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【鋼の青魔】鋼の肉体を持つ青魔導士~敵の技をラーニングするが、自分を最強の戦士だと勘違い~  作者: ハリネズみ


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第1話:異世界に転移!?

数ある作品の中から、本作を見つけていただきありがとうございます。


本作の【鋼の肉体 × 青魔道士】という、独自の世界観をお楽しみください。


結末までのプロットはすでに完成しております。

どうぞ安心して、トオルたちの冒険に最後までお付き合いください!

三十歳の誕生日。青柳(あおやぎ)トオルは、都心から少し離れた単身者向けマンションの一室で、整然と片付いたデスクに座っていた。

夕食はコンビニ弁当だが、それは寂しさからではない。効率を重視し、余計な家事に時間を割かないための選択だ。彼は仕事において、決して多才なタイプではなかった。しかし、一度直面した失敗や課題を分析し、次にはマニュアルとして昇華させる、いわば「努力型の天才」だった。今ではいかなるトラブルも先回りして最短ルートで片付け、残業なしで帰宅するのが当たり前になっている。

「……三十か。仕事は順調。生活も安定。結婚もしたし離婚も経験したし、この先の人生を何を目標にしたらいいのか……。子どもは育ててみたいけど、結婚に向くタイプじゃないし……」

ふと漏らした独り言が、広くも狭くもない部屋に溶けて消えた。人生のチェックリストを早々に埋めてしまったような、形容しがたい虚脱感がそこにはあった。


翌日。休日の昼下がり、今後のライフプランのヒントを探しに公園へ向かっていた。

今日の服装は、デザイン性よりも通気性と耐久性を重視した、大手スポーツブランドの機能性ウェアだ。ブランドロゴの主張よりも、素材の質を優先する彼らしい選択だった。一見地味だが、それなりに値の張る「勝負服」ならぬ「効率服」である。

そんなトオルの足元で、不意に視界が歪んだ。

「おっと……?」

マンホールの蓋が消失したのか、あるいは空間そのものが欠落したのか。

普通の人間ならパニックに陥るところだが、トオルは違った。数々の理不尽なクレームや突発的なシステムトラブルを、持ち前の分析力と経験で「予測と対応」をしてきた彼は、落下の瞬間、無意識に最悪の事態を想定したリスク回避行動を取っていた。

空中で即座に顎を引き、衝撃を分散させるための丸まった姿勢を取る。それは運動神経というより、染み付いた「危機管理のアンテナ」が作動した結果だった。だが、落下した先はアスファルトではなく、瑞々しい緑が広がる未知の草原だった。


「……夢、にしては解像度が高すぎるな。空気が美味い」

立ち上がり、高機能素材のパンツに付いた草を払う。周囲にビルは見えず、見たこともない色彩の鳥が空を飛んでいる。

「状況から推測するに、これは昨今流行りの『異世界転移』という現象か。非科学的だが、現実にこれだけ五感が刺激されている以上、否定する方が非論理的だ。まずは水の確保と、現状把握だな」

冷静に分析するトオルの頭上に、突如として巨大な影が落ちた。

雲を割って現れたのは、全身を黄金の鱗で包んだ伝説の怪物――ドラゴンだった。

「なるほど。アポイントもなしに、随分と自分勝手な来客だな……。この世界でも名刺交換という文化はあるのだろうか」

トオルの呟きを無視し、ドラゴンは大きく顎を開いた。その喉奥で、太陽の核にも匹敵する超高温の魔力が凝縮される。どうやら、名刺代わりのプレゼントは「破壊」であるらしい。

「あ、これはまずいな」

直後、極大の火炎ブレスが放たれた。

「アツッ!! 熱い熱い熱い!! 死ぬ死ぬ死ぬ!!」

流石のトオルもこれには必死だ。本能のままに全速力で走り、近くの湖へと飛び込んだ。

水面に潜り、火が消えたのを確認してから顔を出す。

「……ふぅ。……ん? 熱くないな」

トオルは首を傾げた。あの大火力を至近距離で浴びたのだ。蒸発していてもおかしくないはずが、肌には火傷一つない。むしろ、長年蓄積していたデスクワークの疲労や、将来への閉塞感が一気に吹き飛んだような、不思議な開放感に満ち溢れている。

(テロップ:スキル【火竜の息吹】をラーニングしました)

だが、トオルにそのテロップは見えない。彼にあるのは、ただの実感だけだ。


「なるほど……転移の際に、どんな攻撃も受け付けない『鋼の肉体』を授かったというわけか。道理で熱くないはずだ」

ふと空を見上げると、一仕事を終えたと言わんばかりに、ドラゴンが優雅に翼を広げ、悠々と空の彼方へ飛び去っていくところだった。

「……帰るのか。随分と自由なやつだな」

それよりも深刻な事態があった。


「着ているものが……消えた」

信頼していた機能性ウェアも、最新のスニーカーも、跡形もなく焼き尽くされていた。湖面に映る自分は、三十代の標準的な体型から、二十代前半のような、しなやかで力強い「鋼の肉体」へと変貌している。

