焦り
プリズン山脈に入ってからは、スティアのせいで今までとは比べ物にならないほど大変な旅路だった
「助けて!」
「堕天使!早く止めるのだ!」
「言われなくても分かってるよ!」
急な岩場を登る為に、足の裏に強い粘着性のある液体を出した時は、液体を出しすぎたせいでラオトが岩にうつ伏せでくっついてしまったり、、、
「くっ苦しい、、、」
「堕天使!やり過ぎだ!」
「えぇ!?」
標高が高くなり、薄くなり始めた空気に耐える為に、3人の顔に空気の膜を作った時は、空気をぎゅうぎゅうに押し込んで入れたせいで、かえって苦しくなってしまったり、、、
「うおぉぉぉぉぉ!!」
「、、、堕天使」
「、、、」
高い崖を登る為に3人にジャンプ力が上がる魔法をかけた時は、元々跳躍力が高かったホルスが、魔法により更に跳躍力が上がり、ただジャンプしただけで空の彼方へ飛んでいってしまったり、、、
その他にも数々の場面でスティアの魔法によるハプニングが起こり、到着予定の日が過ぎたのにも関わらず、5人は未だにプリズン山脈の中腹にもたどり着いていなかった、そしてその事に焦ったスティアは、 渋々補助魔法をアレスに使ってもらうようにお願いした
「えーっとアレス君、ちょっとお願いがあるんだけど」
スティアは今までのアレスに対する口調や態度とは正反対の、幼気な少女のような優しい口調と、今にも泣き出しそうなほど目をうるうるさせ、アレスに話しかけた
「堕天使どうしたのだ、随分と気持ち悪いぞ」
「(カッチーン)」
自身の渾身の眼差しを気持ち悪いと一蹴されてしまったスティアは、本来の目的を忘れ、怒りマックスでアレスへ怒鳴り始めた
「はぁ!?今のは私みたいに美しいレディが相手に頼み事をしてあげる時のお誘いなんですけど!それを気持ち悪いって、アンタ本当に最低!!信じられないんですけど!!」
「私みたいに美しいレディだと?確かに見た目こそ良いかもしれないが、本当に美しい者は性格も美しいものだ、それに美しいレディがそんな頼み方をするとは聞いた事が無いぞ、それより我に頼み事か、何だ?」
スティアはようやく本来の要件を思い出したが、今のスティアはそれどころでは無かった
「フン、アンタみたいな奴に頼もうとした私がバカだったわ」
スティアは怒りのあまり、今にもアレスを攻撃しそうになっていたが、その心を抑え、自分の部屋に帰って行った、そしてアレスの部屋には静寂が戻ってきた
「、、、」
スティアが出て行った後、アレスは先ほどの会話を少し振り返り、流石に言い過ぎてしまったと後悔した
「あの堕天使に謝るのは癪だが、今回ばかりは仕方がない、これ以上あの堕天使と関係が悪くなったら今後の旅にも影響が出てしまう、、、」
アレスは明日の朝スティアに謝る事を決意し、ひとまず今日は寝る事にした、しかしスティアの事を考えていたせいか、あまり心地の良い睡眠はできなかった
スティアの使う魔法
スティアが使う代替魔法は、実は代替品の別物魔法ではなく、スティアがまだ生きていた1000年ほど前の魔法を
使っている。1000年前はまだ魔法の研究などが進んでおらず、今の時代にあるような便利な魔法はほとんど無かった。あったとしても自動で調整などはしてくれず、自分で魔法の強弱を調整しなくてはいけなかった。スティアは天使になった後、便利魔法を全く練習しておらず、最新魔法なども覚えなかった為、スティアの使う便利魔法はあまり当てにしないほうがいい




