シスター
第18話〜シスター〜
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俺たちはマル・ペーケに学園まで案内をしてもらっていた。
今は透明な強化ガラスで作られたエレベーターに乗って、下へ下へと降りていた。
俺たちがいた場所は最上階だったこともあり、高所恐怖症の人であれば気絶するほどの高さはあったと思う。
それにしてもエレベーターに乗って五分は経っているが、一向に地面に着かなかった。
その間、俺は街の様子をガラス越しに見たりしていたが、なんとも異世界とは思えなかった。
むしろ古都の方が俺の知っている異世界らしいと言えば異世界らしかった。
そんなことを考えているとエレベーターの動きが止まり、ガラスの扉が開いた。
「さあ、着いたぞヨグ殿。ここから学園までの案内は彼女が教えてくれるからな」
そう彼が言うと同時に、目の前には一人の淑女が現れた。
「皆様、お待ちしておりました。私は学園の生徒であり、シスターのシニエスタと申します。皆様に竜の御加護があらんことを」
そのシニエスターと名乗った淑女は、きらびやかで艶のある長い黒髪で俺と同い年くらいの子だった。
また修道服風の制服を身にまとい、胸の辺りには学園のシンボルでもある竜のマークがついている。
「俺はヨグ・ランスロットでこっちが従者のリリィーだ。これからよろしく頼む」
「はい、よろしくお願いしますヨグさんとリリィーさん。それでは参りましょうか」
そう言って歩き出す彼女を追うように、俺たちも歩き出した。
「それではヨグ殿お元気で!」
「マルさん途中までの案内ありがとうございます! またどこかで会いましたらその時はご飯でも食べましょう!」
彼は律儀にもこちらに一礼し、手を振ってくれていた。
俺とリリィーも手を振り返し、彼との別れの挨拶となった。
王国の内側〜竜騎兵育成学園〜
俺とリリィーとシニエスタさんで王都の街を歩いていた。
街はガラス越しで見るよりも、実物は大きく、そして綺麗な建物が多く存在していた。
建物と言ってもマンションのような高層のものばかりで、どこか見慣れたような感覚に襲われた。
「ヨグさんは王都に来るのは初めてと伺っていましたが、意外と落ちつかれていますね」
「なんかもう見慣れ、じゃなくて、どれもすごすぎて圧巻されていただけですよ。それになにかあればリリィーを守らなきゃいけないので」
「ヨグ様...えへへっ」
俺がそう言うとリリィーは嬉しそうに擦り寄って来た。
なのでいつものように手を握ってやると、彼女は自分から恋人つなぎのように指を絡めてきた。
少し恥ずかしかったが我慢して歩き続けた。
するとその様子を見ていたシニエスタは少し驚いた表情をしていた。
「まあ! お二人はとても仲が良いのですね。少し羨ましく思います」
そう言った彼女だがその表情はどこか暗く、浮かないかない顔をしていた。
彼女にも辛い過去があるのかもしれないが、他人である俺が口を挟む訳にはいかなかった。
そうして歩くこと十五分...。
突如シニエスタさんは足を止めた。
彼女の向く方向には大きな門が立っており、その門には彼女の胸の紋章と同じものが大きく飾られていた。
どうやら学園に着いたようだった。
「ヨグさんここが学園です。それでは中に入りますので少々お待ちください」
彼女は門の横にある真っ黒な機械に向かって一枚のカードをかざした。
すると門が「ギギギ...」と音を立てながら開きはじめた。
そして門が開ききると奥が見えないほど遠くまで続く、学園の姿がそこにはあった。
学園の内側〜門〜
「それでは参りましょうヨグさん、リリィーさん」
彼女に続いて俺たちも学園の中に入っていく。
しかし夕方ということもあり、人気はなく、また話し声すらしない。
そして歩いていると奥の方に見えてきたのは二人の男女の姿だった。
一人は男性で魔術師のような灰色のローブを着ていた。
またもう一人は女性でスーツのような硬めの服と、メガネのようものを身につけ、手には紙とペンが握られていた。
「学園長、ヨグさんとリリィーさんをお連れしました」
そう彼女が言うと学園長という男はこちらを見てニヤリと笑った。
そして彼は笑顔のまま歓迎の言葉を述べた。
