、呟いた。
「トオルさんが青魔導士……。魔導書でしか目にしたことがない伝説の職業だなんて……」
エルナは杖をかざしたまま、複雑な表情でトオルに詰め寄った。
「トオル! 無事でよかったけど……『あおまどーし』って何よ? 聞いたことないわよ。やっぱり変態じみた職業なのかしら?」
トオルは苦笑いしながら、戦場の整理を開始した。
「ああ、青魔導士というのは何となく知っている。技を受けると学習できる職業だったはずだ。だが、とりあえず後片付けだ。その件はじっくり考えるとしよう」
一行はハイゴの禍々しい杖、ムシャの遺品である巨大な斧。そして、横たわる魔物たちの遺品を一つ一つ回収し、死体を土に葬った。たとえ敵であっても、全力を尽くした相手への最低限の「敬意」は忘れない。
◇
一行がアシュレ村に戻ると、自警団や村人たちが総出で迎え入れた。
「おおお! 帰ってきたか! あの爆音は何事かと思ったぜ!」
「魔王軍の幹部バーサーカーを倒したって!? 嘘だろ、トオルさん!」
そしてその夜、村の広場で大きな焚き火を囲い、大宴会が開かれた。
アージェンから仕入れていた銘酒が次々と開けられる。
村人たちはトオルの武勇を肴に夜通し語り合った。脅威が去った村の熱気は最高潮に達していた。
しかし、賑やかな宴の片隅で、トオルたちは深刻な会話をしていた。
「……バーサーカーが言っていた『魔王』という存在。そして、トオルが魔族に狙われたという事実。これは単なる一過性の問題では済まされないわね。」
エルナが真剣な面持ちで地図を広げて続ける。
「魔王、いったいどこにいるのかしら。それから青魔導士……。気になることは盛りだくさんね。何から始めればいいのかしら」
ミラがその横で呟く。
「魔法都市イルミナ。そこなら青魔導士に関する情報、それから魔王の手がかりも何か掴めるかもしれません」
トオルは、村の喧騒を遠くに聞きながら、夜空を見上げた。
「なるほど。ようやく安定した拠点を手に入れたと思ったが、この世界には魔王がいるんだな。どの世界でもそんなに上手くはいかないか。……承知。さて、新しい旅の支度を始めるとしよう」
「ところで、みなさんはどうするつもりですか?」カイルは女性陣に尋ねる。
「「もちろん、行くわ!!」」
「きっと、そう答えると思ってました。トオルさん、引き続き我々をよろしくお願いしますね!」
「ああ、心強い!みんな、ありがとう」
翌朝。
朝日に照らされたアシュレ村を背に、トオルとその仲間たちは歩き出した。
青魔導士のについて、それから魔王の手がかりを探す旅。──きっと彼らに数々の試練が待ち受けるだろう。
こうして、鋼の肉体を持つ青魔導士の物語は、第1章の幕を閉じ、より広大な世界へとその舞台を移していくのであった。
(第1章・完)
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第2章については、公開の間が空きすぎないよう、ストックしてから公開を進めさせていただきます。
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