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3/20

約束は叶わない

Side ??

王の二度目の結婚は大々的に国で祝福された。これで王の子供、いうなれば王子が生まれれば、この国は安泰だと言われていた。そんな祝福ムード漂う中、私はやけ酒をしていた。


「旦那様。」


「なんだ?」


「飲みすぎでございます。」


そう家令に言われても飲み足りなかった。家令は見かねて、ボトルを下げるように指示をした。メイドもそれに従い、そしてグラスに残ったウィスキーだけになる。


「だから、私は申したはずです。せめて、婚約の打診はするべきだと。」


「親友を喪ったばかりのエミリア嬢にその提案は出来なかった。」


ハッキリと言い切ったが、後の祭りだ。正直、自分の身分であれば潰せる縁談しか彼女には来ていなかった。しかし、よりにもよって。


「兄上と結婚か……。」


一種の嫌がらせなのではないかと思っていた。まあ、彼女への想いを面に出したことなどないはずだから、まず、それはあり得ないが……。

王である兄は次男である。長男であったアルの兄上が急死。父王は風邪をこじらせて亡くなり、追うように母上も亡くなった。その後の混乱の中、国を治めたのは次兄だった。正直、きな臭いとも思わなくはなかったが、それを口にすることなどなかった。


「祝福など、送れない。だが、表面上は取り繕う。初恋は、実らないものとは知っていたけどな……。」


そう言いながら残った酒を飲み干した。彼女が王妃になったのなら、国を守る剣とも、盾ともなろう。それが俺にできる彼女を守る方法なのだろう。


剣豪として名高い王弟殿下、エドワード・アダルハード・サンチェス。

銀の髪を持ち、アメジストの如き紫色の瞳を持つ彼は小さく溜息を吐いた。

8年後、彼は密かに思う彼女の為に戦に出ることとなるなど、この時、誰も知らなかった。




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