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それは流れる夏の模様の様々

作者: 宮沢いずみ


かんかんと照り付ける日は白く、

空はどこまでも青々と、


昇る、昇る、


風は停滞するように、しかし夏を包み、密かに舞う。


ほこりなど、微塵も無く、

あるのは、青く透明な、空気の、ゆき場。


夏草の匂いが、わたしに夏を感じさせ、

白い日は、わたしを見て、無表情に笑う。


全てが、昇る。

青と、白に、昇る。


蒸発するようなアスファルトに溶け込む人間はもはや、夏を「夏」という文字でしか知らぬ。


夏はただの循環であり、空が夜になりまた朝になるように、夏は「夏」という文字が無くとも、

全てが夏に染まる。



夏は高濃度だ。


突き上げようと、土は必死だ。

全てが濃く、

ただ淡いのは、夜の発光。


指先が吸うものは、微かな発光よりも、緑濃き草の先端。


部屋で見るテレビの天気図には「高」の文字。

青に囲まれた「高」は、いったい何を持ってくるの。


腕は「高」をしっかりと吸収し、布に纏われていない身体の部位は、どこに解放されるべきか。


どこにも。


わたしはどこにも解放したくないと云いながらも、全てを解放したいと望むのです。


夏は。

何に解放されて、わたしの前にやってきたの。


夏は。

昇りゆくために。


ああ、昇華され、白い日に、吸い寄せられ、放出され、


そしてまた、降り注ぐ。

ただの、流れ。


わたしはそれが、

一等好きです。



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