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【鋼の青魔】鋼の肉体を持つ青魔導士~敵の技をラーニングするが、自分を最強の戦士だと勘違い~  作者: ハリネズみ


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第3話:回復魔法を習得!?

 夕闇に包まれ始めたアシュレ村の門をくぐった時、村人たちの反応は一様だった。

「エルナ! 無事だったか……って、おい、後ろにいるその『野蛮人』は誰だ!?」

 松明を手にした自警団の男たちが、トオルを見てぎょっと後退りした。

 腰に鮮血の滴るような魔猿の毛皮を巻き、上半身は彫刻のように引き締まった半裸。トオルの姿は、どう見ても文明社会から来た旅人には見えなかった。

「違うの! この人はトオル。怪しい人じゃないのよ! それに、これはフォレスト・エイプを倒して……その……着替えがなかったから仕方なく……」

 エルナの必死に説明により、なんとか不審者扱いを免れ、トオルは深々と頭を下げた。

「お騒がせして申し訳ない。私はトオル。しがないサラリーマン……失礼、流浪の身だ。この度はエルナ殿に、こちらの村を案内させていただいた。不審な者ではないので、どうかご安心を」

 その声は驚くほど理知的で、低姿勢だった。

「サラリーマン……? 浪人か何かか? よく分からんが、エルナの保証があるなら話は別だ。しかもフォレスト・エイプを倒すなど。村長に話をしてみよう」


 村長の家で、トオルは黄金竜の鱗を一枚差し出した。

「なっ……これは、伝説に聞く黄金竜の!? これ一枚あれば、アシュレ村の設備や生活を整えられるぞ!」

 村長は震える手で鱗を受け取った。

「トオル殿、貴方は一体何者なんです?こんな……価値あるものを名刺代わりにされるとは。」

「いえ、私はただの流浪の身、そしてそれは私には価値が分からないものです。…それよりも村長、お願いがあります。食事としばしの休息場所を提供いただけないでしょうか。またこの腰巻きでは女性には刺激が強いようなので、衣類も所望したいのです」

 村長の家で「名刺代わり」に差し出した黄金竜の鱗に村中が騒然とする中、トオルはエルナから青い旅人風の服を提供され、ようやく人心地ついた。


 食事が用意されるまでの間、トオルは暖炉の火を眺めながら、エルナからこの世界の「常識」について講義を受けていた。

「いい、トオル。この世界には『魔法』というものがあるの。私みたいな回復系やサポート系のほかに、火を噴いたり雷を落としたり、色々あるの。トオルのような前衛職……その、凄まじい格闘センスを持つ戦士には、私のサポート系魔法を組み合わせると相性はバッチリ!ということだわ、分かった?」

「へぇ、魔法か。実際に体験できたからな」

 トオルは、先ほど魔猿に殴られた際、エルナがかけてくれた光を思い出す。

「……例えば、さきほどエルナがかけてくれたやつって、俺にもできるのか? 手順としては、こう、対象に手をかざして……【ヒール】……とか?」

 トオルが軽い気持ちで、自分に向けて手をかざした、その瞬間。

 ――カッ!!

 部屋の明かりがいらないほどの濃密な黄金の光がトオルの掌から溢れ出した。トオルの身体はさらに瑞々しさを増し、皮膚が再構成され若返ったように感じた。余った光が周囲の観葉植物まで瑞々しくさせている。


「……出来た。え、俺、魔法もいけるのか? もしかして魔法戦士ってやつか、これ」

 トオルは自分の手を見つめ、驚きよりも先に「利便性」を感じて表情を明るくした。

「この転移サービス、めちゃくちゃラッキーだな! 自分で自分を癒せるとか最高だ。(いるか分からんが、ゲームマスターに感謝をしなければ)」

「(目玉が飛び出るほど驚いて)……はぁぁぁ!? 今のは魔法!? しかも私よりも効果が高そうなんだけど!! 何なのその出力!!」

 エルナは椅子から転げ落ちそうになりながら叫んだ。彼女が一生懸命努力して身に着けた回復魔法が、この男の手からは水道の蛇口を捻るように流れ出している。

「なるほど! 異世界ってのは凄いな」

 トオルは感心したように頷いた。

「肉体強化だけじゃなく、回復魔法まで使えるなんて。最強の『魔法戦士』じゃないか、これ。この世界だとかなり希少職な気がするな。 といっても、今はまだちょっとタフネスな冒険者って感じかもしれないが」

「(魔法戦士って何よ……規格外すぎる)」

 エルナは頭を押さえて絶句した。

「(トオル、根本的に何かがおかしいわ。魔法の理論とか工程とか全部すっ飛ばして『結果』だけ出してる……。でも、これだけできるなら、もしかしてあのドラゴンも倒せるんじゃ……あ、いや、そんなことより今はドラゴンの情報よ!)」


 エルナは混乱する脳を振り切り、地図を広げた。

「いい、トオル。あんたがどれだけ規格外でも、世界にはもっと理不尽なモノもいるはずよ。とにかく明日、隣町のギルドへ出発するわ。この鱗を換金して、村の資金を手に入れることが先決だわ」

「了解した。いわゆる『デート』だな。はっはっは」

「ちょ、ちょっと何言ってるのよ!この変態!!」

 トオルはパツパツの袖をまくり、出されたスープを一口啜った。

 無自覚な最強戦士の、異世界における冒険がいよいよ始まることになった。




第3話までお読みいただきありがとうございました!

ここからは、異世界物語の王道である冒険を綴ってまいります。


もし少しでも「続きが気になる!」と思っていただけましたら、

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いただき、次のお話をお楽しみください。


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引き続き、よろしくお願いいたします!!

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