白き竜騎兵
第76話〜白き竜騎兵〜
あの事件以来、王国は帝国を警戒する一方で捜索隊の調査の結果は不慮の事故として処理された。
しかし自体は一変する。
それはリリィーの受け持つ、第四中隊が調査に向かっている最中であった。
「空気は正常、周囲に敵無し、海も良好......」
リリィーはミラージュによって映し出された調査結果を目にしていつも通りの巡回を終えていく。
今回は中隊全ての隊員が出ている訳ではなく、四人の小隊として巡回をしていた。
するとミラージュの索敵に引っかかる謎の反応を見つけるのだった。
「っ!! 小隊各員に告ぐ!! 敵性存在を感知しました。各員、戦闘態勢!!」
「「「了解っ!!!」」」
通信機による連携ですぐ様戦闘態勢へと陣形を変え、周囲を警戒する四人。
しかしレーダーによる適正存在は一つだが、一向に姿を表さなかった。
「ど、どこにいるっ!!」
そう仲間の一人が呟くが敵はまったく見えておらず、潮風の音だけが大きく聞こえていた。
そんな時だった。
「っ!!!! ぐああああああ!!」
「なっ!! 今助けっ、うああああああ!!」
「た、隊長っ!! ドレルたちの機体が急に海に引き込まれてっ、きゃあああああああ!!!!」
リリィーの目の前で突如海に引き寄せられていく三人。
リリィーは助けようと海に駆け寄るが、三人の声はなく、あるのは砂嵐のノイズだけであった。
「いっ、一体なにが......」
(リリィー様、上です!!避けてください!!)
突然のミラージュからの警告を聞いてすぐに体を捩り回避した。
先程まで飛んでいた場所には高度な重力魔法が飛んできており、海を割り海面を抉っていた。
「だっ、誰だ!!!」
そう叫ぶリリィーの元に現れたのは一機の白い竜騎兵であった。
「貴方が敵対者ですね! よくも私の仲間をっ」
「違う」
「い、今なんてっ......」
「違う違う違う違う違うっ!! こいつも黒騎士様じゃない!!」
そう叫ぶ白き竜騎兵は飛んでいるにも関わらず揺らいでおり、不安定な状態で飛行を行っていた。
「黒騎士? 分かりませんが貴方は何者ですか!」
「関係の無い奴は死んで! 」
白き竜騎兵が手をこちらに向けると先程の重力魔法による重力波が飛んできて、空気を割るだけでなく、空間そのものを歪ませていた。
「会話を拒否しますか。では仕方ありません。貴方にはヨグ様の為に焼きます。塵も残さぬように!!!」
リリィーによる高温度の炎により、ミラージュは外装を炎で固め、特殊な性質により温度を吸収した装甲はより強度を増した。
また手には剣をもした炎を作り、リーチなど存在しない無慈悲な狂気(凶器)が適正存在を威圧する。
「ヨグ......さ......ま? ひひっ、ひひひひ......見つけた。見つけた見つけた!! ヨグ、その名を知っているということはお前がヨグ・ランスロットの従者だな!!」
「っ!! ヨグ様に何かするつもり......ですか。お前は本当に救いようのないゴミクズですね!!! 念入りにその肌を焼いてあげましょう!!」
「ひひひ、ならやってみろ!!!」
そうして白き竜と赤き竜はぶつかり合うのだった。
竜騎兵同士の戦いは想像絶するものだ。
剣と剣がぶつかり合うだけの命の取り合いとは違い、空中での移動や機体の旋回であったりと操縦面、そして武器の練度が試されるため、本来であれば脳みそが二個あっても足りないだろう。
その点、リリィーは白き竜騎兵よりも技術面では劣るものの、魔力面では圧倒的な差を生み出しており、迂闊に近づけば一瞬の内に灰と化すだろう。
「ああもう! 鬱陶しいですね!!」
「いひひっ!!」
不気味な笑い声とともに上空へと飛んでいく白き竜騎兵。
リリィーは急いで追いかけようとするが、明らかなスピード差があった。
正直実力は五分五分で敵に背を見せるなど正気の沙汰では無い。
すると白き竜騎兵は一定の高さまで行くと、ピタッと動きを止めてリリィーもそれに伴い警戒を強めていた。
「な、何をするつもりですか。降参するなら今の内......」
「ひひっ、お前強いからこれで終わりにする!!」
「なっ!?」
そう言ってリリィーは急いで回避行動を取るが既に手遅れであった。
白き竜騎兵からは大きな魔法陣とともに重力波が発せられ、リリィーは羽を潰されてしまう。
飛行能力を失ったリリィーは羽をもがれた蝶のように、海面へと落ちていった。
「ひひっ、そのまま死んでいけ。これで従者は潰した! 後は......イヒヒっ!!」
白き竜騎兵は再び認識阻害を使い潜伏する。
目標が現れるその時まで。
ーーー
その日の夜。
胸騒ぎがして目が覚めた俺は被っていた布団から飛び起きた。
「リリィーッ!!!!」
起きたが周りは真っ暗で、リリィーの帰りを待つ間に寝てしまっていたらしい。
それよりもこの違和感は何なのだろうか。
かつて飛行船から叩き落とされた時のような虚無感と、不安の募る焦燥感が内面をぐちゃぐちゃにしていく。
それと同時に怒りすら覚える始末であった。
「リリィー......遅いな」
そう呟くが、リリィーが姿を現すことはなかった。
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