鍛治の町 ヴェルンド
スティアがちゃんと魔法を覚えてからの旅路は、今まででは考えられないほどに快適になっていた、いや、これが本来の旅の快適さなのかもしれないが、それ以前の旅路があまりにも酷かった為、ラオト達は余計に快適に思えた
「スティア、頼む」
「任せて!」
スティア自身も、いままで覚えてこなかった最新の魔法の便利さを知り、むしろ自分から使いたがるようになった。
旅路の快適さゆえか、五人の進む速度はどんどん上がっていき、道中にある難所も、スティアの覚えた魔法、そして皆の連携のおかげで突破することができた。そうして五人は、到着予定を大幅に過ぎてしまったが、無事にキオンの城攻略における拠点となるドワーフの町、ヴェルンドへ辿り着いた
ドワーフの町ヴェルンドは、この世界でも有数の鍛冶町であり、プリズン山脈で採られた金属を使い、この町独自の製造方法により作られた防具や武器は非常に高品質と有名、しかしあまりの立地の悪さにより、ヴェルンドの防具や武器は、他の国や街にはほとんど流通していない。しかし、その立地の悪さを加味しても、この町の防具や武器の性能は非常に人気で、高額の運送費を支払ってでも、わざわざこの町から防具や武器を仕入れる街もある程。また、立地の悪さ以外にも流通しない理由があり、それは、この町の近くにキオンの城がある為、物資を運ぶガデニダリアの者達が
魔王軍や魔人達に襲われてしまうからだ。実際、ラオト達はこの町に来るまでに、既に何回も魔人と遭遇していた
「ようやく着いたな、ここがヴェルンドか」
5人は早速町へ入る為に、ヴェルンドの町の正門の前へやってきた、そこには、クラトの着ていた鎧によく似た鎧を着用した、ドワーフの兵士が立っており、5人に気づくとすぐさまこちらに近寄ってきた
「アンタら冒険者か?ここまでが苦労なこった」
ドワーフの兵士は、およそ130センチほどのずんぐりむっくりな体型であったが、その代わりに、たくましい腕や脚をしており、背中にはホルスの槍と同じ程の大きさの剣を携えていた
「あぁ、この町に入れて欲しいんだが、、、」
ラオトは門番に、ザックリとした要件を伝えた
「なんと、キオンの城を落としに来たのか!」
「あぁ、そのためにこの町に滞在したいんだが」
「そうかそうか、分かった、中へ入れてやろう」
ドワーフの門番は、鉄でできた大きな門をたった一人で開けてしまった
「ささ、入った入った、城制圧頑張ってくれよ」
「おぅ、それじゃあ」
ラオトら5人は無事にヴェルンドへ入ることができた
ヴェルンドの町は、いままで訪れた他の街に比べ、遥かに工業化されていた、道の真ん中には線路が通っており、ドワーフと鉱石を乗せたトロッコが走っていた。また建物も特徴的で、ほぼ全ての建物や道が黒い石で作られており、屋根の上にある煙突から黒い煙が上がっていた。そのせいか、町の中は常に薄暗く、焦げた匂いがしていた。また至る所でトロッコの走る音や鉄を打つ音が響いており、その音は町の外まで聞こえるほどだった
「やっとヴェルンドに着いたね」
「凄いな、町一面真っ黒だ」
ラオトは、その特徴的な町並みに釘付けになっていた。しかし、他の四人、特にアレスは、街を走るトロッコに釘付けになっていた
「あれが噂で聞くトロッコだね、凄い速い!」
「あぁ、あの乗り物は、この町の一番の特徴だからな」
「私も乗れないかなぁ」
「、、、我も乗ってみたいな」
「へぇー、アンタ、意外とお子ちゃまなのね」
「なんだと!我はただ、あの乗り物に興味があるだけだ、堕天使のように遊ぶためではない!」
「二人はトロッコに乗りたいの?」
「うん、なんだか楽しそうだし」
「我はトロッコの構造が気になってな」
「そっか、それじゃあせっかくだし、トロッコに乗せてもらえる所がないか、聞きに行こっか」
それを聞いた二人は、まるで子供のように大はしゃぎした
「本当に?やったー!」
「、、、感謝する」
「それじゃあ行こっか」
こうして5人は、少しこの町で寄り道する事にした
鍛治の町 ヴェルンド
プリズン山脈の高所にある鍛冶が有名なドワーフの町。
プリズン山脈で採れる特殊な金属を、この町に伝わる特殊な加工法で加工し作られる防具や武器は、非常に頑丈で壊れにくく、他の街や冒険者からの人気も高い。
この町の道の真ん中には線路が敷かれており、その上を様々なものを積んだトロッコが走っている。このトロッコはこの町の一番の特徴で、この町でのみ作られており、他の町には普及していない




