グリンティアからの旅立ち
ラオトとウィンディが旅立つ決心をした時、ふと、ラオトが気になった様子で二人に質問をした
「旅立つのは良いんだが、いくら手薄とはいえ俺達二人で魔王城へ行けるもんなのか?」
それを聞いたウィンディは顔をしかめた
「うーん、私の風属性とラオトの土属性だけじゃあ確かに厳しいかもね、せめてあと3人、他の属性のアタッカーと草属性か光属性のヒーラー、それと遠出になるから私達専属のケンタウロス族が欲しいわね」
「以外と多いな」
「そうね、獣人達と魔王が戦争を始めたせいで、仲間を集めやすいギルドの町も出入り出来なくなっちゃちゃったし、、、」
「何で戦争で出入り出来なくなるんだ?」
政治関係に詳しいトラウムが満を持して話し始めた
「魔王軍の中には擬態や変装が得意な魔人達がいる、ギルドの街スクアドラは獣人同盟に兵を大量に貸しており魔王からヘイトを買っている、それにスクアドラは兵を貸したせいで普段より手薄になっているからな、そんな中、魔王軍に街の中に侵入されたら大変な事になる」
「なるほど、けど魔王軍かどうかを調べて、魔王軍じゃ無かったら入れるとかじゃダメなのか?」
「ラオト君、君の意見はもっともだ、しかし、残念ながらそれは出来ない」
「え、何でだ?」
「確かにグリンティアならそれでも良いだろう、しかし、スクアドラの1日の出入りする人数はこの町の比にならないほど多い、そんな莫大な人数を一人一人検査するくらいならいっそ、全員出入りを出来ないようにしてしまった方が時間と労力の削減になるという訳だ」
「うーん、なるほどなぁ」
「やはり君達はそこで躓くと思っていたよ」
それを聞いた二人は困惑した
「え?どういう事?」
「君達はスクアドラへ行きたいかい?」
それを聞いた二人は顔を合わせ答えた
「魔王城へ行く為にも、スクアドラへ行って仲間を集めたいです!」
「そうか、よく分かった、少し待っていてくれ」
そう言い、トラウムは食堂を出て行った、またしても食堂には二人が残された
「行っちゃった」
「トラウムさん、スクアドラへ行きたいか聞いてきて、何かしてくれるのかなぁ」
「というか、何でトラウムさんは俺達を冒険に行かせようとしているんだ?」
「うーん、私が優秀だからとか?」
「、、、」
「冗談だって、そういえばトラウムさん、過去に魔王軍に家族を殺されて、魔王の事を凄い恨んでいるって言う噂があるけど、、、」
「じゃあトラウムさんは俺達に魔王を討伐させようとしているのか?でも何で俺達なんだ?」
「うーん、やっぱり私がいるから、、」
ラオトの視線に気づいたウィンディは最後まで喋れなかった、それから少し時間が経ってトラウムが一枚の紙を持って食堂に帰って来た
「二人にこれをあげよう」
そう言い、持っていた紙をテーブルの上に広げた
「これって、、、」
「スクアドラへの入場の推薦状だよ」
「推薦状、、、、、推薦状!?」
二人は驚きのあまり、椅子から転げ落ちそうになった
「推薦状、良いんですか!」
ウィンディが目を輝かせて言う
「ああ、もちろんだ、これを門番に見せればスクアドラへ入れるだろう」
「やったねラオト!これで仲間問題もほぼ解決だね」
「ああそうだな!」
「それと、もう一つ」
「まだ何かあるのか?」
「あぁ、ウィンディ君は専属のケンタウロス族が欲しいと言っていたね」
「はい、そうですけど、もしかして、、、」
「あぁ、誠に勝手ながら、この町で最も優秀なケンタウロス一名を君達の専属用に手配しておいた」
あまりの用意周到さに二人は喜びを超えて驚いていた
「トラウムさん、すげぇな」
「これでも一つの町のトップだからね、その権限を未来ある若者達に有効活用しただけの事だ」
「やったねラオト!これで出発出来る!」
「あぁそうだな!」
