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公務員が異世界に転生したら、ただの役立たずでした  作者: M
18章:お買い物デート?

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 私とコロンは街の大通りまで出てきた。


「ここです。」


 大通りに面したそのお店には、店の外にも食料品や生活雑貨などが並んでいる。


「スーパー?」


 店の規模、品揃え、客の雰囲気、全てがスーパーマーケットそのままだった。

 夕食前の混雑が終わったせいか、お客はまばら。


「もう少しすると割引が始まって混みます。空いてる今のうちに買い物を済ませてしまいましょう。」


 間違いない、完全にスーパーだ。

 コロンに手を引かれ、お店に入る。


 入り口には大小様々な籐籠みたいなのが積み重ねてある。きっと買い物カゴだな。


 コロンが大きめのカゴの一つにペンダントのようなものをかざす。その瞬間、カゴの色が茶色から鮮やかな赤色に変わる。


「カゴをお願いします。」


 コロンからそのカゴを受け取ると、私は壊さないようそっと腕に掛けて持つ。

 仕組みはよく分からないが、魔法の買い物カゴなのだから、色が変わるのにも何か意味があるのだろう。


「大量に買うんですか?」


 大きなカゴ。ちょっとした買い物ではなさそうだ。


「そうですね。少し多めに買っておきます。こちらです。」


 コロンはそう言うと奥の方へと歩いていく。

 私は商品棚を横目に見ながら追いかける。


 入口近くには様々な野菜やフルーツが並ぶ棚。


 野菜も色んな形があるが、基本は緑。これは私たちの世界と変わらない。

 人参みたいなのがあった。きっとルピアが苦手なのはこの野菜だろう。


「あ、リンゴ。」


 リンゴやイチジクみたいに見たことのある果物。見たことのある食べ物があると少し安心する。

 ただし、私の世界では品種改良されているし、こちらのは少し味が違うのかもしれない。


「なんだろ、これ。」


 他にも、形はイチゴだけど黄色くてバカでかい実や、謎の紫色の真ん丸な実だとか、見てるだけで面白い。


 私が店の中をキョロキョロと見回していると、コロンが聞いてきた。


「こういうお店は初めてですか?」

「いや、元の世界にもこんな店はあったんですが、品揃えが全く違うので驚いてしまって。」


 やっぱり、旅行の醍醐味は、その土地の珍しい物を見たり食べたりだよ。

 折角の異世界転生なんだし、もっとこういう風にいろいろ見て回りたいなぁ。


「ひぃ!」


 子連れの親子が私に驚いて逃げていく。

 ごめん。


 やっぱり、見て回ると迷惑を掛けてしまいそうだ。もう少し、転生者のオーガの認知度が上がるまでは我慢が必要だな。


「ここです。」


 コロンは様々な色の瓶が並んでいる棚の前にやってきた。瓶の中には液体が入っているようだ。

 書いてある事が分からないから、何が入っているのか、おいくらなのかも全く分からない。


「こちら、お願いします。」


 白い液体の入った瓶を渡される。

 ひんやりとしている。冷蔵棚だったのだろうか。


「それから、こちら。」


 今度は小さめの瓶二本。とはいえ、さっきの瓶と合わせて十キロくらいあるだろうか。


 転生前の私なら悲鳴を上げていただろうが、オーガの力なら片手で持っていても平気だ。


「これ、なんですか?」

「ミルクと水砂糖です。」


 水砂糖…シロップかな?


「また高くなってる…」


 コロンがため息混じりに愚痴る。


「こんなに…備蓄用ですか?何か作るんですか?」

「今はまだ秘密です。」


 何か作るにしたら結構な量だ。何人分になるだろう。


「さあ、行きましょう。」


 また入口へと戻っていく。

 そう言えば、レジはどこだ? 並んでいる感じはしないけれど。


 最初にカゴの置いてあった所まで戻ると、コロンは空間魔法の魔法陣を開く。

 カゴから瓶を取り出し、魔法陣の中へ入れていく。いつの間にか、カゴの色が茶色に戻っていた。いつ色が変わったんだろう。


「あの…お会計は?」

「こちらに関しては、軍の予算から落ちますので大丈夫です。」


 いや、どこの財布を使うのかという話をしている訳ではなくて、支払いはどうしているのかを知りたいのだが。


「支払いはどうなってるんですか?」

「あとで、軍の事務に請求書が行くんです。」

「何を買ったかとかも分かるんですか?」

「はい。」

「じゃあ、カゴに入れるだけで、買い物の支払いが終わって、後で請求がいくんですか?」

「はい。そういう事です。」


 すごいな、魔法。

 めっちゃ便利。

 レジも通さなくても良いなんて。まだ私の世界じゃあ、そんな技術は試験段階だよ。まだ、こんな街のスーパーで実現できるレベルじゃない。


 コロンは、先ほどのペンダントを見せてくれた。


「軍の会計を使う時は、このペンダントを使います。」


 会社のクレジットカードみたいなものか。


「自分で会計をするときは、手をかざして魔力を注ぐだけでいいんですよ。」

「それだけ?」

「はい、自分で買い物してみますか?」

「良いんですか?」


 置いてあるカゴを持ち上げ、魔力を注いでみる。カゴの色が赤に変わった。


 すると、頭の中で『ご利用ありがとうございます。』と響いてきた。

 念話魔法みたいだ。


「何か欲しい物がありますか?」


 こんな所でお土産買っても、元の世界へ持って帰れる訳じゃない。仕方ないから、自分で使う物か食べる物にしよう。


 気になってたのは、大きい黄色のイチゴ。私の拳くらいある。


「これ、食べられるんですか?」

「もちろんです。」

「美味しいですか?」

「ちょっとクセが強いので、好き嫌いが分かれますね。」


 やめよう。

 そういう食べ物に当たりはない。

 異世界での最初の買い物なんだから、ハズレは引きたくないな。


 食べ物じゃなくても…と思ったが、やはりスーパーに置いてあるのは生活雑貨だけだ。

 食器や調理器具、洗剤や紙製品。心惹かれる物はない。


 キョロキョロと見回すと、端のほうに惣菜コーナーっぽいのを見つけた。

 フラフラと吸い寄せられる。


「これ、なんの肉ですか?」


 そこには、とても大きな手羽先の唐揚げが並んでいた。

 迷宮探索の後で食べたフライドチキンがフラッシュバックする。

 あれは骨まで美味しかった。


「これは、ペガサスですね。」

「ぺっ、ペガサスぅ?」


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