第24話:強襲! 絶望の咆哮
トオルの家を建てるための資材調達として、一行と元盗賊団の面々は、いつもの採取場へと到着した。
アシュレ村の再編に伴う大規模な伐採が進んでいたせいか、かつて鬱蒼としていた森は、今や視界を遮るもののない見通しの良い開けた土地へと姿を変えていた。
「さて、トオルさんのために、ささっと作業しちゃいましょ!」
元盗賊のメンバーが、絆の証である黒いリストバンドを誇らしげに掲げ、気合を入れ直した、その時だった。
突如として、どろりとした邪悪なオーラが立ち込め、空間を物理的に圧するような不吉な重圧が一行を襲った。
森の奥から静かに現れたのは、異様な威圧感を放つ魔物の軍勢――バーサーカーのムシャを筆頭に、ハイウルフのヤマイヌ、ハイゴブリンのハイゴ、そして八体のガーゴイルであった。
「……ようやく見つけたぞ、光と雷の魔導士よ」
ムシャが低い声で告げると同時に、その岩石のような強靭な胸筋が、肺いっぱいに吸い込まれた空気で大きく膨らんだ。
「――【絶望咆哮】!!」
真空状態を作り出すほどの勢いで、空気が爆ぜる衝撃波が放たれる。トオルは即座に反応し【守護障壁】を展開して、正面から破壊的な直撃を受け止めた。
(テロップ:スキル【絶望咆哮】をラーニングしました)
しかし、トオルの想像を遥かに超えるムシャの一撃による衝撃の余波が、周囲に激しく飛散する。
トオル以外のメンバー――エルナ、リノ、カイル、ミラ、そして元盗賊団の五人は、大地から離れ、数十メートル先まで吹き飛ばされてしまった。
「なんという威力だ……! エルナ、みんな大丈夫か!」
トオルが険しい表情で背後を顧みて叫ぶ。
土煙が舞い上がる平原の向こうで、仲間たちが激しい衝撃に顔を歪め、砂を噛みながらも、必死に立ち上がろうとするのが見えた。
吹き飛ばされた衝撃で戦列は完全に分断されてしまった。
「絶望咆哮を耐えるとはな。伊達にキキュウを討ち取ったわけではないということか。その頑丈さ、実に好ましい」
ムシャが獰猛な笑みを浮かべ、感心したように頷く。そこへ、冷徹な眼差しのヤマイヌとハイゴが静かに歩み寄った。
「ムシャ様。あちらの雑魚どもは、私たちに任せていただけないでしょうか。キキュウの復讐の一端について我々にも担わせていただきたく……」
「……まあいいだろう。おそらく、この男が『重要人物』だ。この男には拙者の筋肉を、存分に味わってもらう」
ムシャが首の骨を鳴らし、闘争心に燃える瞳でトオルを鋭く見据える。
こうして、圧倒的な個の武力を持つムシャと対峙せざるを得ないトオル。一方、そしてヤマイヌ・ハイゴ率いる軍勢の猛攻に晒されるエルナたち。二手に分かたれた闘いの幕が切って落とされた。
次回、2026年3月3日19時10分更新です!
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