怠惰
クレフとアルマと別れてから数日、辺りの景色が段々と変わり始めていた、獣人の国付近のような砂と岩ばかりではなく、少しづつ緑が増え始め、あたりの地形も複雑な上り坂になってきた、また標高が高くなったせいか、段々と気温も下がり始めていた
「うぅ、寒くなってきたな」
「そうだね、そろそろ使おっか」
ウィンディは寒さで声が震えながらも、実体がない為寒さを感じていない様子のスティアへお願いした
「スティア、防寒魔法を使ってくれない?」
それを聞いたスティアは何のことかわかっていないのか、キョトンとしていた
「防寒魔法?」
「そう、クラトさんに渡された紙に書いてなかった?」
「、、、あ〜防寒魔法ね!勿論覚えてるよ」
実はスティアは、魔法を覚えるのをめんどくさがり、獣人の国を出てから今まで、一つも紙に書かれた魔法を覚えていなかった、急にウィンディに魔法を要求されたスティアは、魔法を覚えていない事を誤魔化し、急いで他の代替魔法を探した
「堕天使よ、あれだけクラトに忠告されていたのに、まさか魔法を覚えていなかったのか?」
図星を突かれたスティアは、他の誰が見ても分かるほど動揺していた
「そそそそんな訳ないでしょ!ちゃんと魔法は使えるんだから!」
「そうか、それなら早く3人に使ってやると良い、このままではまともに進めなくなってしまうぞ」
「分かってるよ!」
アレスに急かされたスティアは、急いで思いついた魔法を3人へかけた
「、、、どう?」
スティアは恐る恐る3人へ感想を聞いた
「おぉ!体があったかくなってきたぞ!」
「本当に?」
スティアが安心したのも束の間、すぐに3人に異常が起こり始めた
「あれ?あったかいというより、熱くなって、、、」
「え?」
3人はどんどんと熱くなっていく体に戸惑いを隠せなかった、そして遂に居ても立っても居られない程の高温になった
「ちょっと熱すぎないか!!」
「スティア!魔法を止めて!!」
スティアは急いで魔法を解除すると、3人は地面に倒れ込んだ
「ふぅ〜助かった」
「あぁ〜、地面が冷たくて気持ち良い〜」
「この冷たい空気も、今じゃご褒美だな」
3人は、熱い体を全身を使って冷やした、ラオトはその感覚が、少し懐かしく感じた
「はぁ、正直に言ったらどうだ、魔法を覚えていなかったのだろう」
「そそほそんな事ないよ!今のは加減を間違えちゃっただけだし!」
「、、、もう良い、ホルスよ、あの紙はあるか?」
「あぁ、ほらよ」
ホルスはアレスにクラトから貰った紙を渡した、紙をもらったアレスは顔の前に紙を浮かせ、その内容をじっくりと読んだ
「何してるのよ」
「堕天使だけでは心配だからな、我もこの魔法を覚えておこう」
「はぁ!?私だけで十分でしょ!」
「念の為にな」
「、、、勝手にすれば」
スティアは、表面上はいつも通りアレスと張り合っていたが、心の中では少し安心していた
「それはそうと、堕天使はちゃんと魔法を覚えたのだろう」
「何回もそうって言ってるでしょ!」
「そうか、なら我は本当にどうしようもない時まで、堕天使に任せるとしよう」
「え?」
スティアはすぐに気がついた、いつも見せ場を掻っ攫っていくアレスが、今回ばかりはスティアに活躍を譲った理由、それは単なる優しさではなく、スティアが魔法を使えない事を分かっており、スティアに恥をかかせようとしているのだと、その意図に気がついたスティアは、アルスの方をじっと睨んだ
「どうした、なぜ睨む?堕天使はちゃんと魔法が使えるのだろう」
アレスはスティアを嘲笑うように、小馬鹿にした喋り方で、スティアを煽った
「、、、」
スティアは最大のピンチを迎えていた、このまま代替魔法を使い続ければ旅にとても時間がかかってしまう、かといってアレスに頼るのはもっと嫌だった、しょうがなくスティアは前者を選んだ
「、、、良いわ、アンタの出番なんて絶対に作らせないんだから!」
スティアは大きな声でアレスを威圧した
「そうかそうか、期待しているぞ」
アレスは不敵な笑みを浮かべながら道を進んでいった、そしてそれに負けじとスティアも走り出した、その二人を見ていた3人は、これからの旅がとても不安だった
「、、、俺たち大丈夫かな」
「、、、無事に帰れると良いな」