「ようこそ我が学園へ。私は学園長兼理事長のミラ・ジャカだよろしく。それで私の隣にいるのが秘書のセン・ミスカだ。それにしても二人ともよく来てくれたね。ああ、それからシニエスター君も案内ご苦労さま」
「案内も終わりましたし、それでは私は聖堂へと向かってよろしいですね学園長」
「また、お祈りかい? 今日くらいは疲れたと思うから休んだ方がいいと思うけど大丈夫?」
「いえ、私にできることはお祈りくらいですので。それでは皆様に竜の御加護があらんことを」
そう言って彼女は一礼し、どこかへと歩いて行ってしまった。
俺は今更だが感謝を伝えそびれたと後悔した。
また学園内であったらちゃんと伝えようと心に決める。
すると秘書のセンさんが今度は話し始めた。
「それではここからは私がご案内いたします。まずは学園内のご案内で...」
センさんが喋りながら学園内を一通り案内してくれるが、その内容は頭に入ってこなかった。
むしろ今の俺にとってはどうでも良かった。
それよりもシニエスタさんのあの顔が忘れられずにいた。
あの顔はリリィー同様、助けを必要としていた。
もちろん他人の俺が気にすることじゃないとわかっている。
しかし、俺はそのことが頭から離れずにいた。
学園の内側〜聖堂〜
「ああ、我が神よ。私は...私は...何故生まれたのでしょうか? 私は聖女にはなれない...」
そう彼女は祈りを捧げているが、彼女の前には神の姿はなかった。
彼女の信仰は皆が信じる神々ではなく、立ち昇る竜の石像に向けられていた。
辺りには静かな空間が広がっており、異常なまでに綺麗にされた壁や床、そして中央には大きく建てられた神々の石像。
その前には彼女以外の聖職者の生徒たちが祈りを捧げていた。
それは異様な光景であった。
聖堂内にいるほとんどの人間は中央石像へ膝を着き祈りを捧げているが、たった一人だけ、彼女だけは竜の石像へ祈りしていた。
そして彼女以外の聖職者の生徒たちは口々に彼女を馬鹿にしていた。
「おいおい見ろよ。あいつまたあんな石像に祈りを捧げてるぞ」
「やめておけ、彼女は我々王国信仰から見れば異端者だ。あんな者のことなど話せば我々も神々から見放されるぞ」
「それにしても気味が悪いわ。竜信仰なんて何千年も前のものよ。悪魔でも呼び出せるとか噂も存在するし」
「そうそう、うちもその噂聞いたよ。でもあれで学園の最優秀者なんでしょ?それなら信仰さえ変えれば聖女確定だったのにね」
そんな無慈悲な言葉を言い放つ聖職者の生徒たちには彼女の気持ちがわかるはずもなかった。
その言葉を毎度のように言われる彼女の心は崩壊寸前だった。
しかし、彼女は一人の恩人の言葉によってその崩壊が抑えられていた。
それは今も彼女を救い続けていた。
まだ彼女が幼く、孤児であった時に彼女を救った孤児園のシスターこそ彼女の恩人であり、竜信仰の一人だった。
そんなシスターは周りの評価など気にすることなく竜信仰を続け、どれだけ異端者や魔女と言われようが彼女の意志は崩れることはなかった。
しかし、孤児園のシスターは体が弱く、その命も長くはなかった。
「シスター...いえ、お義母さん。私は...耐え抜いてみせます。貴方の言った通り私を救ってくれる人、いつか現れる竜を待って...」
そう祈りを捧げ続ける一匹の姫竜は今も眠り続ける。
しかし近い未来、その眠りから覚ましてくれる者がくることを彼女はまだ知らない。
どうも皆さんこんにちはこんばんわ永久光です!
毎度のこと今週も更新の時がやってまいりました。
さてさてこんかいはどうだったでしょうか?
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続いて連絡なのですが7月の末に学期末試験がございますので二週間ほどですが更新ができませんので気ままに待っていただけると嬉しいです(*^^*)
そして8月は夏休みということもあるので無制限更新をするかも知れません。できるだけ毎日更新していこうと考えております。
最後に簡単な挨拶になってしまいますが評価とブックマークと感想を忘れずによろしくお願いしますm(_ _)m
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