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公務員が異世界に転生したら、ただの役立たずでした  作者: M
16章:とうとう来たかハーレム展開!?

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 なぜか、お茶菓子にはルピアの持ってきたお土産が振る舞われた。

 ルピアの提案で、コロンが取り出したのだ。…私の分のはずなのに。


 皆は、私の分のはずだったお菓子を食べながら、それぞれに話をしている。


 ルピアは、ルーブルからお姉様(マンガン)(と、その部隊の活動)について、いろいろと聞いている。


 クーナは、リラからレウに紹介してもらって、自分の研究について説明している。


 コロンたち侍女の四人は、私たちと一緒には食べたり飲んだりしないけれど、侍女同士で話している。


 女子会ってこんな感じなのか。皆は楽しそうだ。

 でも、私には話し相手がいない。


 一人でお菓子をつまむ。「お土産美味しいですね。」と言いたいが、持ってきてくれたルピアは、ルーブルに教導隊でのマンガンの様子を聞いている。


 「こんなの食べたことあります?」


 と聞きたいが、リラもクーナも、レウと解毒魔法の話に花を咲かせている。


 「お茶のお代わりを…」


 と頼みたいが、コロンたちは侍女同士で何か重要な情報交換をしているようだ。

 聞こえてきたのは、レウの侍女だったフローリンが、王宮を辞めて実家のキンユーに帰ったという話。


 どのグループに声を掛けても邪魔してしまいそうだ。

 …なんか、ぼっちみたいで寂しい。


***


「さて、そろそろ始めましょうか。」


 お菓子もなくなり、ルーブルが立ち上がる。


 待ってました。


 朝イチからの回転の実験台に引き続いて、今度は魔法の研究対象。

 …待ってましたは、おかしいな。


「仕方ないなぁ。」


 私は建前を言いながら立つ。少しニヤけてしまうが、オーガの顔がニヤけても分かりにくい。


 侍女たちがテーブルの上を片付ける。

 私は、レウの指示でテーブルを部屋の端に寄せる。


「では、その不思議な魔法を見せていただきましょうか。」


 不思議な魔法というルーブルの表現に違和感を覚える。私にとっては、魔法は全部不思議なのだ。


 この中で、私の魔法を直接見たことがないのは、ルーブルとレウの新しい侍女だけ。あとは私の魔法を知っている。

 そんな美女たちが、私を丸く囲むように立ち並ぶ。


 何だか恥ずかしくなってきた。

 例えるなら、宴会で歌わされるような気分だろうか。



 役所でも、昔は飲み会で一発芸披露みたいなものがあったと、間倉さんが言っていた。

 今はハラスメントだとかコンプラだとかのために無くなってしまったけれど、一発芸なんて無くなって良かったと思う。



 こんな十人くらいに見つめられて、何かをしなきゃいけない状況なんて、苦行でしかない。

 一瞬でも、待ってましたなんて思った自分の浅ましさを呪う。

 でも、やることはやらないと。私は呪文を唱える。


『百花繚乱』


 部屋の中に、小さな花畑ができた。

 良かった、失敗しなくて。

 失敗したことないけど。


「何度見ても綺麗だね〜。」


 リラが笑う。


「へっ?」


 ルーブルの眼鏡がズレる。

 とても分かり易い驚き方だ。


「ルーブル先生。お花を近くで見てください、咲き方も不思議なのですわ。」


 レウに言われて、ルーブルは床に這いつくばるようにして花の根元を見る。


「レウ様、この床の材質は?」

「大理石ですわ。」

「なんで大理石に花が咲くんですか!?」

「それを研究するための集まりですわ。」

「それは、そうなんですけれどっ。」


 ルーブルが一番驚いている。

 私を含め他の人は、何がそこまで凄いのか分からない。


「これって、凄いことなんですか?」


 ルピアが私の代わりに聞いてくれた。


「もちろんです。」


 ルーブルは花を一輪手折ると、立ち上がった。


「魔法で花を咲かせるなんて出来ないんです。いや、咲かせるだけなら出来るんですけど。」


 ルーブルが熱弁を始める。


「転送魔法や召喚魔法で運んできたとか、強化魔法や育成魔法で花を成長せたとか、そんなものではなさそうです。」


 そう言い、ズレた眼鏡を直す。


「皆様は植物も生き物だということを知っておられるでしょうか。これは、もしかすると植物を生み出す魔法かもしれません。」


 説明が飛びまくって、何が凄いことなのか全く分からない。

 興奮するとポンコツ先生になるようだ。説明の順番をキチンとしないと、何を言っているのか分からなくなる。


「レアなの?」


 リラにも今の説明は良く分からないようだ。私も分からない。


「今まで色んな文献を読みましたが、こんな魔法は見たことがありません。」


 レアな魔法だというのは分かった。ちょっと嬉しい。

 で、どう凄いのだろう。


「今度は、もっと詳細に調べましょう。」


 そう言ってルーブルは、ローブの中から眼鏡を取り出す。瓶底眼鏡みたいなぐるぐるの眼鏡だ。


「これは、魔力やエーテルの流れを可視化できるレンズです。何個かありますので、皆様も付けてみてください。」


 魔法の眼鏡をルーブルとルピア、レウとリラ、コロンとキナの六人が装着する。沢山のぐるぐる眼鏡、中々に凄い光景だ。


「エーテルって、こういう動きするんだ!面白っ。」


 リラとルピアは、それぞれに魔法陣を出して、ぐるぐる眼鏡で魔法の動きを観察している。


「ルピアさん、あなた透視魔法できる?」

「いえ、できないです。すみません。」


 ルピアが申し訳無さそうに謝る。

 すかさずクーナが手を挙げる。


「でで、できます。」

「お願いします。魂の挙動が観測できると良いんですが。」

「わかりました。」


 魂だって?

 透視魔法って、そんなのも見られちゃうの?

 変に裸や内臓を見られるよりはマシか。


 レウも楽しそうに、何かの観測装置みたいなものを組み立てる。

 めっちゃ研究っぽくなってきた。


 朝は、魔法使いのおっさんたちに囲まれて、私が酷い目に合わされるのを眺められた。

 今度は、いろんな女の人に囲まれて、自分だけのレア魔法を見てもらう。しかもちょっと驚かれるほどに注目されている。


 似たような状況なのに、全然似てない。むしろハーレムみたいじゃないか。


登場人物紹介

「フローリン」

種族:人間(コーカ人)

年齢:24

身長:158

体重:52→43(退職時)

所属:王宮・レウ姫担当→退職し、実家へ戻る

特技:生け花、花言葉(エンドル版)の暗唱

好物:『闇の炎に抱かれし大地の結晶は甘露に変わる』(焼きいも)

備考:

 美少女が牛一頭を解体する光景を見せられトラウマになった人。

 「もう、お肉は食べられないと思います。」

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