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科学の知識で異世界旅  作者: 察知
プリズン山

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38/54

やればできる

目覚めの悪い朝を迎えたアレスは、さっそくスティアへ謝るためにスティアの部屋へ向かった

「堕天使よ、起きているか?」

「、、、」

アレスはドアを数回ノックしスティアを呼んだが、返事は返ってこなかった

「話したいことがあるのだ」

「、、、」

アレスが再度呼びかけるも、やはり返事は返ってこなかった

「、、、今はダメか」

どれだけ呼びかけても反応しないスティアに、アレスは今は諦める事にした、一旦自分の部屋に戻り、用意を済ませ、集合時刻になったら他の四人と宿のエントランスで集合した、その際にスティアの顔を見たが、いつもと違い顔に元気さが無かった

「(やはり昨日の事を引きずっているのか?)」

アレスは少し心配しながらも、他の3人が離れ、スティアと二人で話せる機会を待つ事にした、ラオトが宿泊代の支払いを終え、5人は宿を後にした

「なぁスティア、何だか元気が無いみたいだけど、どうしたんだ?」

「何でも無いよ、はは」

スティアは、いつものスティアらしく無い、乾いた笑いをした

「何かあるならちゃんと言えよ、スティアが具合悪くでもなったら大変だからな」

「大丈夫、天使は具合悪くなったりしないから、、」

今日のスティアの声には、いつものような憎たらしいほどの明るさはなく、どんよりとした低い声になっていた

「本当に大丈夫?もしあれなら、今日はもう一度この宿に泊まっていっても良いけど」

「ダメ!」

スティアはウィンディの提案に強く反対した

「私は大丈夫だから、先に進むよ」

そう言うと、スティアは一人で先に行ってしまった

「本当に大丈夫か?あんなスティア見た事ないけど」

「うーん、まぁ本人が大丈夫って言うなら、ひとまず大丈夫なのかも」

「まぁ、この先スティアに異変があったら一旦旅は中止だな」

「、、、」

アレスは自分のせいでスティアがおかしくなってしまったと思い強く焦った、その様子を見たラオトがアレスに話しかけた

「アレス、どうしたんだ?」

「、、、何でもない」

「、、、そうか」

明らかにいつも通りではないアレスだったが、理由を聞き出せそうでも無かった為、ラオトは一旦アレスを観察する事にした


今日の旅路は障害物などがほとんど無く斜面も緩やかだった為、スティアが魔法を使う出番は来なかった、3人はその事に少し安心しつつも、いつもと様子が違う二人を心配していた

「、、、」

「、、、」

今日のスティアとアレスは、いつものように言い争いをしたり、ケチを付け合ったりせずに、ただただ無言で歩き続けていた、その為今日のラオトのパーティーはこれまでに無いほど静かだった、その気まずい空気を変える為に、ラオトはアレスに話しかけた

「なぁアレス」

「何だ」

「ここって凄い良い景色だよな」

「そうだな」

「アレスって他にもこういう絶景を見たりしてきたのか?」

「絶景か、勿論あるぞ、例えばだな、、、」

アレスはラオトと話し、少しだけ気分が落ち着いた

「へぇ、そんな所があるんだな」

「あぁ、いつか我らもそこへ行く事になるかもしれないな」

「そうだな、その時が楽しみだ」

それから少し経った頃、目の前には大きな崖が広がっていた

「かなり高いな」

「そうだね、他に道もないし、、、」

その時、スティアが3人の前に立ち、魔法をかける体勢に入った

「スティア、大丈夫なのか?具合悪いなら無理するなよ」

「そうだよ、スティアは休んでて、今回はアレスに任せるから」

3人はスティアの具合を考え、そして少しスティアの魔法を恐れる気持ちも込めて、スティアを止めようとした、しかしスティアは三人の静止を振り切り、無理やり3人に魔法をかけた

「、、、ジャンプしてみて」

スティアは俯きながら3人へ呟いた、スティアは3人を急かし、どうにか飛ばせたい様子だった

「あ、あぁ分かったよ」

ラオトは必死なスティアを見て、一度飛んでみる事にした、ラオトは崖の前に立ち、目をつぶってジャンプした、すると、いつも通り体は物凄い空気抵抗を受け、自分の体が高くへ飛んでいると実感した、しかしいつもはもっと長い時間飛んでいるはずなのに、今回は一瞬で地面に足がついた

「あれ?」

ラオトが目を開けると、そこは既に崖の上だった

「え?ここは、、、」

ラオトが崖の下を覗くと、下にはちゃんと4人が残っており、ちゃんと先ほどの崖の上に辿り着いていた

「え!?ラオトが飛んでいっていない!」

「スゲェな、それじゃあ俺も」

ラオトに続き、ホルスとウィンディもジャンプした、すると、ラオトと同じく、どこかに吹っ飛ぶこともなく、無事に崖上に辿り着けた、その後スティアとアレスも空を飛び、3人と合流した

「スティア!どういうことだ!?」

ラオトがスティアへ尋ねると、スティアは待ってたと言わんばかりに決めポーズをとり、アレスを見下しながら、先ほどのテンションからは考えられないほどの、大きく明るいいつものスティアの声で高笑いをした

「フフ、フッフッフッ、ハーッハッハッハ!!!どうよ!!これが私の本気よ!!私が本気を出せば、あんな魔法なんて、たった一夜で覚えられるんだから!!アンタに頼るなんて、絶っっっ対にしない!!」

スティアはそう言うと、高笑いをしながら先へ進んでいった、そしてその後を三人がついて行き、アレスが一人残された時、アレスはボソッと独り言をこぼした

「、、、やればできるではないか」

アレスは少しスティアを見直し、遅れをとるまいと、四人の後についていった














登山用の便利魔法セット


獣人の国でクラトに渡された紙には、登山する際に重宝される便利魔法、十数個の使い方や唱え方、注意事項が書かれており、この紙に書かれた魔法を使えば、プリズン山脈やその他の山の登山も非常に楽になる。しかしその代わりに、書かれている魔法一つ一つに対する説明や覚え方が複雑で、全てを覚えるにはかなり時間がかかる。アレスは書かれている全ての魔法を習得できたが、凄まじい魔力を持つアレスでも、全部習得するのには数日かかった。




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