第21話:一行の行き先!
絶望の山脈にそびえ立つバーサーカーの居城。
その広間では、バーサーカー軍の幹部たちが沈痛な面持ちで言葉を交わしていた。
今回の企画で命を落としたのは、ガーゴイルのリーダーであるキキュウであった。
「キキュウはリーダーシップもあり、無茶なことはしない。それでもガーゴイル部隊が壊滅させられるとは……」
低い声で唸ったのは、ハイウルフのヤマイヌである。彼は鋭い眼光で、持ち帰られた戦況報告を解釈した。
魔王軍の武力の幹部であるバーサーカーのムシャが、鋼のような腕を組んで口を開く。
「あいつらのために練った企画がこんな結果になってしまうとはな。俺にも責任の一端はある」
その重苦しい言葉に、生き延びたガーゴイルたちが首を振った。
「いいえ、ムシャ様のせいではございません。まさか、たった一人で戦況そのものを支配できるほどの人間がいるとは、思いもよらず……」
「そうです。ムシャ様には責任はございません」
言葉を継いだのは、老齢ハイゴブリンのハイゴである。
「これより、このハイゴとヤマイヌで調査を始めさせていただきます。必ずやその者を見つけ出し、キキュウの無念も晴らしてみせましょう」
ムシャは静かに立ち上がり、赤い瞳を光らせた。
「ガーゴイルたちよ。調査はハイゴとヤマイヌに任せ、我らは最高の状態で戦えるよう準備を整えよう。害をなした者がどのような結末を迎えるか、教えてやろうではないか。はっはっは」
◇
一方、エストーレの町では。
「それにしてもカイル、あんたが闇の魔法まで使えるなんてね。今まで何で隠していたのよ」
エルナの言葉に、カイルは少し照れくさそうに頭を掻いた。
「一人で各地を回っている間も、鍛錬はしていたんですよ。闇魔法のような危うい術も魔物相手ならうってつけですし、試行錯誤をして、ようやく形になりました。まだまだ向上の余地はありますが」
カイルは、トオルのような規格外の強さこそないものの、努力の積み重ねにより魔導弓術師としての腕を磨いていた。
町では瓦礫の回収が終わり、損害を受けた建物の修復作業もようやく一区切りがついた。
残すは象徴である時計台の再建のみだが、これには特別な技術を持つ人材を遠方から呼び寄せなければならないようだ。
「一旦、アシュレに帰りましょうか」
エルナがトオルに向き直り、微笑んだ。
「トオルはまさに英雄だわ。あなたの功績にふさわしい豪邸でも作っちゃいましょう!」
「俺の家か。それはありがたい。前の世界でも持ち家は憧れだったからな」
トオルの答えに、リノが食い気味に割り込んだ。
「私も! 私もトオルと一緒に住みたい! 何なら結婚しようよ!」
「こら! なんてことを! トオルの気持ちだって考えなさいよ!! ……ところで、カイル、あなたはどうするの?」
エルナの問いに、カイルは家族の待つ家の方を一瞥し、それから力強くトオルたちを見つめた。
「よろしければ、同行させていただけないでしょうか。家族への恩返しも一先ずできた。今は、みなさんと共に旅をして、今度こそ俺自身の進むべき道を見つけたいのです」
こうして一行は再び懐かしきアシュレ村へと向けて出発した。
背後には、平和を取り戻したエストーレの民たちが賑わう声が響いていた。
次回、2026年3月1日9時10分更新です!
もし少しでも「続きが気になる!」と思っていただけましたら、
・下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援
・ブックマークをポチッと追加
いただき、次のお話をお楽しみください。
皆様の評価ひとつで、私の執筆エネルギーが劇的に回復します!
引き続き、よろしくお願いいたします!!