二人は一番の問題が解決し深く安堵した、その後、運ばれてきたお待ちかねの食事を二人はペロリと食べた
「よし、食事も食べ終わった事だし、さっそく出発するか」
「え、もう出発するの?」
「あぁ、十災魔神達がいない今がチャンスなんだ、十災魔神がいつ戻ってくるかわからない以上、早く動いた方が良いだろ」
「それもそうね」
「2人とも、出発するのかい?」
「あぁ、そのつもりだ、目的地はギルドの街スクアドラ」
「スクアドラへ行くなら西門から出ましょう」
「分かった、専属のケンタウロスを西門へ待機させよう、君達は先に行って待っていてくれ」
「ああ、分かった」
2人は町の中心の大木を出て西門付近でケンタウロスを待った、しばらくすると服は違うが見慣れた顔のケンタウロスがこちらへ歩いてきた
「なんだ、お前らだったのか、町長の旦那一推しの冒険者っていうのは」
「ホルス!!」
「お、何だ、俺の名前を覚えておいてくれたのか」
「当たり前だろ、まさか優秀なケンタウロスがホルスの事だったとはな」
「それはこっちのセリフだ、誰かの専属になって旅をするなんて面倒くさいと思っていたが、お前達なら話は別だな」
「一応会ったことはあるけど、初めましてホルス、私はウィンディ、これからよろしくね」
「おう、嬢ちゃんもよろしくな」
3人が挨拶をしている所にトラウムがやってきた
「どうやら、あなた達は知り合いだったようですね」
「あぁまあな、俺達の仲間にホルスを選んでくれてありがとうな、トラウムさん」
「いえいえ、礼には及びません、この町にいるケンタウロス族の中で、最も優秀な方を選んだだけです」
いよいよ準備が整った3人は、トラウムに礼を言い、兵士とトラウムに見送られながらこの町を後にした
3人が見えなくなった頃、トラウムに側近の1人が声をかけた
「トラウム様」
「あぁ分かっている、会議の続きだろう」
「それもありますが、何故あの者達をあれ程までに優遇するのですか?ウィンディ様はともかく、ラオト様など出身も分からぬような危険人物ではありませんか、それなのにこの町代々伝わる杖と装備まであげてしまうなんて」
「確かにラオト君の出身は不明だ、しかし、私はだからこそ彼らに手厚い支援をすると決めたのだ」
「それは、何故ですか」
「、、、君は、あのおとぎ話を知っているかね」
「はい、この町に伝わるあのおとぎ話ですね」
「ああ、そのおとぎ話の主人公は誰だ」
「出身不明の土属性の魔法使い、、、」
「そうだ、まさにラオト君そのものではないか!」
「、、、しかし、あれはあくまでおとぎ話、現実とは関係のない話です」
「確かにそう言われている、しかし、その話が書かれた書物が出てきたのは、とある預言者の家だったではないか」
「その預言者の預言は当てにならなかったそうじゃないですか、それに、もし彼がおとぎ話通りに魔王を倒したら、、、」
「ああ、分かっている、そのおとぎ話は本当の預言だった事になる、しかしそれが分かった以上、その後の結末が起こらないように私達がいくらでも変えることが出来るだろう」
「そうですか、、、」
「話はここまでだ、会議に戻らなくては」
「はい、それでは行きましょう」
そう言い、トラウムと側近は町の中心の大木へ戻って行った
ホルス
好きな物、肉 戦闘
嫌いな物、野菜 沼地
職業、ガデニダリアの職員 冒険者
得意な属性、火
力が強く、非常に高いスタミナを持つケンタウロス族の中でも特に優秀なケンタウロス、普段はガデニダリアの職員として小遣い稼ぎをしているが、本当は戦闘の方が得意。昔、ケンタウロス族の傭兵に誘われていたが、縛られたく無いという理由で入らなかった。背中に背負った大槍を使い、大勢の敵を薙ぎ払う攻撃などが出来るが味方ごと巻き込んでしまう為、滅多に使わない