「鋼の肉体を得たのはいいが、これではただの不審者だ。社会的に終わっている」

トオルは溜息をつき、岸に上がった。そこには、ドラゴンが去る際に剥がれ落ちた大きな黄金の鱗が一枚転がっていた。

「……なんだこれ、鱗か。古い角質でも剥がれたのか? 」

彼は無造作にその黄金の鱗を拾い、急所を隠してみた。

その時だ。背後の茂みから、ガサリと微かな音がした。


「……ひっ、あ……。どうか、いきなり襲ってきませんように……」

怯えたような震え声と共に姿を現したのは、金髪の美女――エルナだった。彼女は軽銀の胸当てを身に着け、杖をぎゅっと握りしめているが、その膝は小刻みに震えている。

エルナの住むアシュレ村は、派手な娯楽も特別な産業もない単なる寂れた田舎だ。彼女は村を盛り上げる手がかりとして、伝説のドラゴンの住処を見つけ、ギルドの報奨金を得るために、死ぬほどの恐怖に耐えながら恐る恐る跡を追ってきたのだ。

そして、ようやく見つけた「現場」で彼女が目にしたのは、恐ろしいドラゴンではなく――

「えっ? ドラゴンは……? どこに……。えっ、ええええええ!? 全裸の……不審者!?」

エルナは杖を落としそうになりながら、真っ赤になって顔を覆った。

「落ち着いてほしい。合理的な理由があるんだ。着るものが、その、燃えてしまってね」

「そんなの見ればわかります! でも、なんでそんなに堂々と立ってるんですか!? それにその筋肉……刺激が強すぎますっ!」


エルナは指の間からじっとトオルを観察しつつ、混乱のあまり悲鳴に近い声を上げる。

「ああ、悪い。君、この辺りの住人か? 悪いが、何か身に着けられるものを譲ってくれないか。……お礼と言ってはなんだが、この鱗はどうだろうか」

トオルが差し出した鱗を見て、エルナの琥珀色の瞳が大きく見開かれた。

「……これ、もしかして『黄金竜ゴールド・ドラゴン』の鱗じゃない。冗談でしょ……? よく鑑定しなくても、これ一枚で家が一軒建つわよ!?」

「えっ、家一軒……?」

トオルは目を丸くした。予想外の「価値」に、元サラリーマンとしての交渉スイッチが入る。

「……なるほど。これがそんなに価値のあるものなら、少し条件を変更させてほしい。この鱗の対価として、着るもの以外に、温かい食事、それからこの世界の知識を教えてもらいたいんだ。右も左もわからなくてね」

エルナは腰を抜かしそうになりながらも、自分の村の現状を思い浮かべた。若者が減り、廃れていくばかりのアシュレ村。この鱗があれば、村の財政を立て直し、井戸や古い施設を整備できるかもしれない。

「……わかったわ。家一軒分以上の対価に、服と食事と知識……正直こちらが得をしすぎているわね。でも、頼み事をかなえるには条件があるわ」

「条件?」

「私の村に来ること。服と食事は用意してあげる。そしてあなたが遭遇したドラゴンの情報を詳しく教えること。これが条件よ。……名もなき旅人さん、これでいいかしら?」

「ああ、願ってもない条件だ。契約成立だな。名乗るのが遅くなってすまない。トオルだ」

トオルは満足げに頷き、手に持っていた鱗を名刺を渡すかのようにエルナに手渡した。

「……あ、ありがとう。私はエルナよ。責任を持って預かるわ……」

エルナが震える手で黄金の鱗を受け取った、その時である。

遮るもののなくなったトオルの「鋼の肉体」が、何物にも邪魔されず、太陽の光を浴びてエルナの目前に晒された。


「………………あ」

エルナの思考が数秒停止する。トオルは相変わらず、涼しげな顔で「さて、まずは服を用意してもらいに行くか」と歩き出そうとしている。

黄金竜の鱗——確かにそれは家が一軒建つほどの至宝だ。しかし、いま彼女の網膜に焼き付いているのは、その輝きではなかった。

鍛え抜かれた腹筋のさらに下、二十代前半かのような瑞々しさと凄みが同居する、トオル自身の「ドラゴン」。その圧倒的な存在感が、彼女の純潔な脳内を埋め尽くしていく。

「い、いやぁぁぁああああ!! 何見せてるのよこの変態!! 隠して! さっきの鱗でも何でもいいから今すぐ隠してぇぇぇ!!」

静かだった湖のほとりに、少女の悲鳴がこだました。トオルの巨竜のせいで、もはや彼女の頭の中には、黄金竜調査のことなど一欠片も残っていなかった。


こうして、一歩ずつ成長してきた努力型の元サラリーマンと、村の再建に必死なたくましい村娘の、奇妙な関係が始まった。

トオルは、自分が「敵のスキルを覚える青魔導士」であることに気づかず、鋼の肉体をもつ【戦士】の職業を得たと解釈していた。


第1話をお読みいただきありがとうございました!


実は本作、結末までのプロットを元に生成AIと壁打ちしながら執筆しております。

AI分析に「エンディング構成修正後の最終評価は95点」という、胃に穴が空きそうなプレッシャー(ノルマ)を課されてしまいました……。


もちろん完全AI生成ではなく、あくまで執筆の補助として活用していますが、AIが私の思惑とは違う方向に暴走することも多く、日々悪戦苦闘しながら筆を執っています。


そんな作者の奮闘も含め、もし少しでも「続きが気になる!」「トオル、早く服着ろw」と思っていただけましたら、


・下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援

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いただけますと幸いです。

(面白かったら★5、トオルの全裸に笑ったら★3、続きが気になったら★1でも嬉しいです!)


皆様の評価プロテインひとつで、私の執筆エネルギーが劇的に回復します!

引き続き、よろしくお願いいたします!!

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