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風紀俱楽部 二股疑惑事件   作者: ふもと かかし
ゴリラ赤面咆哮事件
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第一話 こんな主役の自己紹介

 3月19日の土曜日。

 授業は午前中のみで、しかも4時限目はLHRである。今日は特に話し合う事柄も無く、1年6組の担任を務めている曽我先生がこの1年間の総評を話し、残りの時間はクラス委員が引き継いでお別れ会の日時や内容を話し合っていた。


「もう! ヤマト、今はロングホームルームの時間ですよ! 何を机の上に広げているのですか」

「お弁当ですよ」

 全体的に薄い化粧の割に濃い口紅を引いた口で、溜息混じりに声を掛けて来たのは曽我先生だった。その質問に対して僕はありのままを答えた。

「見れば分かります。何故お弁当を食べようとしているかを聞いているのです」

「じゃあ、最初からそう言って下さいよ。何故ですか……そうですね。部活前のグラウンド整備が1年生の仕事だからです」

 曽我先生のこめかみが一瞬ピクリと動いた気がした。

「私の記憶が正しければ、クニイとノウヤも野球部でしたね」

「そうですよ」


 国井(くにい)大輔(だいすけ)は真面目で優等生タイプだ。その分、若干融通が効かない所は有るがとても良い奴である。ポジションはキャッチャーをやっていて、1年生の纏め役といった所だ。

 納谷(のうや)(いさむ)は明るく社交的でモテる。部活内ではチャラ男と扱われるが、所詮野球部であり根は真面目なのである。ポジションは僕と同じピッチャーであり、2年生にピッチャーの居ない我が部では3年生が引退してからは先発の柱の一人なのだ。そして大事な事なのでもう一度言うが、モテるのだ。


「それでは、貴方だけが早くお弁当を食べなければいけない理由にはならないわよね。しかも授業中に」

「えー、でもLHRってホームルームみたいな物じゃないですか」

 そうなのだ。曽我先生は午前授業の時に帰りのホームルーム中に弁当を食べる事は許してくれているのだった。

 ただ、それも僕がこの一年間貫き通したからであって、最初はしこたま怒られたものだった。今では良い思い出だけれども。

「もう! それでも授業中はダメです。本来ならホームルーム中もダメなのだからね。それ位は守りなさい」

「はぁ、分かりました。確かにこれはやり過ぎでした、済みません」

 曽我先生の目がマジだったので、これ以上続けるとヤバい事になると思い素直に引いてお弁当をしまったのだった。


〜〜〜

「全く、俺達を巻き込まないでくれよ」

「大体、早弁しなくたって、グラセン(グラウンド整備)迄は充分に時間があるじゃないか」

「ソガちゃんともう少しでお別れだから、行けるとこまで行こうと思って」

 部室の前で練習着に着替えながら、先程の僕の行動を国井と納谷が非難して来たので反論した。

 まあ彼等の言う通り、帰りのホームルームを考えても12時50分頃には終わり練習開始は14時なのだから、グラセンを15分やると考えても50分以上時間は有る。

 それに、先輩方は昼食を近所の飯屋等に食べに行ってしまうので、時間ギリギリまでやって来ない。だから邪魔されずに丸々自由に使えるので、お昼の時間は充分なのである。


 ただし、部室の鍵をキャプテンが管理している都合上、1年生は教室で昼飯を済ませてそこで着替えるか部室の前で着替えるかの2択を強いられる事になる。


 僕らは少数派である後者なのであった。

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